セミナーレポート:地方銀行の変革に向けた人材開発の取り組みに関する勉強会・意見交換会

2023年126日(木)に当社は無料セミナー「地方銀行の変革に向けた人材開発の取り組みに関する勉強会・意見交換会」をオンライン(zoom)にて実施いたしました。

本セミナーでは、「変革」を推し進める地方銀行として、人事制度改革、フィロソフィーの浸透、新たな研修の企画などに取り組まれているきらぼし銀行の人事部門の方にお越しいただいて、具体的に取り組んでいる施策を事例としてご紹介いただきました。また、会にお集まりいただいた企業様同士で、各社様の取り組みに関して意見交換する場を設けました。今回は本セミナーの内容、様子についてご報告いたします。 

目次

当日のアジェンダ

  • 開会のご挨拶、本勉強会・意見交換会について
  • プログラム① : きらぼし銀行様における変革に向けた人材開発施策について
    (渡邊 康一郎 氏 株式会社きらぼし銀行 HR部、木村 充 氏 株式会社きらぼし銀行 HR部)
  • プログラム② : 株式会社きらぼし銀行の取り組みから紐解く、地方銀行の課題とそれに対する施策の整理
    (内田 智士 株式会社アイディアポイント 取締役)
  • プログラム③:参加企業による、人材開発に関する意見交換会
  • 閉会のご挨拶、アンケート

以下、本セミナーのサマリを箇条書きにてご報告いたします。


プログラム①きらぼし銀行様における変革に向けた人材開発施策について

きらぼし銀行とは

  • 3行(東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京)が合併し、20185月に発足した銀行
  • ビジョンは、「お客様の新しい価値を創造する東京発プラットフォーマーとなる ~東京発、日本、そしてアジアへ」

人的課題

  • 組織内コミュニケーション活性化
  • きらぼしびと(新たな組織文化の醸成)
  • プロフェッショナリティの高度化

組織内コミュニケーション活性化

  • 同じベクトルで取り組むことが組織変革をする上で最も重要
  • 異なる企業文化で育った社員が真に融合するためには社員個々がお互いを理解することがスタート

きらぼしびと(新たな組織文化の醸成)

  • バックグラウンドの異なる社員が同じ方向を向いて仕事をしていくためにはどうするか→企業文化の醸成
  • 2018年の合併時に作成した人事制度をわずか3年で見直し、新人事制度導入した。テーマ 「個の強化、勝てる組織~お客様から愛される 市場価値の高い人材~」。人材育成方針、研修プログラムを全面的に見直した

プロフェッショナリティの高度化

  • 組織内コミュニケーションの活性化 及び きらぼしびとが浸透した結果、財務上の数値向上し、市場からこれまで以上により高い質のサービスを求められる会社に成長したため、プロフェッショナリティの高度化が必要になった

HR部門のミッション

  • 「統合的な人材プラットフォーム」になること
  • 「社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる仕事や環境を提供すること」がHR部門の務め

新しい人材育成プログラム・人事制度の導入

  • 講義研修をなくして、みんなで車座になって実施する研修をはじめた(なりたい自分、ありたい自分、自分ごと化(当事者意識))
  • 職能職務型から役割(ジョブ)型への変更、年功序列撤廃するなど人事制度を刷新した
  • その結果、キャリアが明確な社員数が増えた

タレントマネジメントシステムの重要性

  • 従来のハイパフォーマーの考え方は、過去の評価と所属履歴が中心であった
  • 現在のハイパフォーマーの考え方は、上記に加え、エンゲージメント、行動特性、コミュニケーション、具体的なスキルが加わった
  • 社員一人ひとりの強みを一元把握していくこと、また、様々なデータを活用して多様な強みを活かしていくことが重要

育成体系の柱について

  • キャリア支援⇒自身の殻を破る「オーナーシッププログラム」
  • きらぼし文化の醸成⇒行動指針の理解浸透を図った「きらぼしびと研修」
  • 専門性の追求⇒各専門分野に特化した「道場研修」

プログラム②株式会社きらぼし銀行の取り組みから紐解く、地方銀行の課題とそれに対する施策の整理

本セッションでは、当社内田より、地方銀行にて表出している主な課題についてお話させていただきました。経営方針として「変革」を掲げ、顧客本位のコンサルティングの実践や新たなビジネスモデルの構築を実現したい一方で、実現するために必要な人材の育成、その土台となるエンゲージメントの向上などの施策に取り組めていない、もしくは、なかなか成果が出せていない状況が多く見られます。


プログラム③参加企業による、人材開発に関する意見交換

当日は、以下のような点について、情報交換・意見交換が行われました。

きらぼし銀行の合併後の組織づくりのための取り組みについて

  • 3000人規模のBBQ大会を実施した。家族同伴OKのイベントで、社員の半分くらいが参加した。役員陣が法被を着て、ビールサーバーをかついで、社員一人一人に声をかけてビールをついでまわった。社員からも好評だった
  • 組織づくりに関する研修は目の前の仕事と直結していないので、参加者が集まりにくい。研修を受講した人たちの「アルムナイ」をいかに形成していくかが大切。受講した人からまだ受講していない人たち研修の良さを伝えてもらう。インフルエンサー作りに力を入れている

きらぼし銀行におけるキャリアの考え方について

  • 以前は、スタッフキャリア(一般職)をつくっていなかったため、作った。子育てなどで一時的にスタッフキャリアにして、「もっと頑張りたい」と思ったら、またプロフェッショナル(総合職)を目指すことも可能にした
  • 過去は、マネジメント職にならないと給与が上がらない制度しかなかったが、現在は、専門職(例えば、営業としての能力が高いスペシャリスト)でも給与が上がる制度もあわせて設けられた

各行における人的資本経営に対する考え方・取り組みについて

  • 各行ともに「人的資本経営」について様々な取り組みを行っていました

(以下、各行の参加者の声)
・社員を「大事にしている」姿勢を見せている。例えば、新人研修の手厚さや、階層別の研修をかなりの頻度で実施している。また、メンタル面の弱い社員、離脱しそうな社員がいたら、人事部で把握・対処をしている
・女性も営業に出るようになった。異なる支店の女性の営業担当と会って情報共有することを、人材育成担当の主管で行っている
・DXの育成やサステナブルについての研修をしている。資格の受験料やテキスト代の補助などの施策を打っている

各行の資格取得に対する考え方・取り組みについて

  • 資格取得に関しては、ほとんどの銀行様で昇格条件となっていました。銀行領域以外のスキルに関してもサポートをしている銀行様もありました

(以下、各行の参加者の声)
・資格は使えないと意味がないので、資格取得の制度(昇進に資格が必要など)はなくした。なくしたら、勉強しない社員が増えてしまった。ただ、自己研鑽に2万円の補助はだしている。自律的に勉強してほしい
・昇格条件に資格は入っている。銀行領域以外のスキルも身につけてほしいと思っている。農林水産、観光、ものづくりなど。勉強するための通学費用などは何割か負担している
・年次によって、資格取得のカリキュラムができた。土曜日に資格取得のためのセミナーを実施しており、参加者も多い
・資格を取得すれば報奨金を出すなど、手厚くしている

各行での異業種交流研修の取り組みについて

  • 異業種交流は有効だと考えつつも、社内研修よりも実施のハードルが高いことからか、実際に「異業種交流研修」を実施できている銀行様は少なく、まだ実施できていない、もしくは実施を検討中の状況でした。また、当社スタッフより、「最近、異業種交流研修を実施する企業が増えてきている。自分たちの業界の「枠」を取り払うのに有効である」というお話もさせていただきました

短い時間ではありましたが、きらぼし銀行様への質問および各行間での情報交換を行っていただきました。細かいところで差異はあるものの、同じような悩みを抱え、解決するために試行錯誤されているご様子でした。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
管理本部
高橋佑季

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