以前、DX関連で、
という記事をご紹介しました。
今回は、DX実現を担う人材・チームが、どのような知識・スキルを持っているべきなのかについてご紹介したいと思います。
DX実現の前に、基本的な情報系の知識やスキル(ICT関連知識)は勉強しておく
当然の話なのですが、DX実現を担う人材は、ICTに関する知識が必要になります。「ICTに関する知識」という表現だけだと範囲が広すぎて、イメージがわかないと思いますので、もう少し記載しますと、
- コンピュータやシステムの構成要素が何か
- ハードウェアやソフトウェア、データベースやネットワーク、セキュリティなどに、どのようなものがあるのか
といった内容に対して、最低限理解があることが求められます。
また、最近のICTに関して頻度高く用いられている、
- AI
- IoT・ビッグデータ
- ブロックチェーン
- RPA
- クラウドコンピューティング
といった用語に関しても、どういう意味なのか理解をしておく必要があります。
ICT関連知識を身につけて、「ICTの技術で何ができるのか」をイメージできる、話せるようになるべし
ここで最も大事なことは、「ICTを用いると、どんなことができるのか」「その中でも、最新の技術で、AIやビックデータ解析、ブロックチェーンなどの技術を用いると、どんなことができるのか」ということに理解があるということです。ICTに関する知識と言っても、プログラミングができるとかサーバー構築・運用管理ができるだけの知識が必要ということではないので、ご注意ください(ご安心ください)。ただし、データがどうインプット・処理されて、どう管理されるのか、結果としてどのように使われるのか(出力されるのか)といったことに対して理解を深めるために、コンピュータプログラムやデータベースに少しでも触れる機会は何かしらの形で設けられたほうがいいと感じます。
とは言え、「ICTに関する知識」があるか否かの基準が分かりにくいので、最近だと、ITパスポート(※)を一つの目安にして、ITパスポート試験に合格した社員を、ICTに関する知識を最低限持っていると見なす企業が出てきた印象です。あくまで一つの目安ではありますが、参考にしていただければと思います。
※ITパスポートとは、独立行政法人情報処理推進機構(略称:IPA)が試験の実施を行っている、情報処理技術者試験の一区分である国家試験
DX実現には、ICTに関する知識以外にも、ビジネスやイノベーションに関する深い理解等、難しい知識・スキルが求められる(ことがやっかい)
以前の記事でもご紹介しましたが、DX実現に向けて考えるべきこととしては、まずは、
- 社外に影響ある業務の範囲で行うか / 社内に影響がとどまる業務の範囲で行うか
- 既存事業の中での業務改善を行うか / 新市場開拓、新製品・新サービス・新規事業開発を行うのか
という観点で、どの範囲のことを実現したいのかを考える必要があります。
また、上記と掛け合わせて、
- 既存事業の中での業務改善を行うか / 新市場開拓、新製品・新サービス・新規事業開発を行うのか
という観点でも考える必要があります。
つまり、DX実現を行うためには、
- ある業務に関して、(デジタルの技術をかけあわせて、)今までとは異なる業務改善を企画・実行する
- (デジタルの技術をかけあわせて、)新市場開拓、新製品・新サービス・新規事業開発を企画・実行する
ために必要な知識・スキルが求められることになります。
もう少し具体的に記載すると、
- 自社のどの範囲で、どのような新たな価値を生み出すのか検討することができる
- 業務改善であれば、あるべき姿を描いて、現状を分析して、ギャップを埋めるための施策を企画(発想)することができる
- 新市場開拓、新製品・新サービス・新規事業開発であれば、誰をターゲットとして、どのような製品・サービスを提供するのかを企画(発想)することができる
- 企画(発想)した内容を実際に実行する際に必要となる投資(費用など)がどれくらいで、結果として得られる効果(効率性や売上・利益など)がどれくらいになるか想定し、投資対効果があるか示すことができる
といったことが求められるということです。まだまだ抽象的な表現ではありますが、求められるレベルがいかに高いかは感じていただけたかと思います。
さらに理想的には、先の世の中を見据えて、
- 新たな技術で、どのようなものが生まれてくる可能性があるか
- これからの社会(の中に存在する顧客となりうる人・企業)がどのように変化する可能性があるか
といったことを考えた上で、業務改善や新市場開拓、新製品・新サービス・新規事業開発の企画ができると、先々にも有効活用されるオペレーションや製品・サービスを生み出すことができます。
DX実現を担う人材に求められる要素は多いため、一人で満たすのは難しい。ゆえに、DX実現はチームで取り組むべき
ここまでの内容をまとめると、DX実現を担う人材に求められる要素は、以下のようになります。
ICTに関する知識だけでなく、難しいビジネス知識・スキルの両方が求められ、これらを全て身につけている社員を探す・育成することは、なかなか大変です。従って、一人の社員が全てを何とかしようと思うのではなく、お互いを補完するようなチーム構成を行って、チームでDX実現に取り組む必要があります。
ただし、この際に注意をしなければいけないのは、
- チームで取り組むにあたっての共通認識・共通言語をつくる必要がある
- お互いが補完できるように、企画の人がICTの知識を身につけることも大事で、逆に、ICT部門の人が企画するために必要な知識・スキルを身につける必要がある
ということを意識することです。
企画の人は、ICTで何ができるか分からないので、どう考えたらいいか分からない、という気持ちは分かります。なので、ICTで何が実現できるか最低限理解する必要があります。そして、ICT部門の人に、「(ICTで何が実現できるかを理解した上で、)こういうことを実現したいんだけど」と、ICT部門の人に依頼したり、やり取りを行ったりすることができるようになることを目指すべきです。
また、ICT部門の人も、要件をまとめてもらえればシステム構築できます、と言いなくなるのは分かりますが、ICTで何ができるか分かっているからこそ「だったら、こういうことができますけど、こういう風にしたらどうですか」と意見(企画)することが大事になります。
(企画の人も、今までとは異なる業務改善の施策のアイディアや新市場開拓、新製品・新サービス・新規事業開発のアイディアをバンバン発想して、そのアイディアの投資対効果をプランにまとめることが容易にできるという人は多くないと思いますので、発想力・企画力に関する知識・スキルを身につける・磨く必要があると思います)
また、DX実現に向けて、社外のベンダーとも上手く付き合うことも避けては通れないでしょう。DX実現の範囲が、業務改善にしろ、新市場開拓、新製品・新サービス・新規事業開発にしろ、企画(アイディア)は最終的には自社で考える必要があるので、企画(アイディア)を行う部分も社外のベンダー(例えば、ITベンダー)に丸投げしてしまうのは、結果としてコストが大きくかかる(そして、無駄が多い)ことになります。
外部ベンダーに支援してもらうのは、システム構築そのものを支援してもらうことは前提として、それ以外では、
- 業務改善、新市場開拓、新製品・新サービス・新規事業開発を企画する知識・スキルを向上させる
- 自社で考えたアイディアに対して客観的なアドバイスをもらう
ということに関して、その専門のベンダーを利用されたほうがいいと感じます。
上記に色々と記載しましたが、抽象度が高くてもよいので、そもそも「何を実現したいのか」という考えや想いがないと、知識・スキルを身につけても意味がないことがほとんどです。会社として、「DX実現ってよく分からないけど、とりあえず取り組む」という感じで進めてきた企業が多いと思いますが、そろそろ「何を実現したいかを考えることに重きを置く」ということを始めるタイミングにきているのではないかと感じます。
本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社アイディアポイント
営業部
内田 智士