イノベーションとは革新を意味する言葉!ビジネスでの定義や条件を紹介


 
 
イノベーションとは、新たな価値を生み出し、社会に変革を起こすことを意味する言葉です。ビジネスにおいては5つのパターンがあり、それぞれ対象が異なります。どう異なるのか、また、イノベーションを起こせる環境と起こせない環境の違いについても見ていきましょう。
 
 


目次

イノベーションとは何か?

 

 
イノベーション(innovation)とは、革新と訳される英語ですが、ビジネスの世界では新たな価値を創造することを指すことが一般的です。例えばクラウドの発明は、イノベーションといえるでしょう。クラウドが発明されるまでは容量が小さなデバイスは少量のデータしかストックできませんでした。

しかし、クラウドが発明されたことで、容量が小さなデバイスでも大量のデータを活用できます。また、複数のメンバーが同じクラウドにアクセスできるようにすれば、同じデータを使って仕事を進めていくことができるでしょう。

このように生活やビジネスに革新的なモノや仕組みなどを生み出すことをイノベーションといいます。イノベーションにより、より便利で好ましい変化を期待できるでしょう。
 

イノベーションの意味

かつて、イノベーションといえば技術革新だけを意味する言葉として認識されてきました。しかし、本来のイノベーションの意味は技術に限られた革新ではありません。分野を問わず、革新的な変化であれば、すべてイノベーションとして認識されます。

また、イノベーションは規模とも関係がありません。個人のアイディアがイノベーションになることもあれば、大企業が進めるプロジェクトがイノベーションになることもあります。
 
 

イノベーションが求められる理由

現在、イノベーションは多くの企業で求められています。その理由としては次の2つが挙げられるでしょう。
 

  • 新たなニーズを生み、企業が躍進できるチャンスになるから
  • 企業に対して求められる社会的責任が大きく、かつ複雑になっているから

 
イノベーションは新たなニーズを生みます。ニーズが生まれれば産業も生まれ、企業が躍進できるチャンスになるでしょう。

また、地球温暖化や土壌汚染など、地球が抱えている問題は少なくありません。しかし、これらの問題の多くが産業の発展とともに生まれてきました。産業の担い手である企業には、地球の状態を少しでも改善できるよう工夫しつつ、産業を発展させていくことが求められます。

開発と保護という相反する目標を達成するには、イノベーションが不可欠です。イノベーションを起こすことにより、産業を発展させつつ、地球環境を保護することができるでしょう。


ビジネスにおける5つのイノベーション

 

 
ビジネスにおいては、さまざまなイノベーションがあります。その中でも、オーストリアの経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターが提唱した次の5つのイノベーションがよく知られているといえるでしょう。
 

  1. プロダクトイノベーション
  2. プロセスイノベーション
  3. マーケットイノベーション
  4. サプライチェーンイノベーション
  5. オーガニゼーションイノベーション

 
この5つのイノベーションは、経済の発展ともつながっています。それぞれ何をイノベーションするのか、詳しく見ていきましょう。
 

1.プロダクトイノベーション

プロダクトイノベーションとは、革新的なモノやサービスを開発することです。今までになかったものを生み出すことで、新しい価値観を消費者に提示することができるでしょう。

また、今までにないモノやサービスなので、競合がないというメリットもあります。開発したモノやサービスが消費者に受け入れられれば、メガヒットにつながるだけでなく、独占市場を開発したことにもなるでしょう。
 

2.プロセスイノベーション

プロセスイノベーションとは、革新的な工程を開発することです。例えば生産する工程をイノベーションすることで、従来よりも短時間、あるいはローコストで製品を生み出せるようになるかもしれません。

また、流通方法もイノベーションすることで、消費者により新鮮な食品を届けたり、流通時に発生するコストを抑えて低価格で販売できるようになったりすることもあるでしょう。プロセスイノベーションでは新しいモノやサービスを生み出しませんが、コストや時間の大幅な節約、商品の精度向上などにつながります。
 

3.マーケットイノベーション

マーケットイノベーションとは、新しい市場を開拓することです。従来の市場ではニーズが頭打ちになっていた場合でも、目線を変えて新しい市場に算入することで、新たな顧客を獲得できるかもしれません。また、新しい市場に参入したことで、新たなニーズが見つかり、さらに販売数を伸ばせることもあります。

例えば単身者用の分譲マンションのチラシを、単身者が多く住んでいる賃貸ワンルームマンションに配布していたとしましょう。思ったような反響が得られず、内覧会に来る人も少なかったとします。

目線を変えてファミリー層にチラシを配布することで、副業の仕事部屋を探していた人や、他地域の大学に進学する子ども用にマンション購入を考えていた人にアプローチできるかもしれません。固定観念を捨ててマーケットイノベーションを起こすことで、新たな市場と顧客を獲得することができるでしょう。
 

4.サプライチェーンイノベーション

サプライチェーンイノベーションとは、材料そのものや材料の供給源を新しく開拓することです。例えばアパレルメーカーであれば、従来のコットンやシルクなどの天然素材だけでなく、エココンシャスな再生繊維に注目することで、今までにない質感の洋服を製造できるかもしれません。エコロジーに関心があるメディアなどにも取り上げられ、思わぬヒットにつながることもあるでしょう。

また、いつもと同じ業者から仕入れることも良いことですが、別の供給源も確保しておくことで、いつもの業者にトラブルが起こったときにもスムーズに対応できるようになります。リスク回避や新しいニーズ、話題の獲得のためにも、サプライチェーンにイノベーションを起こすことは必要といえるでしょう。
 

5.オーガニゼーションイノベーション

オーガニゼーションイノベーションとは、組織を新しくすることです。世の中は常に変化しています。今は問題なく組織として機能していても、いつまでも同じ組織体制では新しい世の中の流れに対応できなくなる恐れがあるでしょう。風通しの良い企業をつくるためにも、組織を抜本的に変革し、企業内だけでなく業界や社会に影響を与えることができます。


さまざまなイノベーションと意味

 
イノベーションの形はシュンペーターが提唱した5つのものだけではありません。例えばヘンリー・チェスブロウが掲げた「オープンイノベーション」やクレイトン・クリステンセンが掲げた「破壊的イノベーション」などもあります。次の3つのイノベーションの意味について見ていきましょう。
 

  • 持続的イノベーション
  • 破壊的イノベーション
  • オープンイノベーション

持続的イノベーション

持続的イノベーションは破壊的イノベーションとは対極にある概念です。創造的イノベーションとも呼ばれることがあります。市場構造を変化することでイノベーションを産むのではなく、技術を革新することなどにより従来のモノやサービスの価値を高めることを実現する点が特徴です。また、顧客の意見や要望を取り入れながら進めることもあります。

例えば石油ヒーターを使っている顧客から、石油のにおいが気になるという意見があったとしましょう。石油のにおいが出にくい石油ヒーターを開発するなら持続的イノベーションですが、石油ではなく風力や地熱などの別の熱源を用いたヒーターを開発することは破壊的イノベーションといえます。
 

破壊的イノベーション

固定観念にとらわれずに新しいイマジネーションでモノやサービスを生み出していくことを破壊的イノベーションといいます。破壊的イノベーションを実現するためには、柔軟な発想力と行動力、そして既存のモノや仕組みにとらわれない意思が必要です。

例えば、必ずしも通話品質が高くないものの携帯できる、移動しながら電話できるという価値のある携帯電話や移動電話が出現したことで、これまであった固定電話という市場がなくなりつつある例などが、破壊的イノベーションの事例として挙げられます。
 

オープンイノベーション

オープンイノベーションとは、組織を超えて協力し、革新的なモノやサービス、技術、価値を生み出すことを指す言葉です。例えばハイテクノロジーが必要とされる宇宙工学の分野に日本古来の伝統的な折り紙を活用したり、大企業と零細企業がコラボレーションしたりと、固定観念にとらわれず、さまざまな業種や資源、ノウハウを組み合わせて新しいモノなどを生み出します。

なお、オープンイノベーションの反対語はクローズドイノベーションです。研究から製品開発、また、販売などまで自社の資源のみで行うことで、1990年代までは日本の産業のあり方の主流を占めていました。


イノベーションを起こしやすい3つの環境

 

 
イノベーションは、どこでもすぐに起こるものではありません。イノベーションが起こりやすい企業もあれば、起こりにくい企業もあります。イノベーションを待つのではなく、イノベーションを起こしやすい環境を構築することが大切です。イノベーションが起こりやすい環境には、次の3つの共通点が見られます。
 

  1. 市場や情勢の変化に敏感
  2. リスクに対して適切な行動が取れる
  3. コミュニケーションが活発

1.市場や情勢の変化に敏感

今までにないモノやサービスを生み出したとしても、その発明が市場のニーズに合っていなければ利益にはつながりません。会社にとってプラスとなるイノベーションを起こすためにも、社員一人ひとりが市場のニーズや情勢の変化に敏感である必要があります。
 

2.リスクに対して適切な行動が取れる

イノベーションを起こす際にはリスクについても検討する必要があります。イノベーションを起こすことで変化が生まれ、場合によっては企業の存続に関わるリスクが生じることもあるでしょう。また、リスクが生じた後の行動も重要です。常にリスクを想定し、想定されるリスクに対して企業としてどのようなアクションを起こすのか決めておく必要があります。
 

3.コミュニケーションが活発

イノベーションはさまざまな意見を交換する中で生まれることがあります。普段から企業内でコミュニケーションが活発であれば、自分一人では得にくい気づきを得ることができ、イノベーションにつながるアイディアが浮かぶこともあるでしょう。部署内だけでなく、社内外のコミュニケーションが活発であることもイノベーションに必要な環境といえます。
 
 


イノベーションが起こりにくい2つの環境

 イノベーションを起こすことで、企業にとっては多大なメリットがあります。新しいニーズや市場を開発し、企業が躍進的な成長を遂げるきっかけとなることもあるでしょう。しかし、企業自体の環境がイノベーションの起こりにくいものであれば、成長につながるイノベーションは期待できません。イノベーションが起こりにくい企業に見られる特徴としては、次の2つが挙げられます。
 

  1. 意思決定に時間がかかる
  2. 基本的に守りの姿勢である

1.意思決定に時間がかかる

意思決定に時間がかかると、他企業に類似するアイディアを思いつかれてしまう可能性があります。そのため、意思決定がスムーズに進まない環境では、イノベーションは起こりにくいと考えられるでしょう。

2.基本的に守りの姿勢である

イノベーションを起こすためには、既存の概念を取り払う必要があります。見たこともないようなモノやサービス、そして、それによって生み出される新しい価値観がイノベーションの原動力となるともいえるでしょう。

基本的に守りの姿勢の環境では、新しい価値観を受け入れる土壌がありません。イノベーションが生まれることも少ないと考えられます。


イノベーションを起こせる環境を構築しよう


イノベーションはある日突然起こるものではありません。イノベーションが起こせる環境で社員一人ひとりが既存の概念を取り払って物事の本質を考えることなどから、生じることがあります。

新規事業のアイディアが浮かばないなどのお悩みは、ぜひアイディアポイントにご相談ください。企業と業界に新しい風を送り込み、新しい価値を生むお手伝いをいたします。

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