「座持ちのよい」人になろう!(会議、グループ編)

アイディアポイント岩田です。今回は、最近、私の周囲で話題になっている『座持ちする人 / しない人』の違いについて、お話しします。『座持ち(ざもち)』とは、『座の興をさまさないよう客をもてなすこと。また、それの巧みな人(goo辞書より)』のことで、その人の周りでは、人がニコニコしてリラックスして話せるような状態になる人のことです。

今回は会議や商談などで複数人いる場合、グループで話す場合について説明します。得意な人はあまり意識せずにできることですが、苦手な人も心配ありません。「知ってさえいればできる」ことを中心にまとめましたので、ぜひ、参考にしてください。


目次

やることの基本は1対1と同じ!それを複数人分用意する

話を続けるためにやるべきことは、11の場合と同様です。下記が基本です(前回の記事はこちらからご覧ください)。これだけでも、相当スキルアップしますので、ぜひ、やってみてください!

  • 事前に相手が話したそうな質問や話題を準備しておく
  • 実際の場面では、質問して、話を続ける
  • 聞く際には、可能な限りよいリアクションをして、相手が気持ちよく話せるようにする
  • 雑談の「構造」を理解して、話題を提供して話を広げる
  • 上記を繰り返しながら、質問や自分が話す話題を蓄えていく

基本的には上記を『複数人』分、用意しておいて、会議や打ち合わせに臨みます。これだけで、問題ないレベルに振る舞うことはできると思います。

しかし、複数人になるとその分、複雑さも増すので、思うように振る舞えなかった、意外と話せなかった、なんか、自分が話した後にシーンとなってしまう時間が多かったな等、思った通りいかないことも出てくると思います。

今回は、複数人で話す場合に、「基本」に加えて、どんなことを意識して、どのように振る舞うと『場』が盛り上がるのかを説明していきたいと思います。これから書くことを知っていて、きちんと準備しておけば、自分が話をリードする立場でも、参加する立場でも困ることはなくなると思います。苦手意識のある人ほど、一度、きちんと取り組んでみてください。


そもそも、グループになると何が違うか? – グループは1対1の延長にない

1対1のコミュニケーションの合計がグループでのコミュニケーションになっているわけではありません。基本的に別種目だと理解してください。

1対1のコミュニケーションがテニスやバドミントン、卓球のようなボールやシャトルが行き来するようなスポーツだとすると、グループでのコミュニケーションはバレーボールやバスケットボール、サッカーなど、みんなでボールを回しながら(ボールをロストしないように注意しながら)ひとつの方向を目指すようなスポーツだとイメージしてください。

グループでのコミュニケーションと11のコミュニケーションの違いについて、もう少し正確に考えてみると、人が『複数いる』ことで、以下のようなことが起きることがわかります。

  • 自分の話や質問の『振り先(次に話す人)』が複数になる。振り先を選ばなくてはいけない
  • 自分に向かってくる質問が複数個所から飛んでくる。いつ、どこから自分に質問が飛んでくるかを見ていなくてはいけない
  • 話す順番が決まっていないので、、自分がどこで話すかを決めなくてはいけない。「誰がその話題を拾うんだ」問題が発生する(結果的に拾われないことも

個人の立場では、以下のようなことが起こります

  • 自分の話を上手に誰かに振らないと、拾ってもらわないと会話が途切れる(自分が話した後、シーンとなるのはつらいですね。11のように、なんとなく、自然に相手が拾ってくれたりしない
  • 自分にいつ順番が回ってくるかわからない。自分が話したいタイミングで話せない(相手の次は自分みたいな順番がないので思ったように順番が回ってこない。逆に、予想外のタイミングでいきなり、パスが飛んできて、イマイチよい返事ができなくて枕を涙で濡らした夜もあります)
  • 自分が関与できるタイミングが限られるので、会話の振れ幅が大きい。予想していない方に話が進んだり、話したかったのに、次の話題にいってしまい、話せずどれだけ悔しい思いをしたことか…思い出せる範囲でも100回くらいはありそうです
  • 実際問題として、自分に回ってくる回数が減る。一見、楽に見えるかもしれませんが、実は各回でそこそこ有効なことが言えないと印象に残らない。そこそこ有効なことが言えないとパス自体が回ってことない。結局、何もできず、うっ、オレ、ここにいるけど、仲間はずれかもと思ったことありませんか?ここで楽をしてしまうと次から呼ばれませんので、お気をつけを…「外される」のは非常にツラい経験です

最初に絶対に理解しておいた方がよいこと – グループでの会話はバレーボール or サッカーのパス回し

グループでの会話が苦手な人がやってしまいがちで、絶対にやってはいけないのは、「会話に参加しない」ことです。これだけは絶対に避けてください(座持ちも何も仲間に入れてもらえなくなります)。

同様に、グループでの会話の中で、「自分が話すことを話したらおしまい」、「自分の番が回ってきた時だけ話す」というのもあまり得策ではありません。実は、会話はトランシーバーでコミュニケーションしているような形式で成立しているわけではありません(『岩田です。私は〇〇だと考えます。以上です。次の人どうぞ。ブツ!』みたいなやりとりのことを指します。稀に、このような会話をしている会議もありますが)。

自然な会話は、完全に共同作業で、盛り上がる / 盛り上がらないは全員の責任だと考えてください。みんなでお神輿をかついでいる?くらいのイメージです。ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!あるいは、円になってバレーボールを落とさないようにみんなでつないでいるようなイメージです。「オレ取る!、オレ取る!」、「〇〇さん、お願い!」、「真ん中、誰か頼む!」、「OK。ありがとう!」みたいなノリで、全員でボールを落とさないように声をかけながら助けあうイメージです。

私が「グループでのコミュニケーションのよいイメージ」として紹介するのが、サッカーの『とりかご』という練習です。中にボールを取る人がいて、周囲の人はボールを取られないようにボールを回すというものです。特に、バルセロナのトップチームのボール回しはダイレクトパスがスムーズにつながって、本当に美しいグループでのコミュニケーションもこのようにありたいものです。それにしても上手いな

このように(ここまでうまくいくかどうかは別として)全員でボールとお互いを意識しながらスムーズにボールを回し続けるイメージを持つことが重要です。

まずは、このイメージを頭に置いて、『常にオンでいる(自分がボールを蹴ったらオフになるということをしない)』ことから始めてください。大切なことだからもう一度、書きます。

『とにかく、オフになっちゃだめだよ』

最初は、他の人の会話についていけなくてアタフタしても構いませんので、きちんと聞いて、いつでも話す(質問する)気概を持って参加してください。ちなみに、「あっ、この人、オフになっているな」というのは見ているとすぐにわかりますので油断しないようにしてください。たまたま、話を振られて、「あっ、えっと、何でしたっけ」となるのが最悪ですので、「〇〇ってどういうことですか?」、「〇〇のところが勉強になりました」等、なんでもよいので、話すことができる状態を保っておきましょう。最悪、「本当にそうですよね」、「いい話ですね」何でも構いませんので、足?手?口?が出せるようにしておいてください。


グループでの会話で少し上手に振る舞うコツ – 常に、顔を上げてプレーする。自分からプレーする

 
先ほどの『とりかご』の動画を見ていただくとわかりやすいと思いますが、選手は常に、顔を上げてボールと周囲を確認しながらプレーしています。彼らは、常に周囲の情報を拾いながら「今、自分のところにボールが来たらどうするか」を考えながら、常にいくつかの選択肢を用意しています、そして、実際にボールがきたらその中から最善の手を自然に選択してボールを蹴っています。決して、自分にボールが飛んできてから周囲を見てボールを蹴ってはいません。

グループでの会話も同様です。常に、会話の内容や周囲の人を良く見ておいて、自分に会話が来ることを前提に待っていて、自分の番が回ってきたときには最善のタイミングでアクションできるようにしておく気持ちでいることが大前提です。決して、「あっ、自分に話が回ってきた」、「一旦、理解して」、「その上で何かよい話題を考えて、次の人に振る」ということにならないようにしてください。おそらく、これだと時間が足りないと思います。

グループでの会話に苦手意識のある人は、できるだけ「早めに会話に参加する」ことと、「自分から話したり質問したりする」ことをおすすめします。

苦手意識があると、自分から行動するのを躊躇する気持ちは、私自身も以前は会話に入れないでつらかったのでよくわかります。しかし、会話は最初の方が「ある程度予想しやすい」ですし(最後の方になると自分の知らない話になっていることが多かったりする)、他人にいきなり振られて話すよりは自分のタイミングで話した方が話しやすいと思います(話題に詰まって、岩田さん、どうですか?と振られるのは、とてもキツくありませんか?え?ここで来る?というタイミングで話は振られます)。

特に、最初は比較的みんなが「話題に困っている」ケースも多いので重宝されやすいですし、準備してきた内容を披露しやすいのではないかと思います。何かの言い出しっぺは、印象にも残りやすいのでおすすめです。個人的には、「出オチ(出たそばからオチがついていること)」で十分、切り込み隊長は十二分な役割なのではないかと思います。

ポイントは、「できるだけシンプルに話題を提供する」ことです。『最近、〇〇ということに興味がある / 読んだ / 話題になっていておもしろいなと思いましたが、みなさん or 〇〇さん、いかがですか』というレベルで十分です。基本は、『全員が、そこそこ楽しく議論できる話題』の提供なので、自身が面白い話をする必要はありません。『気持ちよく話してもらう』ことを中心に自分がチームに貢献することを考えてみてください。


ファシリテーションの心構えと『話してくれない』人、『話しすぎ』な人はどうしたらよいか?

グループでのコミュニケーションにある程度、慣れてきたら、「全員が話したいことを話せているかな」、「楽しく参加できているかな(オフになっていないかな)」という点に少し気をつけてみてください。

パスを欲しそうな人(話せそうな人、話してくれそうな人)を探しておいて、そこに話しやすそうな質問や話題を振ったり、人が話しているときには、「他の人はこんなことをもう少し聞きたいだろうな」、「この人の話、この辺が少しわかりにくいだろうな」というのを考えながら聞きだしていくと会話が盛り上がりやすく、重宝されます。

さらに、慣れてきたら、ある程度、話題が尽きたり、シーンとなるタイミングで、「そういえば、先ほどの〇〇というお話に関連して~~」というように、会話を「拾える」ようになれば、もう十分、上級者です。

さらに、その中で自分も少し話したいことを話せるようになれば、『座持ち』する人、黒帯!認定です。立派なファシリテーターです!(会議でコミュニケーションを促し、スムーズに進行する役割をファシリテーターと呼びます)さらに、興味があれば、ファシリテーター、ファシリテーションと検索すると様々なスキルが紹介されていますので、研究してみてください。

よくある困ったケースに関して、対処法をアドバイスしておきます。ひとつめは、『話してくれない』ケースです。本人に悪気がある / ないに関わらず、結構、困ったものです。みんなで共同作業しているときに、自分だけ参加しない人がいるのは気をつかいますよね。まずは、「話題を振ってみる、質問してみる」ことをおすすめします。本当は輪に入りたいのにきっかけを掴めていない人は、それをきっかけに輪に入ってきてくれます。輪に入ってきてくれれば、よい反応でできるだけ話しやすい雰囲気を作ってあげてください。みんな仲間です!これで問題は解決します。逆に、輪に入る気がない人はそれ以降は無視しておけばよいと思います。みんなの共同作業に参加したくない人に無理やり参加してもらってもよい結果は生まれないと思われます。仕方ないですね。無理に引き込んで、雰囲気が悪くなるよりは、よいと割り切りましょう。そして、その責任はみなさんにはありませんので、気にしないでおきましょう。

逆に、「一人の人が長く話し過ぎる」のも問題です。ちなみに、「話が長すぎる」場合、完全に個人の問題かというと、意外とそうでもなく、私個人の感覚としては、8割は本人が悪くて、2割は周囲が悪いのではないかと思っています。ぜひ、上手に合いの手や質問を入れつつ、上手に話を引き取ったり、他にパスしたりできないかトライしてみてください。実際には、「みんなの反応がイマイチで不安になってしまい、つい、長く話してしまう」、「誰も入ってきてくれないから結果的に話が長くなってしまっている」ケースもあります。上手に関わることができれば、話している人にとっても嬉しいと信じましょう。それでも、うまくいかない場合にはドンマイです。ご本人、長くお話しされたいんですね。生暖かい気持ちで話を聞きつつ、ある程度、キリのよいところで、他の人もお話しできるように配慮できるとよいと思います。

ポイントは、「共同作業」です。全員でその『場』を盛り上げられるように上手に話を振りながら、話を続けられるようになってみてください。


おわりに – 振り返ってみたらファシリテーションのスキルになっていた

今回は、長文におつきあいいただき、ありがとうございました。先日、oViceという当社で使用しているバーチャルオフィスの会社のイベントで『厚切りジェイソン』氏がパネルディスカッションのモデレータをやっていました。これは本当にすごかった!ご本人も周囲の人もニコニコしているし、客席から質問を拾い、演者に振り、話が盛り上がるようにツッコミ、さらに、自分でボケて、時間管理して、きれいに落とすとても楽しい時間でした。うーん、世の中にはすごい人がいたもんだと思いました。

今回は、どんな考え方で何をすると『座持ちのする人』になるのかというテーマで書きました。書いてみるとファシリテーションのスキル?に近い内容になりましたが、大事なのは、「グループでのコミュニケーションは共同作業である」ということと、そのときに、「常にオンでいる」ことです。グループでのコミュニケーションは仕事の基本ですので、苦手な人は参考にしてみてください!本記事の内容は一部、研修プログラムにもなっていますので、ご興味のある方は当社営業にお問い合わせください。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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