新規事業の案件・プロジェクトが停滞したときに、どのように対応するとよいか?(前編)

新規事業創出に取り組む企業の方から、「新しい事業の検討を進めていて、アイディアも考えて、ビジネスプラン(事業計画)も考えつつあるが、意思決定者の承認がなかなか下りず、案件・プロジェクトが進まない」というお話を伺うことが増えてきております。今回は、この課題を解決するために、どのような対応を行うとよいかについて解説したいと思います。


目次

新規事業の案件・プロジェクトが停滞する一番の原因は、顧客候補とのコミュニケーション不足

新規事業創出に取り組む中で、意思決定者の承認が下りない原因の最たるものは、「顧客になりうる人・組織(顧客候補)を見つけられていない」「顧客候補の困りごとを具体的に把握できていない」ことです。新規事業として検討している製品・サービスに対して、お金を出して買いたい・使いたいと言っている顧客候補を具体的に見つけられていれば、意思決定者は起案者からの提案を無視できないはずです。

検討している新たな製品・サービスに対して、お金を出して買いたい・使いたいと言ってくれる顧客候補を見つけるためには、顧客候補といかに多く接点を持って、深いコミュニケーションを取ることができるかが重要になります。つまり、「顧客候補とのコミュニケーション不足」が、新規事業の案件・プロジェクトの停滞する主な原因の一つになります。

別の記事「新規事業のアイディアは、プロセスのどのタイミングで評価し、どのような評価基準で、どのように意思決定したらよいのか?(前編)」にも記載しましたが、顧客候補とのコミュニケーションが十分に行われていれば、

  • 顧客 / 世の中の困りごとが明確に定義できているか?
  • 提供価値が明確に説明できているか?/ 困りごとを解決できるか?

といった内容については、おそらく評価基準をクリアできるはずです。

(上記の評価基準をクリアするために、顧客候補とコミュニケーションする際にどのような工夫を行うべきかについては、後編にて詳細を説明します。)

もし、顧客候補とコミュニケーションが十分取れているにも関わらず、案件・プロジェクトが進まないのであれば、それは、「意思決定者とのコミュニケーション不足」が原因の可能性が高いです。

意思決定者が承認しないとすれば、上記の評価基準以外のところで問題が発生していると考えられます。

どのような評価基準に重きを置いて評価するかは、企業や意思決定者、評価するタイミングによって異なります。特に、

  • 自社の目指す方向性に外れていないか? / 自社が取り組む大義はあるか?
  • (将来的に)大きな事業に育つ可能性があるか?
  • 自社の強みを活かすことができるか? / 相乗効果は期待できるか? / 勝てる見込みはあるか?

という評価基準は、企業や意思決定者、評価するタイミングにより基準が異なることが多いです。

顧客候補とコミュニケーションが取れているにも関わらず、意思決定者が承認しないときは、以上の評価基準のいずれかに引っかかって、意思決定者が違和感を覚えて承認しないケースが多いです。

また、評価基準は設けているものの、実際には、意思決定者自身どういう案件に対して承認する気になるか「提案を見てみないと分からない」というのも正直なところだと思います。評価基準の項目として設けているものの、基準が明確になっていないということも多いです。そうだとすれば、「これはどうか」「あれはどうか」と提案をいくつもぶつけてみないと、意思決定者のストライクゾーンが見えてこないということもよくあります。


停滞の原因を解決するために何か手を打たないと、状況は変わらない(どころか、悪化する)

新規事業の案件・プロジェクトは、社内のプロジェクトの中で、「期限」に関して特殊な扱いを受けていることが多いように見受けられます。新規事業の案件・プロジェクトは、進まないことが何となく許されてしまい、ズルズルと期限が遅れていってしまいがちです(新規事業の案件・プロジェクトだけでなく、それらを推進するための施策も同様です)。

例えば、ITシステムに関するプロジェクトが進まない、遅延するという状況になったら、炎上します。炎上したら、その火を消すために、躍起になって策を講じるはずです。しかし、新規事業の案件・プロジェクトは、そうならないことが多いのです。

もちろん、新規事業の案件・プロジェクトの場合、実際に検討を進めてみて、実際に顧客候補に話を聞いてみて、最初に想定していた内容とは異なる方向に進む、その結果として、スケジュールを引き直すということもよくあります。しかしながら、そうなった場合は、引き直したスケジュールで再度期限を設けて、ズルズルと遅れないようにアクションしていくべきです。

案件・プロジェクトがなかなか進まなければ、担当者本人の気力も減っていきますし、チームの士気も下がっていきます。また、案件・プロジェクトがズルズル遅れていくと、上市するタイミングを逸して成功する確率が悪くなってしまうかもしれません。最悪のケースでは、担当者が精神的にまいってしまったり、結果として案件・プロジェクトが実質的にストップしてしまったりと、誰もが望んでいないことが起こりえます。つまり、何か手を打つ、せめて課題を整理しなおすなどアクションを起こしていかないと、そのまま進まない・ズルズル遅れる状態になり、悪化していくことになるわけです。案件・プロジェクトが停滞したら、何かしら手を打つことが重要なのです。

今回は、新規事業の案件・プロジェクトが停滞する原因とその原因を解決するために手を打つことの重要性をご紹介しました。次回は、上記のことを進めるにあたって、具体的にどのようなことを行えばいいのか、注意しなければならない点は何かをご紹介したいと思います。楽しみにしていてください。

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株式会社アイディアポイント
営業部
内田 智士

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