2022年4月27日(水)に当社は無料セミナー「変革に必要とされる『デザイン思考』とは?企業における導入事例」を実施いたしました。
本セミナーでは、「なぜ、デザイン思考が注目されるのか」「そもそも、デザイン思考とは何なのか、何に活用されるのか」について解説し、実践の場においてどのように導入・活用されているか、事例を用いながらご紹介いたしました。
今回は本セミナーの概略についてご報告いたします。
目次
当日のアジェンダ
- 開会のご挨拶、本セミナーについて
- 講演 :これからの世の中で『デザイン思考』が必要な理由<35分>
(株式会社アイディアポイント 代表取締役社長 岩田 徹) - 講演 : 『デザイン思考』の導入・活用事例<30分>
(株式会社アイディアポイント 取締役 内田 智士) - 質疑応答
- 閉会のご挨拶、当社ソリューションのご案内、アンケート
以下、本セミナーのサマリを箇条書きでご報告いたします。
プログラム①「これからの世の中で『デザイン思考』が必要な理由」
デザイン思考とは?(歴史、プロセス)
- もともとはデザインの方法論として研究されていましたが、1999年以降、「ビジネス分野への応用」が注目されるようになりました
- school(スタンフォード大学デザインスクール)からスタートしたデザイン思考は、アメリカ、ヨーロッパを中心として、世界中に広がっています
- デザイン思考とは何かというと「優秀なデザイナーがやっているように、自由な気持ちで試行錯誤しながら考える」ことです。※注 : デザイナーが行っているのは『デザイン(=意匠)』だけではなく、広義には『デザインする』という行為。ここでは広義の『デザインする(創造する、構成する、構築する)』行為を指しています
- デザイン思考のプロセスは、下記の図のように、「観察」、「発想」、「プロトタイピング」を行ったり来たりして考えます
デザイン思考が用いられる範囲
- 『デザイン思考を活用している』企業は多く、その適用範囲も製品開発からサービス、各種問題解決へと広がっています
なぜ、いま、デザイン思考なのか?
- 下記の図のように、しっかりものを見て、みんなで考えて、少しずつ試してを繰り返しながらよりよいものを作っていくという『正解がわからない』、 『過去の経験が通じない』中で問題を解決する現実的な方法だからです
デザイン思考導入のよくある質問
- ロジカルシンキングとは、どのようにすみ分ければよいのか?
・『解』のありそうなもの、効率的に取り組めるものはロジカルシンキングの方が得意です
・デザイン思考は効率が悪いです(観察してみんなで話して、試しながら、また観察して…) - こういうのって課題によって向き / 不向きがあるんじゃないの?
・論理的に解が導けるものはやる必要はありません & 緊急事態にも不向きです
・「ぱっと考えて答えがわからないもの」、「人の気持ちや無意識が強く関わっていそうなもの」、「わかっているけど解決されていない問題」が比較的向いてます - 話はわかったけど、実際にどんな場面で使ったらいいのか?
・どんな場面でも!と言いたいところですが、まずは人を観察するチャンスがある場面が(使う)チャンスです
・みんなでアイディアを出す場面(発想)等、分割して、使えそうなタイミングを探すと使いやすいと思います
・最初は小さなことからはじめるのがおすすめです - ひとまず、はじめようと思うが、一体、どうやってはじめたらよいか?
・理解のある人 / 好きな人からスタートして、少しずつ成果をあげていきましょう!!(イノベーター理論) - 自分の仕事と『イノベーション』は関係ないんだけど…
・イノベーションという言葉を使うと大げさなので、『みんなが気がつかない問題に気がついて、よりよくするために工夫する』くらいの意味で理解してください。そうすれば、どんな人も使うところがあるのではないでしょうか
まとめ
- 必ずしも『正解』がない / あっても、コロコロ変化する環境下では、デザイン思考のような試行錯誤的なアプローチが必須
- 経験したことがないアプローチ方法は外部の協力を得るのも選択肢のひとつ
プログラム②『デザイン思考』の導入・活用事例
『デザイン思考』の導入事例の区分
基本的には、下記のように大きく2つに分けられます
- 人事部門が主管で導入される場合
- 各部門(主に、研究開発部門、新規事業開発部門、DX推進部門が主管)で導入される場合
人事部門が主管で導入される場合
- 以前は、選択型研修のラインナップの一つとして実施されるケースが多かったですが、ここ数年は、全社的にデザイン思考を共通言語化していくということで、全社的に導入するという企業が増えてきています
- 管理職以上では、イノベーション実現に向けた施策の一つとして、「イノベーションとデザイン思考」といったタイトルで講演+ミニワークショップを実施するケースがあります
- 中堅・若手層では、選抜者向けアクションラーニングの一部に導入したり、階層別研修へ導入するケースがあります。若手向けの研修として、実施されることが多いロジカルシンキングと同じように、基礎的、且つ、必須スキルとして、デザイン思考を導入するケースが非常に増えています
各部門(主に、研究開発部門、新規事業開発部門、DX推進部門が主管)で導入される場合
- 5年~10年くらい前は、研究開発員への選択型研修の一つとして導入されるケースが多かったですが、昨今は、より実践的にデザイン思考を活用する場面が増えてきています
- 新規事業開発やDX推進部門に、異動などで新たに着任した方々向けに、デザイン思考を共通言語として覚えていただくために、何かしらの形で導入するケースがあります
- 新しいものを生み出していく、特に新規事業創出のプロジェクトの初期の段階で、デザイン思考を身につけていただく場を提供するケースがあります
- 新規事業提案制度の一環で、提案制度に応募したいけど自信がないと迷っている社員が、新しいアイディアを生み出すことに苦戦することも多いので、ワークショップのような形式でデザイン思考を取り入れているケースがあります
まとめ
- 新しいものを生み出す基本的な考え方としてのデザイン思考の導入が進んでいます。また、論理的に考える(ロジカルシンキング)こととの対になる考え方として導入され始めています
- 実施する内容に大きな違いはありませんが、異なる対象(例えば、管理職向け)や実施の目的(スキル向上なのか、新しいものを生み出すプロセスの一部なのか)によって、アレンジする必要があります
- 既に様々な事例があるので、自社で導入する際には、その事例を参考にするとよいと考えられます
変化が激しく、未来の予測が難しいVUCAの時代の中で、ビジネス環境においても、想像もしていないような変化が訪れています。企業は、「変革を推し進める」ことに早急に、且つ、一部の社員が取り組むのではなく、全社で取り組む必要性が高まっています。また、「根本的な変革」「従来の延長線上にない考え方、アイディアの創出」が必要なっています。デザイン思考という試行錯誤的アプローチはより現実的な対応策の一つと言えるのではないでしょうか。
本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社アイディアポイント
管理本部
高橋佑季