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新規事業のアイディアを、どのようにしてビジネスプランにまとめたらよいのか


 
 
新規事業創出に取り組む企業の方から、「新規事業の起案者からの提案が、ビジネスとして成り立っているプランになっていない(儲かる絵が描けていない)」というお話を伺うことが多いです。また、さらに難しい課題として、「うちは大企業なので、(年間売上が)100億円規模のビジネスじゃないと社内で承認されないから、なかなか新規事業の提案が通らない」というお悩みを聞くことも多いです。今回は、この課題を解決するために、どのように考えるとよいかについて解説したいと思います。
 
 


 

意思決定者に対して提示するべきビジネスプラン(事業計画)の全体像

 
以下に新規事業創出のよくあるプロセスを記します(各社によってプロセスは異なると思いますが、大まかには以下のようなプロセスで進められているかと思います)。
 
 

 
 
意思決定者は、新規事業創出のプロセスにおいて、以下のような項目を見て、新規事業の「Go / No Go」の意思決定を行っています。各社によって、評価項目や評価項目のいずれに重きを置いて評価するかなどは異なりますが、以下の項目を網羅して検討されていれば、基本的に問題ない(意思決定するために事足りている)でしょう。
 
 

■ビジネスプランとして検討するべき項目

  • 想定している顧客像
  • 顧客に提供する価値
  • 商品・サービスの説明
  • ビジネスモデル
  • 競合、自社の優位性
  • 市場規模
  • マネタイズモデル(お金の支払いは誰が何の名目で行うか、単価・数量・固定費・変動費はどれくらいか、など)
  • 取り組む意義、ビジョン

 
 
意思決定者への提案となると「何をどこまで考えればいいのかよく分からない」というイメージを持たれている人が多く、不安に思いながら検討を進めるため、結果として検討の進捗が悪いことが多いように思います。ビジネスプランの一つ一つの項目を深く考えることはもちろん大変なのですが、まずはビジネスプランの全体を把握して、最低限何を考えるべきか・何を行うべきかを理解しておくことが重要です。

参考までに、ビジネスプランの項目を書いてみると、どんなに少なくとも、以下の例にあるくらいの情報量になります。
 
 

 
 

 
 

新規事業創出を推進する立場の方は、起案者が提案に向けて「何をどこまで考えればいいのかよく分からない」という不安を取り除いてあげることが重要です。不安を取り除いてあげるためにできることとしては、例えば、ビジネスプランの検討の方法論を学ぶことができる研修を実施したり、起案者が検討しているビジネスプランに対してアドバイスをしてくれるコンサルタントを手配したり、社内の評価項目を開示して各項目に関してどの程度の情報が必要なのかの目安が分かるガイダンスを作成したり、実施できることは色々とあります。

ガイダンスの例は、ほんの一部ですが、以下に記載しますので、ご参照ください。新規事業創出に関して施策を丁寧に行っている企業は、以下のようなガイダンスを一冊のガイドブックという形にして全社員(契約社員や派遣社員にも)に配布していたりします。
 
 


 
 


 

まずは一通り書いてみて進めることが大事

 
ビジネスプランは、検討するべき項目の数が多いため、一つ一つの項目を順番に精度高く考えていくという進め方をする人がいますが、おすすめしません。ビジネスプランを検討する際の進め方としては、まずは全ての項目を書いて埋めてみて、そこから各項目を修正していくことを推奨しています。理由としては、ビジネスプランというのは、それぞれの項目が独立しているのではなく関連性が高いため、一つの項目の内容が変更されたら、その影響で別の項目の内容も変更しなければならなくなることが多いからです。つまり、ビジネスプランの全体を見てみて、整合が取れているかを確認する作業が大事になるわけです。

例えば、「ビジネスプラン(事業計画)の例」として、「ドローンパイロットスクール(職業訓練所)事業」のビジネスプランを記載しましたが、現状のプランでは、BtoCのプランになっていて、これはこれで成立しそうです。しかし、顧客候補になりそうな人に話を聞いてみたら、「こういうニーズを持っている『企業』もあるのではないか」という意見が出てきて、BtoBの可能性も見えてきたとします。そうなった場合は、
 
 

・想定している顧客像
 
 

が変更されることになります。変更したら、他の項目をすべて見直すことが重要です。他の項目を見てみると、
 
 

・競合
 
 

あたりも変わってきそうですね。他にも、
 
 

・マネタイズモデル
 
 
のところで、顧客の単価も変わりそう(企業が顧客となると、動く金額が大きくなりそう)ですし、一方で、顧客数は限定的になるかもしれません。また、BtoBに強い企業なのかBtoCに強い企業なのかによって
 
 

・自社の優位性
 
 

なども変わってくるかもしれません。

このように、それぞれの項目が関連しているため、まずは一通り書いてみて、全体を見直してみる(整合が取れているか確認する)ことが大事です。ということはつまり、できるだけ早く一通り書かないと、全体を確認できないので、ビジネスプランとして良いのか悪いのか、いつまで経っても判断できないということになってしまうのです。

さらに言えば、上記の新規事業創出のプロセスにおいて、ビジネスプランニングのフェーズの前の「アイディア創出」のフェーズでも、簡易的にでもビジネスプランを書くことをおすすめします。簡易的なビジネスプランというものがどういうものなのかイメージが湧かないと思いますので、具体的に参考になるものを提示しますと、「リーンキャンバス(ビジネスモデルキャンバスを改変したもの)」というフレームワークを活用するとよいでしょう。
 
 

 
 

別の記事「新規事業の案件・プロジェクトが停滞したときに、どのように対応するとよいか?(後編)」にも記載しましたが、「リーンキャンバス」は、一旦完成させる段階では、その精度の高さは重要ではありません。プロセスを進める中で、顧客候補とのコミュニケーションを行い、検証を行い、柔軟に変更していくことのほうが重要です。
 
 


 

一つの製品・サービスで大きな市場を開拓することは、難しいことを前提にプランニングすることが重要

 
弊社のお客様は、大企業であることが多いのですが、この記事の冒頭にも記載したように、「(年間売上が)100億円規模のビジネスじゃないと社内で承認されない」という声を聞くことがあります。それに対して、一つの製品・サービスでその規模を実現するビジネスを考えるということは、かなり無理があります。気持ちは分からないでもないのですが、今どきなかなか難しいというのが正直な感想です。一つの製品・サービスで100億円の売上を作り上げるわけですから、「単価×数量=100億円」という単純な内容になるというわけです。
 
このようなお話をいただいたときにお伝えするのは、「年間売上高が100億円規模の企業がどのような事業を行っているか考えてみてください」ということをお伝えしています。例えば、東証一部上場の企業で、売上高が100億円規模の企業がどのような企業があるか調べてみますと、
 
 

・養命酒製造株式会社(2021年度売上高10,383百万円)

・京都きもの友禅株式会社(2020年度売上高10,257百万円)
 
 

といった企業があります。

個人的な印象では、歴史もあり、商品力もある印象なので、一つの製品・サービスで売上高100億円を実現されていそうですが、以上の企業ですら、「養命酒だけ」「呉服だけ」というわけでなく、養命酒製造株式会社であれば「食品」だったり、京都きもの友禅株式会社であれば「宝飾」だったり、別の製品・サービスも取り扱っている結果としての売上高100億円なのです(京都きもの友禅株式会社は、他にも、写真事業、オンラインスクール、ネイルサロン運営なども行われています)。

つまり、ビジネスプランとして検討するべき項目の中で、
 
 

・市場規模

 
 
を検討する際、売上高100億円が制約事項として存在するのであれば、「製品やサービスを組み合わせて考える」必要があるわけです。もう少し具体的に書くと、「最初に確実な市場をおさえた上で、段階的に周辺の顧客や知見を活用しながら、潜在的な市場へと展開して、市場規模を大きくする」というプランを考える必要があるのです。この考え方の詳細・具体例は、別の記事「デザインシンキングで発想したアイディアの事業規模が小さいときはどうすればよいか?」に記載されておりますので、ご参照ください。


 

意思決定者と提案者の意識する点のズレに要注意

 
意思決定者に提示するべきビジネスプランの全体像は上記で示しましたが、項目の中で、意思決定者がどこに重きを置いて確認したいかについても、しっかり把握しておく必要があります。意思決定者の考え方やキャラクターで異なったり、同じ意思決定者でも意思決定するタイミングで異なったり、ということはありますが、そういったことを除いても、意思決定者と提案者で意識している点がズレるということが結構発生しますので、ここは要注意です。
 
よくあるパターンとして、提案者が「何を」「どうやって」「いくらかけて」やるかについて一生懸命話したくなってしまうのに対し、意思決定者は、その点よりも、「なぜ」「いま」「我々が」取り組まなければいけないのかについてじっくり聞きたい、といったズレが生じることがよくあります。
 
 

 
 

弊社がご支援していれば、そもそも提案の前の段階で、意思決定者に「どういった点に重きを置いて聞きたいか」という確認を行ったり、提案者に対して漏れなく考えるように促したりできるのですが、皆さんが自身で提案される際も気をつけてみてもらえればと思います。

 
本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

株式会社アイディアポイント
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内田 智士

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