40代のキャリア開発は『忙しい日常から離れて、立ち止まって考える』機会をつくること

昨今、「人生100年時代」と呼ばれ、キャリア開発について注目が集まっています。そこで40代、50代のキャリア開発、キャリア研修の必要性について、問い合わせをいただくことが増えてきました。40代は既に業務経験があるので、将来に迷うことはないだろう。もうキャリア開発は不要なのではないか?まだ、定年を考えるタイミングには早いので、まだキャリア開発の話をしなくてもよいのではないか?様々な意見があると思いますが、今回はその40代のキャリア開発についての疑問点や施策についてお伝えしたいと思います。


目次

40代のキャリア開発が取り上げられる背景

なぜ、直近で40代のキャリア開発は取り上げられるのでしょうか。それは、40代という年齢層に特有の課題が見られるからです。

  1. 実際問題として、「キャリア」が多様化している
    終身雇用制度が消えていき、自律的なキャリア開発が求められる時代となりました。雇用が流動化する中、1つの会社で出世することが成功ではなく、多様な働き方が可能になりました。そういった中、20代~30代は入社当初からキャリアチェンジを前提に考える方が多くなっています。一方、40代はこのような時代背景の中、キャリアチェンジもある等、より複雑な選択をしなければならない可能性があります。

  2. 「ミドルクライシス」の時期になる
    40代における精神的に不安定な時期を「ミドルクライシス」と呼ばれます。自分のこれまでの人生やアイデンティティについて考え、葛藤したり不安を感じたりする時期となります。発達心理学では、大多数の大人が経験する人生の一つの段階として研究が進められています。キャリアについても、このまま同じ会社にいて良いのか迷う、管理職になる / ならないが決まる時期になる等、悩みの多い時期となります。

  3. 業務の責任は大きくなり、家庭でも責任が大きくなる(と感じる)
    仕事では、多忙で責任のある立場になることもあり、また、キャリアチェンジを考えるにも若い頃よりは選択肢が狭まってくる時期です。プライベートでは、子供の世話・学費、親の介護など、時間とお金の余裕に問題を抱えやすい時期となります。

40代のキャリア開発に対するいくつかの論点

40代のキャリア開発にはどのような論点があるでしょうか。他の年代のキャリア開発との違いなどから考えていきたいと思います。

20~30代のキャリア開発との違い

40代は過去のキャリアの中で築いてきた経験や具体的なスキルなどすでにある程度、積み上がってきたものがあります。また、周囲からのベースとなる期待値が高くなっています。

一方で、新しいことを始めるにはリスキリングの時間を取り、不適切になった過去の価値基準を捨てるという難易度の高い変容が求められます。さらに、ライフステージの変化から働く場所・時間など、制約の中でキャリア開発を行わなければなりません。

50~60代のキャリア開発との違い

40代はキャリアの中核期であるため、更にキャリアを確立し拡大することが求められることが多いです。特定の分野での専門性を深化させることが重要となります。キャリアを安定させたり、セカンドキャリアを考えたりするにはタイミングが早すぎると考えられます。

対象層を一括りにできない

40代といってもその対象層は一括りにしにくい層です。管理職か非管理職か、総合職か一般職かなどの社内での役割の違い、今の会社で上位職になるのか、現状維持で満足しているのか、頑張っているが上手くいかないなど、自身のモチベーションと会社からの評価の違いなどが考えられます。40代と一括りにせず、個別に対応を考えなければなりません。


40代のキャリア開発に対する支援の方向性

企業の人事部門として40代のキャリア開発に対してどのような支援が求められているのでしょうか。

  1. ライフステージとして大変なタイミングであることをまず理解する
    40代は働く場所や時間、金銭的な余裕など様々な悩みが発生しやすい環境にあります。まずは、このことを改めて理解する必要があります。個別の状況を理解した上で、異動や配置に対する配慮、勤務時間や休暇取得の柔軟性、金銭的な補助・支援など様々な角度から支援を充実させていく必要性があります。

  2. 40代の中でも「支援 / サポート」が必要な層はどこか考える
    40代といってもその対象者は一括りにできません。社内での役割や仕事に対するモチベーションとその評価に対して、上位層を支援していくのか、下の層を底上げしていくのか、頑張っているが上手くいっていない層を支援するのか、会社内の状況、戦略に合わせて対策を考えなければなりません。

  3. 基本は、忙しい日常から離れて『立ち止まって考える』時間を作ること
    多くの40代は仕事もプライベートも考えるべきことが多く、自分自身のキャリア開発について立ち止まって考える時間を持っていないのではないでしょうか。企業側ができるサポートとしては、キャリア研修を行い、今後の自分のキャリアや、人生を考える機会を持たせることが重要だと考えます。このような機会を持つことが、40代にとってこの先仕事をする上で活き活きとやりがいを持って働くきっかけとなるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、40代のキャリア開発について考えてきました。大きなポイントは身の回りの環境が大きく変わりやすい時期であること、キャリアの中核となり最も活躍できる時期が重なっている大変な時期であることです。多くの方は目の前のことに忙殺され、自分のキャリアについて立ち止まって考える時間を持っていないのではないでしょうか。「うちの会社はそういう人が多いかもしれない」、と共感いただける人事担当の方がいらっしゃいましたら、是非一緒に40代のキャリア開発支援について考えていきましょう。

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