2022年11月16日(水)に当社は無料セミナー「異業種交流の取り組みに関する勉強会・意見交換会」をオンライン(zoom)にて実施いたしました。
本セミナーでは、「異業種交流」の設計における意外と見落としがち / 難しい点について解説した上で、「異業種交流」に興味を持っている企業様同士で、意見交換の場を設けました。
今回は本セミナーの内容、様子についてご報告いたします。
当日のアジェンダ
- 開会のご挨拶、本勉強会・意見交換会について
- プログラム① : 異業種交流施策の目的とその設計
(株式会社アイディアポイント 取締役 内田 智士) - プログラム② : 参加企業による、異業種交流に関する意見交換
- 閉会のご挨拶、アンケート
以下、本セミナーのサマリを箇条書きにてご報告いたします。
プログラム①:異業種交流施策の目的とその設計
異業種交流の設計の手順
- 異業種交流が(有効そうなので)実施したいと考える際、感覚的に決まっている範囲も多いですが、一般的な研修と同様に、以下の手順を踏むことをおすすめします
1. 対象者を想定する
2. 対象者の課題、対象者に求めることを考える
3. 異業種交流を実施する目的を考える
4. 異業種交流の具体的な内容を考える - 特に上記の2、3が抜けてしまいやすいので、注意が必要です。「異業種交流を実施すること自体が目的」にならないようにしましょう
異業種交流研修の設計のポイント
- 異業種交流研修を実施する内容を検討する際、「プロジェクト」「知識・スキルのインプット」「交流」のどのような形態をとり、どこに重きを置くかを決める必要があります
- ポイントは、「交流をメインの目的としない」ことです(交流は「結果」であって、「目的」ではありません)
異業種交流研修の実施に向けて失敗しやすい例としては下記が挙げられます
- 企画の段階で内容を絞りすぎると参加してくれる企業が集まらない
- 逆に、内容を絞れないと、「対象層」や「課題」だけでなく、「実施内容」に対する同意、「研修の実施回数・期間」のボリュームに対する感覚、要望が一致しあう企業はかなり少なくなる
- 研修の実施回数や期間と、研修に求めることのバランスが取れていない(内容を盛り込みすぎている。「研修の実施回数・期間」は少なくして欲しいが、「業種の違い・会社の特徴にして、学びはより深めたい」と希望しても、限度がある)
- (上記とは別に)相手選びにこだわりすぎる。特に、「会社としてちょっと格上の存在」を希望。(相手企業にもメリットがないと、実現されない)
『異業種から学ぶ』という目的を達成するための『(異業種交流)研修以外』の選択肢
- 実際に仕事を経験する場合には、社外の会社・組織への出向・留職
- 異業種から新たな知見を得たいだけの場合は、研修という形式ではなく、「有識者を招聘した講演会・コンサルティングの方が効果的
まとめ
- 異業種交流を実施したい場合は、改めてその目的を明確することが大事
- 研修は、目的にあわせて、実施内容を決めます。その際に、どういう形態で実施し、どういうテーマを取り扱うかをよく検討することが重要
- 多少譲れる条件(回数や期間、相手の会社の規模や業種)があれば、柔軟に構えておくことが現実的
プログラム②:参加企業による、異業種交流に関する意見交換
各社で検討している / 興味のある受講対象層に分かれて、問題意識の共有、意見・情報交換を行いました。対象は以下の通りです。
グループ1:若手・中堅社員を対象とした異業種交流にご興味ある方
この層に関しては、特に、優秀層(選抜者)を対象として『社外に触れる機会を持って、より成長する』ことを目的とするべきなのか、それよりももっと対象を広くして『全体の底上げ』、『意識の醸成』を目的とするのかという論点について議論しました。できるだけ、多くの若手に異業種の人と触れ合う機会を設けたいものの予算に限りがあることや、この層に関しては、異業種交流の場が意外とないという意見が挙がりました。
グループ2:ベテラン社員、40代半ば以上を対象とした異業種交流にご興味ある方
この層に関しては、 長年自社で勤めていて、考えが凝り固まっている場合もあるので、他社に触れることを通じて、『凝り固まっている枠』を取り払えないか、また、リスキリングと言われている中で、異業種に触れることを良いきっかけとして、再度、モチベーション高く仕事に取り組んでほしいという話がありました。また、思い切って、ビジネスど真ん中から少しズラして地方創生というテーマで、改めて社会にとって価値貢献できることとはなにかを考えてもらうという工夫をしている会社もあるようでした。
グループ3:新規事業開発部門、研究開発部門、新規事業にチャレンジする社員を対象とした異業種交流にご興味ある方
業務の性質上、他社とのコラボレーションや新しいものの創出が求められるため、より実務に近いテーマを設定し、『成果物』を期待するような研修を行うのか、あるいは、『見聞を広める』『担当者の人材育成』に重きを置くのか、バランスをとるのかについてどのように考えるか議論がなされました。
また、階層を問わず、通常の研修との違い、異業種交流型の研修独特の課題、難しさ、各社の工夫についても議論しました。例えば…
異業種交流研修が効果があるという感覚はあるが、企画段階でどのような『目的』を設定して、そこから得られる『学び』を具体的にどのように考えればよいか
(実際の声)
- 高い視座、広い視野をもってほしい
- 自律的なキャリアを歩めるようになってほしい
- 『外』に出て自分の強みなどを認識して、コンピテンシーを高めてほしい
- 他社 / 他者と比較して、自分の市場価値をはかってほしい
- 自社の資源は限られているので、他社と協業するきっかけになればよい
など
実際に異業種交流に送り出す際に、どのように人選して、どのような工夫をして送り出していくか(どのように受講者にモチベーション高く参加してもらえばよいか)
(実際の声)
- 参加してからのアンマッチを防ぐために(こんなに大変だと思わなかった等)、どの程度大変かなどを事前にきちんとアナウンスする
- 異業種交流研修についてアナウンスする際に、過去に参加された『受講者』の声を入れる
- 実際問題、手を挙げる人が少なくて、人選には苦労している(自発性に任せたいが、任せると出てこない)
など
研修の成果をどのように測定 or 社内に還元してもらうか、どのように考えればよいか
(実際の声)
- 実施後にアンケートをとって、本人たちがどんなことを感じ、どんなことを学んだかを確認している
- 研修後に、社内で成果発表会を実施して、本人たちから研修の学びを共有してもらう時間をとっている
- 直接の成果とは言い切れないかもしれないが、社内で能動的に活動している社員が、異業種交流研修を経験したことのある人が多いと感じる
など
『異業種交流』の意義やその目的・狙いなど企画の考え方、実務上の細かい工夫について、他企業様と情報共有、意見交換をする場はなかなかないと思いますので、参加されたみなさまにとって、有意義な場となっているようでした。
本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社アイディアポイント
管理本部
高橋佑季