むしろ『お手本』を活用する方法を学ぶ方がよいのかもしれないと思った話

アイディアポイント岩田です。早いものでもう6月も終わりますね。いかがお過ごしでしょうか。弊社では、4-5月は少し落ち着いているのですが、6月から本格的に営業や納品がスタートして少しずつあわただしくなってきています。

最近では、お客さまの課題に真摯に向き合いつつ…、データ・AIの活用を価値向上(あわよくば、商品化して売りに出したいなと思ったりして…)と作業の効率化の両面で検討しています。

今回は、データ・AIの活用を検討しているのと、ここ数週間であったいくつかの印象的な案件を通じて、「そろそろ考えを改めようかな」と思った話を書いていこうと思います。

これまで、『事例を知りたい』、『過去の資料を見たい』という声には、比較的、否定的な態度をとってきたのですが、それもそろそろ変えるタイミングがきているのかもしれない…と考えたという内容です。


目次

『事例』や『過去の資料』、『お手本』は、確かに『役に立つ』し、『必要なときもある』だろう

私たちは新規事業関連のコンサルティングや研修をしている関係で、フォーマットが決まっていないもの、ケースバイケースとしか表現できないものがあるため、あまり、フォーマットを決めたり、お手本として過去の資料を見せたりしません。

これには理由があって、『当てはめればそれでよいと思う』、『当てはめてそれでおしまいになってしまう』ことが多く、あまり自分で考えなくなってしまうケースが見受けられるからです。

私の方に質問が来ても多くの場合、「自分で探してくださいね」、「自分で考えてくださいね」と返しておしまいです。もちろん、気持ちはわかるのですが…毎回、どうしようか悩むものです。

直近、1ヶ月のプロジェクトで下記のようなことが起きて、ひょっとしたら、逆に、『事例』や『過去の資料』、『お手本』は上手に見せた方がよりよい成果物ができるのではないかと思うようになりました(まだ、考えは変わっていませんが…)。

ひとつめは、若手社員向けの研修で、「スライドの内容や書き方、資料の構成が自由過ぎて、何を言っているのかわからない」事態が起きたことです。よく考えたら当たり前で、一般的な言い回しや作法、注意すべき点が分からない状態で、感覚的に書いていると支離滅裂になるのは仕方がありませんね。グラフにタイトルがないから何のグラフかよくわからない、オリジナルな言葉が使われているが説明がないので何の話かわからない、タイトルは提供する価値と書いてあるのに中身は機能の説明になっている…おそらく、どんなものが求められているのかわからないのだと思いました。これだったら、ある程度、いろいろな例を見せておいた方がよいのではないかと思いました。基本的な作法を学ぶのに事例やお手本、過去の資料は役に立つなと思いました。

ふたつめのケースは、幹部候補者向けの研修です。こちらは、若手社員向け研修の逆で、プレゼンテーションの内容が「ほぼ同じ」になってしまったケースです。組織としての統制がとれていてよいとも思うのですが、「自分を出して、自由に発想してほしい」点が上手に伝わっておらず、もちろん、伝え方にも問題はあったと反省してはいるのですが、みなさん、結局、普段の業務と同じように資料を作成してきたので、全員が、「ほぼ同じ」内容になってしまいました。このケースでは、いろいろな例を見せて、暗に「いろいろな発想を期待しておきますよ」ということをお伝えしておいた方がよかったなと思いました。

みっつめは、ワークショップで新規事業のアイディア出しをしたときのことです。最近では、「AIが発想することはできるか」という論点があります。私の見立てだと、十分、発想できます。まぁ、入力すれば何かは返ってくるので、当然、そうなるのですが、個人的には、「それほど考えなくても普通に出てくるアイディアであれば、すぐに、100個、200個出してくれます(聞き方にコツはありますが)。人間に対して行っている「最初に、とりあえず、ブレストでアイディアを100個くらい出してみましょう」というのはいらなくなりつつあるのではないかと感じました。

むしろ、人間はそれらのアイディアを理解して正確に表現して魅力的にすること、出たアイディアをベースに捻って、魅力的にすること、最終的に判断することなど、その後の工程に力を発揮するべきなのではないかと思います。そう考えると実は、大事なのはゼロから発想する能力ではなく、事例やお手本を読み解く力、そこから捻る力なのではないかと感じた次第です。そう考えると実は、お手本や事例を示さない理由はないのではないかと考えました。


『当てはめておしまい』にしないお手本の示し方を考える
– 大量に多様に示唆に富んだ事例を + 解釈する時間、考える時間

ただ、お手本を示してしまうと、「当てはめておしまい」になってしまい、「考えようとしない」状態になってしまう可能性があります。さて、どうしたものか…。今、考えているのは以下のような方法です。

0.最初に、ここはスタートであってゴールではない ことを伝える(当てはめたら終わるわけではない)
資料を参考にして似たようなフォーマットに記入するのは作業のスタートであって、ゴールではないことを認識してもらうことが重要です。そして、実際に、資料の内容を埋めるのは前半戦、プロジェクト全体の半分より手前の作業に充てるのがよいでしょう。最初に当てはめてしまってからスタートしてもよいかもしれないです。さて、どれだけ効果があるか…。過去、説明しても、「これに当てはめればいいんですよね?」→「ガッカリ」みたいなことはこれまでもありましたので、上手な伝え方を考えたいものです。

1.事例や手本は大量に示す / 多様なもの / 示唆に富んだものを示す
事例やお手本を2-3示すと「自分の近いものを選んで当てはめておしまい」にしてしまいがちです。少なくとも10程度は示す、さらにできれば、様々な種類のものを示して読んでもらうとよいと思います。いろいろな方法があることがわかると自分なりに考えるようになるので、比較できるようなものを考えることが重要です。これ、実は、用意する方は大変です。ある程度、網羅的に様々な種類で、じっくり考えるに値するもの…。言うは易しですが..、.この辺りは、まだ、AIに頼れるか…、今後、検討していきたいと思います。

2.事例やお手本は示すだけで評価しない
過去に失敗したことがあるのですが、「で、どれがおすすめですか」、「昨年度、評価の高かったのはどれですか」と聞かれたときに、回答してしまって、「じゃあ、それにしよう」となってしまい、「そういうことじゃないんだよ~」ということがありました。最近では、「どれも素晴らしいので参考にしてみてくださいねー」、「全部、おすすめですねー」、「選りすぐりのモノを選んだので、それぞれの“いいとこどり”してくださね~」くらいで返答するようにしています。自身で考える「余地」を残しておきたいところです。

3.考え方 / 考えるプロセスを提示する
ここはもう少し体系化したいところですが、事例や手本を見て、それをどう自身に置き換えるのかを考える方法(考え方やプロセス)を提供することも考えています。手間はかかるのですが、ここは重要なのではないかと思いました。

  • 事例 / お手本のよいところはどこか?なぜ、よいと思ったのか?
  • 逆に、議論の甘いところ、改善点はどこか?
  • 自分自身は事例 / お手本のどこをまねて、どうするのか

これだけ考えるだけでも、上手に活用できるのではないかと思います。

事例やお手本を活用して効率的、効果的に検討できるのであればそれに越したことはありません。心配しているのは「考えなくなる」ことです。今後、有効に使う方向でプログラムを考えていこうと思っています。と言いながら、大量で多様、示唆のある事例や過去の資料、お手本を…というのは正直、準備がツラいところですが…。こういうのはAIとの対話で考えていった方がよいのかなと思ったりもしますが…もう少し考えようと思います。


事例や手本を使って、『スタート地点を前にする』、『発射台を高くする』発想を強く持つべし

『私が彼方を見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです』

これはアイザック・ニュートンが書いた手紙の一節として広く認知されている言葉です(が、原典は12世紀のフランスの哲学者、シャルトルのベルナールだそうです。また、今日もひとつ賢くなりましたね)。

直近では、多くの情報が手に入り、更に、AIで多くの情報が生み出せる時代に、人間に必要なこれらの情報を整理して、理解する、そこからさらに「何か別のものを生み出す」、「よい形に仕上げる」ことになるのではないかと予想しています。

私たちには、過去の情報やAIを上手に活用して考える『スタート地点を前にする』、『発射台を高くする』発想とその方法論を持つ時期に来ているのではないかと思います。ということで、今回は、これまで、『事例を知りたい』、『過去の資料を見たい』という声には、比較的、否定的な態度をとってきたのですが、それもそろそろ変えるタイミングがきているのかもしれない…と考えたという話を書きました。

なんだかんだ言いながら、人は新しいことを取り組むときに、何かを参考にしますからね。その参考の仕方を少し細かく厳密にしてみようと思います。さて、具体的にどうプログラムにしようか…ご興味のある方は、ぜひ、議論しましょうね。AIの活用方法も最近、ムチャクチャ考えてますので、こちらも興味のある方はぜひ、議論しましょう!

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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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