2019年4月19日(金)に、東京スクエアガーデン(京橋)において、アイディアポイントとCollaboGate, Pte. Ltd.(以下CollaboGate社)の共同開催で、「ブロックチェーンでビジネスモデルがどう変わるのか」と題したセミナーを開催しました。
ブロックチェーンの技術を理解し、自社の事業開発への活用可能性の検討が求められる
昨今注目されているブロックチェーンの技術は、もともとは仮想通貨「ビットコイン」のシステムを支える技術として開発されたものですが、海外では、すでに様々な事業領域において、その技術を応用した新たな事業開発が行われております。
新たな事業開発の創出を目指している企業にとっては、その技術を理解し、自社の事業開発への活用の可能性を検討することが求められております。
高い顧客価値の提供、情報管理の信頼性向上・コスト削減が期待される
今回のセミナーにおいては、まず、デジタルトランスフォーメーションの進展と、その中におけるブロックチェーンの発展について、CollaboGate社のCMOでありCo-Founderである栗原 宏平氏よりご説明いただきました。
講演の冒頭にて、デジタル化により、顧客行動が変化している(且つ、その変化が加速している)中で、BtoCだけでなく、BtoBでもデジタル化が重要となってきており、デジタルトランスフォーメーション市場への投資は今後益々増加するという前提を話されました。
前提とあわせて、2つの大きな変化として、一つは、ユーザー体験が、(一つの企業が提供するものから、)真の意味でのユーザー中心となる社会に変化している、もう一つは、個人情報を利用されることに対して「懸念」するユーザーが増加している、且つ、国としても規制を強める傾向にある、といった変化が起こっていることから、ブロックチェーンの活用が注目されてきているとのこと。
今後ビジネスにブロックチェーンが活用される主な要素としては、複数社が情報を管理することで、一社あたりの負担コスト削減されるシームレスな顧客価値(高い顧客価値)の提供を行うことができる(情報の管理が分散型のため、)ユーザーに対して信頼性を訴求することができることが挙げられると解説されました。
実際のブロックチェーンの活用については、ビジネスモデルを大きく変化させている企業の具体的な事例を用いながら説明されました。例えば、Samsungが、家電を扱っていたメーカーから、ユーザーが買ったモノがシームレスにつながる顧客体験を提供し、さらには、ユーザーが(自分で情報を管理して、)情報を販売することができるプラットフォーム「SamsungSDS」までも提供している事例を紹介されました。
ブロックチェーンの活用は、事例から応用展開のエッセンスを抽出し、検討することが重要
続きまして、ブロックチェーンの技術が、各業界において、どのようにビジネスに活用されているかの最新事例と、その事例から読み取ることができる、ブロックチェーンのさらなる応用展開の可能性について、CollaboGate社のCEOでありCo-Founderである三井 正義氏よりご説明いただきました。
ブロックチェーンが活用されている業界の例として、
- ヘルスケア
- 保険
- デジタルアイデンティティ
- サプライチェーン
- 音楽(デジタルコンテンツ)
などの具体的なユースケースをもとに、「そこから言えるエッセンス(どう応用展開できるか)が何なのか」をお話いただきました。
例えば、ヘルスケア分野においては、「医療データを匿名・安全な状態でブロックチェーン上に保存」することで、新しいビジネスモデルを展開されている例示を行い、応用展開の可能性として、秘匿性の高い情報を扱っている分野への展開を示唆されました。
他にも、例示の一つとして、
- 保険業界では、「約束事を、透明で、且つ、自動で執行できる仕組み(スマートコントラクト)」
- デジタルアイデンティティという分野では、「IDの所有者が、自身のデータに対して、どんな目的で誰がアクセスできるか制御可能」
- サプライチェーンという範疇では、「QRコードのトラッキングデータで、経路の把握が可能」
- 音楽(デジタルコンテンツ)の分野では、「コピー可能だったアセットをユニークなものであると証明できる」「各アセットがどのような経路を経たものなのか、ということを可視化することもできる」
などといったエッセンスをご説明いただき、そこから応用展開する考え方をお話されました。
セミナーを終えて感じたこととしては、ブロックチェーン技術は、一般のビジネスパーソンが目にする範囲で、国内で活用されている事例はまだ多くなく、海外の活用事例を知るだけでも、新たな応用の可能性が生まれるだけに、今知っておくべき知識だと改めて感じさせられました。
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