デザインシンキングの『顧客』は『ターゲット』ではない!

デザインシンキングの『顧客』は『ターゲット』ではない!

アイディアポイント岩田です。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。私の方は、年明けから新しいプロジェクトがスタートしまして、いよいよ本格的に調査開始!のタイミングだったりします。

今回は、デザインシンキングを用いたプロジェクトの中で出てきた質問について、よく聞かれる内容をご紹介します。マーケティングの勉強をきちんとされている方ほど、混乱するところなので、少し丁寧に解説していきます。 

目次

デザインシンキングで『顧客を観察する』というけれども、何を観察したらよいのか?

私たちのプログラムでは、事前にデザインシンキングの動画を見てきてもらって、課題が起きている現場や、顧客の行動(商品・サービスを使っているところ、購入しているところ)をよく観察してきてくださいというお願いをすることが多くあります。

その際に、下記のようなご質問をいただくことがあります(内容はいくつかの質問を合体させていますが、趣旨としては、大体、このような内容です)。

『観察対象とするターゲットというのはどのように選出すべきでしょうか。どうもフレームワークを利用するのとは違うような気がして何人くらい観察すればよいでしょうか?具体的なアドバイスをください』

ということで、今回は、『観察対象をどのように選ぶのか』という点について書きたいと思います。 


マーケティングで用いられる『ターゲット』とデザインシンキングで指している『顧客』はちょっと違う

デザインシンキングでいうところの『顧客』というのは、『使用する / している人物』、『購入する人物』そのものを指しているので、マーケティングでいうところの『ターゲット』とはニュアンスが異なります。

マーケティングで表現している『ターゲット』は、世の中(マーケット)を属性によりいくつかのセグメントに分類して、その中のひとつを『ターゲット』として狙いを定めよう!ということで、その属性を持っている人の『集合』を『ターゲット』と呼んで、それを『顧客』として議論します。下記の図の真ん中のようなイメージです↓。探索・分類して、狙いを定めて(ターゲット)、打て!というのが基本的な考え方です。 

一方、デザインシンキングでは、一人の『人間』を顧客と定めて、その人の行動を観察するということをスタート地点にします。そして、その人(人間)が必要だと感じる / 欲しいと感じるものを考えて、それが結果的にそれ以外の人にとっても必要なものになるという考え方をします。

一人の『人間』を対象として、そこで起きていること、何をしたのか、どんな気持ちになったのか、何を考えていたのか、それはなぜなのか等、よりその人になりきって起きている事象を理解しようというのがその考え方です。

ということで、結論としては、課題だと感じることについて、その現場にいる『その人』を観察してみてください。人数は必ずしも多くなくて構いませんので、その人の行動をじっくりと観察するようにしてみてください。もちろん、多ければそれはそれでよいですが、最初は2-3名からスタートしたらいかがでしょうか? 


丁寧に見ていくと発見だらけ!?思ってたのと違う!? – そんなに見るところない『ことはない』

 いやいや一人の人をじっくり観察するって、そんなに見るところないだろうと思われるかもしれませんが、意外とそんなことはありません。一度でよいので、じっくり観察してみてください。

実務としては他社のものですが、↓こんな動画ありますので、「へー、こうやって使われているんだなぁ」ということで、参考にしてください。実際に営業や店舗の現場を観察して、それを活用している例が見られます。 
VOICE特集〜『行動観察』どんなビジネス?〜

私の最近のプロジェクトでは、博物館で来館者をピックアップして後ろについて何をやっているか全部メモしたり、会話の様子を個人別で観察してみたら、こちら側が見て欲しいところは完全スルーで、とりあえず置いておいたものをみんなが写真をとっていたり、なぜか、必ず渋滞するところがあったりと発見だらけです。

やはり、『机の上で考えているのとは全然、違うもんだな』、『他人のことはわからないものだな』と当たり前のことですが、実感できると思います。

ということで、動画でも解説されていたと思いますが、「個人」にフォーカスを当てて、その人が何をしているのかをじっくり観察してみてください。 


今回の結論 : デザインシンキングでは『人間』を中心に見よう。その結果が大きなビジネスにつながる(はず)

ということで、今回の結論です。デザインシンキングでは『人間』を中心に見ましょう。興味のある課題にもよりますが、↓を探してみてください!! 

  • その課題が起きている状況
  • 商品・サービスであれば、それが提供されている場所
  • あるいは、販売されている場所

そこで見つけた課題や発見、示唆を用いて、それが多くの人に共通の困りごとであれば、それは今後、大きなビジネスとなる可能性があります!ということで、それをどう解決して、どのようにビジネスにつなげ、その後、どのように発展させていくかはけれどもこれは別の話、いつかまた、別のときに話すことにしよう(ネバーエンディングストーリー風)。ということで、今回のブログはこれで終了です! 

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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