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新規事業のアイディアはどこから出てきて、どのように育てていくのか(Will、Can、Must)


 
 
アイディアポイント岩田です。現在、『イントレプレナー』と呼ばれる『社内で新しいことをはじめる人たち』に焦点をあてて、その人たちはどんな人たちで、どんなきっかけで新規事業をスタートして、どんな苦労を乗り越えて、どこに向かっているのかを調べています。今回は、多くの人から聞かれる『何か新しいことをやりたいんだけど、どうやってアイディアを出したらよいのか』という質問に対して、インタビューからわかったこと、感じたことをまとめていきます。(イントレプレナーについてはこちらの記事をご覧ください。)
 
 


 

「普通に生活していたら、思いつくでしょ!?」って、本当にそうなのか?

 
いつか新しいことに取り組みたいと考えていても、「何から発想したらよいかわからない」、「どうやったらアイディアが出せるのだろうか」という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。あるいは、実際に企業の中で新しいことをスタートした人はどうやってアイディアを出したのか知りたいという声が多く聞かれます。

今回のインタビューで非常に印象的だったのは、ほとんどのイントレプレナーと呼ばれる人たちは、アイディアを思いついたタイミングや経緯に関してはそれほど、関心がなかったことです。

誰に聞いても、「うーん、普段、生活していれば、思いつくことや不便だなぁと思うこと、ニュースを見ているとこういうところにビジネスチャンスがありそうだなということが普通にあるでしょ。それよりも、今のビジネスは」と、アイディアを出すことには大きな関心がなさそうです。

もちろん、アイディアを発想したのは昔のことで、それ以降の実現に向けた活動の方が長く、実際に苦労しているという理由もありますが、それでも、ほぼ、全員が一様に、「どうやって、アイディアを発想するのかということについて、あまり真剣に考えたことがないなぁ」というのはなぜでしょうか。

彼らは何の苦労もなく素晴らしいアイディアが出てくるスーパービジネスパーソンなのでしょうか。「アイディアを発想する」行為について、もう少し詳しく聞くと、彼ら / 彼女らは、共通に以下のような話を聞くことができます。
 
 

  • 普段から「こんなものがあればいいのにな」、「不便だと感じることはないかな」、「最近、どんなことが流行っているのかな」など、いろいろなことに目を向けて生活している。自分の周囲やニュースなど、よく見ている
  • その中で、「自然に」アイディアを思いついている。自分なりに少し考えて、少し調べて、気軽に「あれいいな / これいいな」、「これはできるのではないか / 難しそうだな」と思っている。単なる情報で終わらせずに考える習慣、「自分だったら」と考える習慣ができている
  • 結果的には、ほとんどの情報やアイディアは、ボツになっている。「これでは、ビジネスにならないな」、「おもしろいけれども、自分はやりたくないな」等、ボツになる理由は、様々で、基本的に『ピンとこない』ものはやらない
  • 上記は、『普段の生活』なので、それほど大げさなことではないので、あらためて、『アイディアを出した』という感覚はない
  • あるタイミングやきっかけで、『自分としてこれに取り組んでみよう』と動き出すことをきっかけにして、アイディアを形にするスタートをきっている

 
 
自分がやりたい新しいことを「発想する」という行為が、普段の生活に自然に溶け込んでいるので、わざわざ時間をとったり、無理にひねり出すような行為ではないということが言えそうです。

「何から発想したらよいかわからない」、「どうやったらアイディアが出せるのだろうか」という人は、「発想する」行為を短期的・集中的に効率よくするものとして捉え過ぎているのかもしれません。

同時に、「アイディア」に対する期待値が高い = そのまま事業になりそうな画期的な発想というように非常に高いハードルを設定しているのかもしれません。一旦、肩の力を抜いて、リラックスして継続的に新しいアイディアを発想し続けるように切り替えたらよいのかもしれません。
 
 


 

アイディアのきっかけは、『誰かの困りごと、不便、課題』 × 『自分たちのできること & やりたいこと』

 
下の図は、キャリアの振り返り、棚卸の際によく用いられるWill(意思、自分がやりたいこと)、MustCan(能力、自分ができること)、Must(義務や周囲からの期待、やらなければいけないことや求められること)というフレームワークです。キャリアの分野では、これらを棚卸して、自分の将来像やそれに対する具体的な行動を考えようという使われ方をします。
 
 


 
 

新しく事業を起こす人も、基本的には同様です。自分自身のWill(やりたいこと)、Can(できること)、Must(求められていること)をよく理解して、その上で、その重なった部分が、まさに、自分が取り組むべき、『事業のアイディア』になるのです。

さらに、新規事業という観点では、そのアイディアが会社のWill(やりたいこと)、Can(できること)、Must(求められていること)を満たさなくてはいけません。企業における新規事業は、企業のビジョンを実現するために重要である、戦略上重要なビジネスであることが求められます(Will)。そして、実際に、技術的にもリソース(人やお金)的にも現実的な範囲に収まっていなくてはいけません(Can)。その上で、十分なリターンや社会や顧客の要請にも十分に応えるモノである必要があります(Must)。

イントレプレナーは、このように自身のWillMustCanを満たして、さらに、会社のWillMustCanを満たすようなアイディアを探すことができています。

では、どのようにして、そのようなアイディアを見つけ出すことができているのでしょうか。

実は、イントレプレナーは、そのような『全部を満たすようなアイディアを考え出す、発見する』ということをしているわけではありません。それぞれがどこかからスタートして、すべてを満たすようなビジネスプランに仕上げていっているのです。

それでは、その中でも「よくあるパターン」、「うまくいきやすいパターン」はあるのでしょうか。今回のインタビューの中では、『誰かの困りごと / 世の中の課題』を、『自分たちなら解決できるのではないか』、そして、『それは、自分たちがやりたいことと合致しているのではないか』という順番で検討されている人が多いようでした。

『困りごと』の見つけ方は、人それぞれで、自分自身が普段生活して感じる困りごとから発想した人や、何か強烈な体験があって「これはおかしい。なんとかしなくてはいけない」と思った人もいるし、会社の業務として割り当てられる中で顧客の実態を見て思いついた人もいますが、全員が『顧客の困りごと』こそが大切だと口を揃えていいます。

『顧客』とその『困りごと』からスタートして、それを『自分(や自分たち=会社)が解決できる』のであれば、それはビジネスの可能性があると考え、具体的に継続できるのか、十分な規模になるのか、自分(や自分たち=会社)がやる価値があるのかということを検討していって、晴れて、すべてを満たすビジネスプランを描いて、実際にスタートしているというのが現状です。
 
 


 

議論を重ねながら『全部、満たすようにすり合わせる』プロセスを経て、実現に向かう

 
文章で書くと簡単なように?当たり前のように見えますが、アイディアを実現するまでに、様々な紆余曲折があります。顧客に聞いても困っていない?、お金が出せそうもない?、そもそも技術的に実現できるのは相当先になりそう?、競合が出てきたときに一瞬で負けてしまう?、投資に見合ったリターンがない等、様々な現実がまざまざと現れます。また、それに合わせて、「こうしたらどうか」、「他にもこういうことを検討したらよいのではないか」ということも山ほど出てきます。

その過程の中で、イントレプレナーは2つのことを内省することになります。
 
 

  • 自分のアイディアの中の『コア(本当に外せないところ、変えられないところ)』は何か
  • 自分は、本当は何がしたいのか?

 
 
このプロセスを経るプロセスで、イントレプレナーの中の『目的(本当に実現したいこと)』がより強固になると同時に言語化されていきます。そして、その『コア』な部分は『ブレない』ことで、より効率的に議論を進めることができるようになり、様々な意見を受け入れながらアイディアはよりよいものになっていくようです。
 
 


 

イントレプレナー共通に見られる『思考の柔軟さ』と『コミュニケーション能力』の高さ

 
一旦、自身の中で、正しいという確信ができれば、『本当に大切なところ』以外はすべて枝葉の議論になってきます。今回、イントレプレナーの人たちの『思考の柔軟さ』、『対応力の高さ』は、非常に特徴的たと感じましたが、自分自身をしっかりと内省して、確固たる『価値観』を持っているので、「それ以外は譲れる」、「それに基づいて瞬時に優先順位をつけることができる」ということなのではないかと感じました(もちろん、全員、基本的な能力が高いのは言うまでもなく)。そして、みなさん、意思決定と日程調整が早い!!こういうことも、やはり、ご自身の『価値観』、『優先順位』がはっきりしているからなのでしょう。

また、「まだ、何も起きていない」新規事業のアイディアは、それが正しいということを証明することができないので、明らかに「提案する(アイディアを話す)」側は説得力がありません。そんな中で、多くの人から意見をもらい、それを取り入れ、上手に進めていく中で、『コミュニケーション能力』や『とりあえず、進めてしまう力』も鍛えられるのではないかと感じました。
 
 


 
今回は、新規事業のアイディアはどこから出てきて、どのように育てていくのかということについて、議論しました。『こうやったら新規事業のアイディアが出てくる』という方程式はありませんが、普段から『誰かの困りごと、不便、課題』に『何かできないかな』と考えながら生活をした上で、x 『自分たちのできること & やりたいこと』を意識ながら『ピンと来たとき』がそのチャンスということではないでしょうか。もちろん、アイディアエーションと呼ばれる集中的にアイディアを出す時間も大切な時間ですが、普段からの積み重ねを意識すると、よりみなさんらしいアイディアが出るのではないでしょうか。その後は、検討を重ね、個人のWillCanMust、会社のWillCanMustがちょうど重なるようにビジネスプランを作成していくとよいのではないでしょうか。

 
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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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