定型業務を外部化(アウトソース)してわかったこと&おすすめする理由

企業研修の数が増え、当社主催の異業種交流研修もスタートするため、当社は9月から繁忙期に入ります。これまで毎年少ない人数で乗り切ってきましたが、ビジネスの拡大を目指すにあたり、まずは納品オペレーションの標準化と属人化を解消すべく、2023年4月より一部定型業務のアウトソーシングを開始しました。 研修運営にかかる雑多な作業や実務でお困りの事務局の方もいらっしゃるかと思いますので、当社がどのようにアウトソーシングを進めて行ったのか、手順をご紹介したいと思います。


目次

きっかけは鶴の一声 ~ よし、アウトソースしよう!!

2023年の3月のことです。9月以降の業務の進め方について、社長から相談がありました。


社長「9月以降、繁忙期に入るけど、今の体制で大丈夫かなぁ…」

私 「そうですね…目一杯頑張れば、なんとか回せるとは思います。でも属人化しているタスクもあるので、誰かに何かあったら業務が止まってしまいますし、チェック機能も万全とは言えないので、いつかトラブルが起こるんじゃないかと不安ですね。」

社長「そうだよね。……。そしたら、定型業務についてはアウトソースしたらいいんじゃない?」

私 「いつかお願いできたら嬉しいです!(今すぐは難しいかもしれませんが)」

社長「よし、アウトソースしよう!!とっとと決めて、さっさとやる!4月の上旬から始めるよ!」

私 「………………!!!!」

4月は本格的な繁忙期に比べれば多少は落ち着いているとはいえ、業務量は決して少なくなく、そこそこ忙しい時期です。
うそでしょ?そんな、近所にお散歩に行くみたいなテンションで本気で言ってるの?マニュアル一つもないのに無理じゃない?せめて1か月猶予がほしい…。
これが私の率直な感想でした。でも、2023年度の当社のスローガンは「とっとと決めて、さっさとやる。」腹をくくって取り掛かることに決めたのでした。


そもそもアウトソーシングとは

既に一般的なものとなってきておりますが、念のためご説明いたしますと、アウトソーシングとは従来は組織内部で行っていた、または新規に必要なビジネスプロセスについて、それを独立した、専門性の高い別の企業等の外部組織(子会社や協力会社、業務請負・人材派遣会社など)に委託して、労働サービスとして購入する契約のことを言います。(Wikipediaより)担当者以外でも対応できる定型的な業務を外部委託し、担当者の判断が必要な業務に注力できるようにすることが目的です。


アウトソーシングにあたりやったこと

先に挙げたように、アウトソースできるのは「誰でも対応できる定型的な業務」です。そのため、私たちは下記の順番で業務を委託しました。

  1. 外部委託できる業務の洗い出し
    誰でも対応できる、もしくは誰が対応しても問題ない定型的な業務とは、マニュアル化・標準化できる業務のことになります。マニュアル化、標準化が可能な業務を洗い出し、リストを作成しました。その後、リスト上で優先順位をつけ、アウトソーシングをする順番を決めました。
  2. 業務手順の整理とマニュアル作成
    アウトソーシングするにあたり、ここが一番の難所かもしれません。自社のメンバー以外が対応したとしても、同じ手順・同じクオリティで業務をしていただく必要があります。そのため、これまで担当者の暗黙知や社内で阿吽の呼吸で進めていた業務についてもしっかり手順を整理し、言語化・図示化しなければなりません。この段階ではまだ業務は外部委託できておらず、自身でオペレーションをこなしながら、マニュアルも作成しなければなりません。通常業務に加え、マニュアル作成も加わるため、一時的にタスクが増えて苦しくなりますが、ここは頑張りどころです。近い将来の自分自身の理想的な業務スタイルを思い浮かべながら、優先順位に従って、一つずつ着実にこなしていきます。
    (マニュアル作成も外部委託できますが、当社はあえてマニュアルの第一稿を自社で作成しました。)
  3. まずはスモールスタート
    マニュアルの第一稿ができ上ったところで、委託業者に方法をレクチャーし、お客様に影響の少ない業務から外部委託を開始しました。委託当初は段階ごとに細かくチェックをし、委託業者と連携を取りながら進めていきます。一度業務をこなしてもらえたら、その後は委託業者の方のみで担当いただき、判断に迷うこと、イレギュラーが発生した場合に連絡をもらうように依頼をしました。
  4. マニュアルのアップデートは委託業者へ
    実際に業務を担当いただいたことで、マニュアルに足りなかった部分や表現が分かりづらかった部分、補足が必要な部分が判明しました。そういった内容は、随時マニュアルに反映をお願いしました。マニュアルのアップデートをアウトソーシングすることで、タイムリーにマニュアルをアップデートすることができ、業務を知らない第三者が見ても理解できるマニュアルを作成することができています。
  5. 認識合わせは定例ミーティングを実施
    当社の場合は、これまで関わりのなかった全く別の会社に業務を委託しましたので、仕事で使用する言葉の認識や業務の進め方など、異なることもたくさんありました。委託した業務で困っていること、やりづらい部分については週に一度、30分程度の定例ミーティングで認識合わせを実施し、進め方にずれがないことを確認しました。毎週必ず実施することで、短い期間で業務を改善することができ、委託業者からの問い合わせも減り、作業スピードもアップしました。

準備をしていて特に辛かったのは、やはり自分自身で業務をこなしながら、手順やマニュアルを整備していくことでした。また、依頼はマニュアルができたものから五月雨にお願いしましたので、委託当初は細かい確認も多々発生しました。委託業者ともなかなか息が合わず、手順整備、マニュアル作成、確認、フィードバックとこれまでの業務にプラスして一時的にタスクが膨らみました。自分でやった方が早いじゃん、社長うらめしや、とも思っていましたが、試行錯誤すること2か月、委託した業務が上手く流れるようになってきました。やったーーー!!


アウトソーシングのメリット

結論を申しますと、当社にとって業務をアウトソーシングすることに苦労はたくさんありましたが、それ以上にメリットが多分にありました。

  1. 業務手順の確立・マニュアル化
    マニュアル化をすることで、これまで手順があるようでなかった業務、習慣的に決まっていたけど、社内で合意が取れていなかった業務、手順の不整合に気づくことができました。また、第三者が関わることで、手順の見直し、簡略化を実施でき、作業を効率化することもできました。社内の人間では暗黙知になりそうな部分も、第三者が関わることで全て可視化することができました。第三者が理解できるマニュアルが作成できましたので、今後、アウトソーシングを止めて業務を内製化する場合にも、すぐ業務開始が可能です。これは大きな財産だと思います。
  2. 社内の人間が対応しなくても良い業務があることに気づくことができた
    何となく、この業務は自分が対応しなければ、と思い込んでいた業務についても、思い切って委託業者にお願いしてみました。自分でなければうまくいかないのでは、トラブルが発生するのではと心配していましたが、特に問題はおきませんでした。自分でなければいけないと思い込んで、属人化を助長していたように思います。アウトソーシングすることで、手順ではなく経験で対応していた業務も減らすことができました。
  3. いつまでも記憶にとどめておく必要がなくなった・業務予定が立てやすくなった
    仕掛かり中のタスクがある場合、頭の片隅で常に気になっていましたが、委託した業務は、対応が完了して業者から連絡があるまで、すっかり忘れることができるようになりました。完了連絡が来れば決めた部分だけチェックすれば良いですし、予め納期もお伝えしているので、いつ頃確認のタスクが発生するのかも分かりやすく、業務予定も立てやすくなりました。まとめて対応することが難しい雑多な細かい作業によって業務が分断されることも少なくなりましたし、作業が分断されてイライラしたり、作業に追われて憂鬱になったりすることも少なくなり、マインド面を健全に保つことができるようになりました。
  4. より厳格に、確実に業務に対応できるようになった
    第三者が関わることで、原則としては依頼から納期まである程度の時間がかかるため、即時対応は難しくなりました。そのため、優先対応などのイレギュラー対応は原則としてできないことを社内でも周知することができ、社内の人間が対応することで出てくる甘えや例外処理はぐっと減らすことができました。より計画的に、確実に業務に対応できるようになりました。


    アウトソーシング前は懸念していた大きなトラブルもなく、ルールを決めて動くと、お客様も違和感なく受け入れてくださることが分かりました。何より、これまで作業で取られていた時間を企画などのコア業務に充てることができるようになり、当社社員がすべきことに注力できる時間が増えました。事前の準備や説明が必要ですし、アウトソーシングをすることは思ったよりも簡単にはできませんしコストもかかりますが、それに見合った対価は十二分に得られると思います。

委託業者に依頼する際のコツ・ポイント

最後に、スムーズに業務を委託するためのコツやポイントをお伝えします。

  1. 定例ミーディングの実施
    先にお伝えの通り、当社ではこれまで全く関連のなかった業者へ業務を依頼しました。業界も異なるため、企業文化も全く違います。小さな認識のズレが大きくならないよう、週に1度、30分以内ですり合わせを実施しています。わざわざ時間を取って確認すべきではないけれど、業務上少し気になっていることや進め方に問題がないかなど、お互いこの時間で確認するようにしています。気軽に質問や確認ができる場を作ることで、信頼関係も築きやすく、安心して業務を任せられるようになりました。
  2. やってほしいこと、やってほしくないことは明確に伝える
    業務を委託する際、明確なゴールをお伝えすることはもちろんですが、委託業者の判断でやってほしいこととやってほしくないこと、確認をすべきタイミングなど、余計な齟齬がないように、事前に明確に伝えておくことが大切です。
  3. 依頼はきっちりかっちり、よきに計らってもらわない
    アウトソーシングを依頼してから間もなく5か月になろうとしていますが、依頼方法は当初から変更せず、用件、納期、マニュアルなど、同じ方法できっちり依頼をしています。慣れてくると依頼の仕方もなあなあになり、多少雑な依頼でも、業者の方が気を利かせて対応をしてくれます。しかし、これでは社外の人に業務を属人化させ、イレギュラー対応を良しとする雰囲気を作ってしまいます。どんなに慣れた簡単な業務でも、依頼のルールは変えずに対応することが、結局は組織のためになるのです。


アウトソースを通じてわかったこと、学び・気づき

繰り返しお伝えしていますが、アウトソーシングは開始するまでに手がかかりますし、思ったよりもその通りに進みません。何度も、自分でやった方が早いし正確だなと思いましたし、上手くコミュニケーションを取って人に仕事をお願いすること、お願いする業務範囲を委託業者と当社で適正に振り分けることは大変だと実感しました。しかし、運用が上手く回り始め、委託業者との信頼関係も築けるようになると、安心して業務を任せることができるようになりました。これまで常に気になっていた仕掛かり中のタスクを完全に忘れられるようになり、確認のみすればよいこと、コア業務に集中できることで、作業負荷はもちろん、精神的な負荷もものすごく軽くなりました。昨年は繁忙期前に大きくなっていた不安も、今は来るなら来い!と楽しみにその時を迎えられる準備ができています。

当初の不安はどこへやら、現在業務数では11以上、時間にして月20~30時間の定例業務をアウトソーシングすることに成功しました。あの時の社長の一声がなかったら、ズルズルと結局現体制のまま繁忙期に突入し、不安な綱渡りの毎日を過ごすことになったと思います。仕事が落ち着いてから、準備ができてからと理由をつけて後回しにせず、多少大変でも一気に進めた方が、結果楽になるのも早いのです。

アウトソーシングは単なる業務の自動化や効率化だけではなく、それ以上に価値のあるものだと思います。現在は納品オペレーションの部分を中心に標準化を進めておりますが、今後は業務範囲を広げ、アウトソーシングできる業務と、社内の人間が対応しなければならない業務を見直していき、よりお客様に喜んでいただけることを考える時間を増やし、サービスを充実させていきたいと思います。

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株式会社アイディアポイント
企画開発部
藤原 梢

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