アイディアポイント岩田です。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。私の方は、9月からいくつかの新規事業検討プロジェクトがスタートしていいます。まずは、年内 / 年度内に向けて計画を策定して、一度、提案していきます!すべての提案が採用されるようにしっかりとサポートしていこう!と気合い入っています。
ということで… 今回から数回は、プロジェクトの中で出てくる「よくある質問」とその回答を書いていきたいと思います。今回のテーマは、有識者インタビュー、ヒアリングのコツ… の中でも、自社やプロジェクトに関する情報をどこまで開示するかという点に関する回答です。
実は、インタビュー、ヒアリングのノウハウは、現在、プログラムにまとめています。ブログで書きながら、FAQでまとめようかという目論見…です。有識者インタビュー、ヒアリングは、実は、ノウハウの固まりなので、聞きたいことがあれば、ぜひ、ご質問してください。これまで回答していたものを集めて、わかりやすく提供していきたいと思います!ということで、今回は、第一弾?!自社の情報開示をどう考えればよいかです。
インタビュー、ヒアリングの際に迷った際には、「目的、ゴール」と「相手の目線」で判断するのが大原則
具体的な話の前に、『基本的な考え方』についてお話しします。
インタビュー、ヒアリングの際に、どう振る舞うか迷った際には、この原則を思い出してください。基本的にはこの原則に沿って判断すれば、間違うことはありません。
ひとつめは、『インタビューの目的、ゴールを達成する』ためには、どう振る舞うのがよいかという点です。インタビュー、ヒアリングには、当然ですが、『聞きたい(聞かなければいけない)』こと、『確認したい(確認しなければいけない)』ことがあります。さらに、その内容を聞く、確認するための『目的』、『仮説』があるはずです。この観点から、どう振る舞うべきなのかを判断するのがひとつめのポイントです。
ふたつめは、『相手の目線』になって判断するということです。インタビュー、ヒアリングには必ず『相手』がいます。『相手』から見て自然なのか、理解ができるのか、話せるのか(できれば、自然に気持ちよく話せるのか)という観点から判断するというのがふたつめのポイントです。インタビュー、ヒアリングは『相手』があってのことなので、相手の気持ちや考えを無視して進めることはできません。通常は、こちらから「お願いしている」ことですので、「それって相手から見てよいのか / 悪いのか」という観点で見てみてください。
情報をどれだけ開示するかという点に関しては、実際の場面では、個別の事情により自社の情報開示ができること / できないことがあります。社内の規定やインタビューの内容、プロジェクトの特性によるものなので、最終的にはケースバイケースということになりますが、この2つの原則は、ひとつの判断基準となるので、覚えておきましょう。
自社やプロジェクトに関しては、「話せる範囲で『できるだけ』話す」のが正解
先に、私たちの結論(考え方)について、お話しします。結論から言えば、自社やプロジェクトに関しては、「話せる範囲で『できるだけ』話す」のが正解だと考えます。
理由としては以下の2点です。それぞれ、最初に述べた『原則』に沿って考えています。
ひとつめは、「具体的に情報を提供した方が、具体的な話を聞くことができる」からです。プロジェクトの問題意識や検討範囲、どのような背景からどんなことを聞きたいのかを話してもらえれば、それに沿って回答することができます。場合によっては、相手は関連することもお話しすることができるでしょう。逆に、特に情報もなく聞かれても、背景や情報がわからないととりあえず、一般的な回答しかできません。もちろん、聞かれたことには回答しますが… 何か知っていても、状況がわからないと、役に立つかわからないので、余計なことは話せないので、なんとも言えないということが起こります。具体的で意味のある情報を引き出すためにも、プロジェクトの内容や問題意識はできるだけ話しておいた方が現実的に、インタビュー、ヒアリングの目的、ゴールを達成するためにも有効だと考えられます。
ふたつめは、相手の目線から見たときに、「感じ悪い」の一言に尽きます。私自身もインタビュー、ヒアリングを受ける立場だったときがありますが、「ちょっと自分の話は話せないんだけど、話を聞かせてもらえませんか」と言われて、快く話す人は少ないのではないでしょうか。普通に感じ悪いですよね。話しにくいだけでなく、そんな人になんで自分の知っていることを話さなくてはいけないんだという気持ちになります。ということで、相手目線にたっても、少なくとも、自分が何者か、何をやっていて、何を聞きたいのかくらいはわかりやすく話せるようにしておくべきでしょう。
↓↓↓私が実際に受けた質問とそれに対する私の回答を紹介しておきます(細かいところは、会社が分からないように加工してありますが、ほぼ、そのままです)
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> インタビューやヒアリングの際に、自社の企業名を名乗った方がよいか?
問題がなければ、名乗った方がよいと思います。普通に、名乗りましょう。「とある会社で働いておりまして… 」って怪しいですよね。さすがに…そんな人には怖くて話ができない…のが普通です。相手の気持ちになってみましょう。
> 自分たちが進めようとしているプロジェクトについて説明する必要があるか?
> (新規事業に関しては、機密性もあるため伏せる必要があると思います)
この辺りは、会社の考え方にもよると思いますが、これも差し支えない範囲で、お話しするべきだと思います。
「こちらの状況は一切話せないけど、聞かせてくれ」だと、感じも悪く、相手も相当、警戒するし、そもそも、何を目的にしているのかわからないと話しにくいと思います。
私だったら企業名、現在考えているアイディアの概要まで、お話しして実際のところを聞いてしまうと思います。機密なのかそうでないのかの線引きは社内でご相談ください。
では、本当に話せないことはどうすればよいか?
会社としてお話しできない点については、どうすればよいかというご質問もよくいただきます。私は嘘をついたり、誤魔化したりせずに、基本的には、素直に、「ごめんなさい。守秘の関係で話せないんです」と言ってしまうのがよいと考えます。普通の人なら「そうなんですね」で終わると思いますので…
相手に「だったら、もう話さない」と言われたら?それは仕方ないと思いますが、いかがでしょうか。嘘をついてまで聞き出すよりはよいと思いますが…
こちらも、実際にメールで回答した文章で…
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> 話せないことはどう対応すればよいでしょうか?
「大変、申し訳ないのですが、これ以上の詳細は会社のルールでお話しできないことになっているんです」という回答でよいと思います。
これも、「相手目線」に立って考えていただくとよいと思います。〇〇さんも、他の企業の方からヒアリングされて、「申し訳ないのですが、これ以上は会社のルールでお話しできない」と言われたら、「あぁ、そうですか」で終わりだと思います。相手もおそらく同様だと考えられるとよいと思います。
とにかく、「こっちは話さない」、「そっちの話は聞かせてください」では、コミュニケーションになりませんので… 全部、話せないというのは『なし』だろうなと思います(そんな状況では、危なっかしすぎて話せないですよね)。
まずは、「どこまで話してよい」のか「どこからが話せないのか」をきちんと線を引いてみてください。私から見ると「何かあったら危ないから全部、話してはいけない」というのは、考え方が雑すぎるし、怠慢です。「面倒くさいからとりあえず、全部ダメにしておけば、迷わないからそうしよう」と見えます。少なくとも「名乗れない」ということはないと思いますので、一度、どこまで話せるのか or 何を話してはいけないのかは、きちんと整理してみたらどうでしょうか。
人は損得だけで動くだけではないが、損得なしで動く人も少ないという現実
インタビューの報酬、相手にとってのメリットに関してもよく問い合わせを受けます。
インタビューの際に『報酬』や『案件』という直接的なメリットも確かにありますが、それだけがメリットではありません。情報交換や意見交換、ネットワーク作りの一環というメリットや中長期的なメリットも感じてもらえることもあるので、「直接、仕事をお願いできるかわからない」、「お礼をお支払いできない」という理由だけで考えずに、総合的、中長期的なメリットも含めて相手が得をする、受け入れやすい形でお願いできるようにすることを意識しましょう。
逆に、「全くメリットを感じない」場合には、当然、インタビュー、ヒアリングに応じてもらえない場合もあります。これは、当然です。もう少し正確に表現すると「自分のメリットだけしか考えていないで、こちらのメリットを全く考えていないような人とは会いたくない」ということです。ということで、必ず「相手にどんなメリットがあるのか」を考えるようにしましょう(そのメリットを感じてもらえるかどうかは別問題ですので、お断りされても恨んではいけません)。
こちらも実際のメールをコピペします。
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>企業となると謝礼など求められるようなことがないのか?など。予算を確保しているわけでもないので、費用のかかるようなことがあればと不安に思っています。
講演者、コンサルタントなど、話すことを生業にしている人の中には、有料の方もいますが、そうでない方は、割と無料で会ってもらえるとこともあると思います。心配なら確認してみるとよいと思います。
相手にもメリットがあるような形でお話しできれば、無料でお会いしていただけると思いますよ。
>現時点では、何も確約できない状況なのですが、相手にもメリットがあるように話した方がよいのでしょうか
基本的には相手にもメリットがあるような内容があるのであれば、そのように話した方がよいと思います。が、〇〇さんが考えるほど、短期的なメリットでなくても、「将来的に、御社との協業の可能性がある」、「実現した暁には必ず御社に先に声をかける」等の不確実なことでもメリットは感じてもらえると思います。まずは、正直にお話ししてみたらどうでしょうか。
逆に、やってはいけないのは、あたかも短期的な案件のように振る舞って結局、情報を吸い上げるだけ吸い上げて、結局、何もなかったりするのが最悪です。私はどんな場面でも、やはり、外部の方に不義理をするものではないと思いますので、状況は誠実にお伝えして理解していただく、理解いただけないのであれば、無理しないのがよいのではないかという考えを持っています。
基本的には、きちんと事情を説明して、丁寧にお伺いして、きちんとお礼を伝えるということをすれば、あまり、トラブルにならないと思います。トラブルは、大体、「事前に聞いていた話と違う」、「態度が無礼だ」、「ウソついた」、「ずるい」という話なので、そうならないように準備されるとよいと思います。
会社 / プロジェクト、相手に対して『誠実である』ことをひとつの基準にしてみましょう
今回は、有識者インタビュー、ヒアリングのコツの第一弾として、自社の情報開示に関する考え方について書きました。「目的、ゴール」、「相手」を基準にして判断するという原則に沿って、自社やプロジェクトについての情報開示の範囲を検討するという内容です。
私自身は、基本的には、「オープン」な方が得をするのではないかと思っています。やはり、自分の話を隠して人の話を聞こうとする人は信用されませんからね。
最終的には、個別判断になりますが、どこまで話すか / 話さないかは、会社や個人の判断になります。嘘やズルは絶対にいけませんが、何をどのように伝えるか迷うときには、原則を頭に置きながら、ぜひ、会社 / プロジェクト、相手に対して自分自身が『誠実である』ことをひとつの基準にしてみてください。何が『誠実』なのかは、ご自身がそう思うか / どうかで考えてみてください。
最後は、哲学的?禅問答?丸投げ?で終わりましたが、やったことがないことに取り組むときには、様々な悩みや疑問が出てきます。実際に取り組みながら慣れていく / 自分なりの基準を作りながらスムーズに効率的にできるようになっていってください!!
ということで、次回は、第二弾!になるかわかりませんが、この時期いただいた質問を少しずつまとめていきたいと思います!ということで、今日はこれでおしまいです。
本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹