ケチをつけずに価値をつけろ – 意外と難しいフィードバック

アイディアポイント岩田です。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。私自身は年内に終了するプロジェクト、年明けに最終報告を控えているプロジェクトが多く、そろそろプロジェクトが追い込みの時期になっています。

最近では、資料はプレゼンテーションに「フィードバック」する機会が多くあります。実は、このフィードバック、結構、悩むことが多いのです。今回のテーマはフィードバックです。私自身がどのように考え、どのように取り組んでいるのか書いていきます。自分自身も迷いながら取り組んでいるので、みなさんの工夫もぜひ、聞かせてください!ということで…。

ビジネス用語としてのフィードバック(feedback)の意味は、「相手の考え方や実際の行動に対して指摘や評価を行う」ことのことです。定義を調べたらいろいろあるようですが最もすっきりしていて、納得感のあるものでした。私は機械系出身だったので、最初は「フィードバック制御のあれか」と思ったのですが、これとは少し違うようです。


目次

フィードバックは『ケチ』をつけずに『価値』をつけろ!!

これは、私自身の言葉ではありません。講演で聞いた言葉です。「なるほどな~」と、とても心に残っています。この言葉を聞いてから、自分が発するコメントは、本当に意味があるのか、仮に意味があったとしても、それが相手にとって価値のあるものか、『ケチばっかりつけやがって…』と思われていないだろうか、チェックするようにしています。

私はいろいろなことを「もの凄い気にする」し、また、「傷つきやすい」です。メールの返信が来ないと「自分が何かやってしまったのではないか」、相手がいつもよりぶっきらぼうな返信だと「あれっ、気分を害したかな」、自分の説明にリアクションがないと不安で不安で仕方ありません。

自分が誰かにフィードバックするときも、様々なことが「気になって仕方がない」です。「意図が正確に伝わっているかな」、「気分を害していないかな」等、ドキドキしながらコメントしています。

特に、自分の言っていることに『価値』があるのか、どうでもいいことに難癖(ケチ)つけやがってと思われていないのかものすごく気になります。堂々と話しているように見えて、実はドキドキしながら話しているし、自分が人に言われることを気にするので、人を傷つけないように注意をしながら話しています。

『ケチ』をつけずに『価値』をつけろ… いつも考えながら話しています。


フィードバックの原則は『相手』にとって意味があることを言うこと

あらためて、フィードバックは何のためにするのか考えると、それは、『そのアイディアをよりよくする』ためです。それ以上でも以下でもありません。なので、判断基準はひとつです。自分が発言(フィードバック)をすることで「よくなる」のか「そうでないのか」です。

自分自身でもよくあり、かつ、他の人でもよく見受けられますが、『自分が言いたくなった』ことをそのまま話してはいけません。『自分が話したいことより、相手のためになること』を肝に銘じておきましょう。


ついやってしまうけど、気をつけたい3つのこと

ここでは自分自身がついやってしまいたくなるけれども、よくないなと思うことを挙げます。すべてが悪いわけではありませんが、下記のようなことを話したくなったら、自分が話したいだけなのではないかチェックが必要です(と私は思っています)。

「自分の経験では~~、過去~~したことから考えると」は要注意

自分の経験はつい話したくなってしまうトピックのひとつです。自分の例が今回の案件に相応しい例なのか、示唆があるのか、役に立つのかきちんとチェックしてから話し出した方がよいでしょう。上手に話せないと「自慢話が長い」、「マウントをとりにきた」、「そんなに昔の話をされても」と反感を買ってしまう結果になりかねないので、十分に注意が必要です。

ニヒルな?偽悪的な?皮肉?エスプリの効いた?指摘、ジョークは控えた方が無難

よい / 悪いといったシンプルはコメントだけではなく、ウィットにとんだおもしろい?エスプリの効いた?コメントは余程の自信がない限りしない方が無難です。『ジョーク』はオフィシャルな場では相当、難しいものです。普通ではおもしろくありません。しかし、あまりにも突拍子すぎるとそのせいで伝わらなかったり、反感を持たれてしまうことも多くあります。特に、フィードバックのタイミングではある程度、「耳が痛い」ことを言う場面もあるでしょう。半端なジョークや皮肉っぽいコメントは逆効果になりがちです。多くの人の失言も本人はジョークのつもりで話したが、他の人をイラっとさせた結果であることも多いです。というわけで、ジョークは要注意です。

『よいのか / 悪いのかわからない感想』みたいなものは相手にモヤモヤを残す

これもよく見受けられるのですが、フィードバックや質問をしてくださいと促した時に、「私は~~だと考えているのですが(自説)、どうですか?」という質問になっていない質問や、「こういうのは、昔~~という経緯があって、そのときは、〇〇だった」という指摘でも質問でもなく、「あっ、そうですか」としか言いようのないコメントをする方が見受けられます。これは、結構、困ります。特に、上位職の方や外部の人にこれをやられると、「あっそうですか」とも言えず、なんとなくよくわからないけれども、なんとなくそうですね的な返信をします。こういう、「周囲の人が困る」コメントをするべきではありません。とりとめもなく話すとこうなってしまうので、注意が必要でしょう。


私が役に立つフィードバックをするために気をつけていること / していること

ここから先は私が普段、気をつけていることを書いていきます。自分のフィードバックは『価値』がついているのか…。 日々、修行です。今度、このテーマでコンサルタント仲間、講師仲間とノウハウを共有してみようと思います。

1.フィードバックの際は『役割に徹する』べし

これは、常に、私が頭の中に置いていることです。自分自身がフィードバックを求められるときは、私はその役割を守らなくてはいけません。話したいことが出てきたり、関連して知っているおもしろい話を披露したりしたくなっても、それはここで話すべきではありません。話したいことより話すべきこと、これが鉄則です。

2.よいところ、改善点を常に3つずつ頭に浮かべておく

どんなひどいアイディア、プレゼンテーションでも見るべき点が3つくらいはあるでしょう。逆に、どんなに素晴らしいものであっても指摘する点が3つはあるでしょう。頭の中に選択肢が1つしかないとそれしか使いようがありません。常に、よい点 / 改善点を3つ頭に浮かべながら、その中から選択してフィードバックする習慣をつけています。

3.話す前に『言うべきか / 言わざるべきか』フィルター、『ポジティブ / ネガティブ』 フィルターを通す

口は禍の元と言います。思ったことをそのまま口にしてしまっていては、会話はコントロールできません。とは言え、ひとつずつ吟味していたら今度は発言ができなくなります。

私自身は、頭の中に2つだけフィルターを置いています。1つめは、『言っていいかどうか』フィルターです。話す前に必ず、「これ大丈夫かな」とチェックしてから話します。ここで「言ってはいけないこと」、「余計なこと」はブロックします。

もう1つが『自分が口にするのはポジティブな言葉なのか』、それとも『ネガティブな言葉』なのかです。これは常にカウントしているだけです。ポジティブだから言う、ネガティブだから言わないということはありません。自分が、どっちの言葉を発しているのかを常に意識しながら話すようにしています。会話の中で、バランスを取りながら話すようにしています。

4.トータルのバランスでは、ポジティブ : ネガティブ = 2:1 を狙う

話すときには、ひとつ欠点、改善点を指摘したら2つ褒めよという意味です。「フィードバックください」と言いながらも厳しい指摘、改善点を延々指摘されていると嫌なものですし、なかなか聞くこともできなくなります。ある程度、バランスを取りながら指摘することを意識しています。この割合、難しいですね。意識しながらも毎回、これでよかったかと葛藤しています。

5.いろいろ言いたくなったら『レバレッジポイント』を狙う – 『経絡秘孔』をつけ!

フィードバックしてくださいという状況になれば、当然、いろいろと改善点を指摘したくなります。しかし、一度に人が聞き入れられる量には限りがあります。その際には、できるだけ根本的なもの、そこをカイゼンすることで全体に一番、影響が大きいところを指摘するように意識します。システムシンキングで言うところのレバレッジポイント、北斗の拳で言うと経絡秘孔…です。アチャッ

6.大事なところは聞きやすいように導入する。できるだけ丁寧に説明をする

自分が大切だと思ったことはできるだけ長めに丁寧に話すようにしています。事実、客観的な評価、自分が感じたこと、私の意見とその理由、これらがきちんと区別できるように正確に話します。これらが同じように聞こえてしまうと、「あの人は主観的に話している」、「思いつきで話している」、「急に言われても困る」、「以前と違う」と捉えられてしまいます。講師やコンサルタントとしてフィードバックする場合には、客観的なものと主観的なものはしっかりとわけて伝えることが重要です。特に、重要なポイントとなるところは正確に丁寧に話す意識が必要です。

7.言いにくいことは、前置きをした上で、爽やかにズバッと話してしまう

実際の場面では相手にとって「耳の痛い」、「聞きたくない」ことを言わなくてはいけない場面もあります。その際に、どのように話すかは大きな課題です。それぞれ工夫があるのではないでしょうか。私自身はある程度、前置きをした上で、できるだけ爽やかにはっきりと言ってしまうようにしています。過去、できるだけ当たり障りがないように話して伝わらなかったり、逆に、はっきりと伝わりすぎて相手に反感を持たれたりしたことの反省です。この辺りは、個人のキャラクターと経験でしょうか。私自身は今の方法に落ち着いています。

8.うまく伝わらない場合には会話をして、相手の思考や行動を促すような問いを残す

フィードバックしていると明らかに「上手に伝わっていないな」と感じることがあります。おそらく、私が話したことのうち、何かが「ピンとこない」、「しっくりこない」のだと思います。そんなときには、「どこか腑に落ちないところがありますか」と確認をして、納得していないところまで戻ります。その上で、「この後、どうしたらいいと思いますか」、「本当ならどうなっているといいなぁと思いますか」等、将来のできればポジティブな状況をイメージしてもらいます。その上で、「どうしていったらいいでしょう」等、自分が行動を起こすイメージを持ってもらうような質問をします。ある程度、イメージができてきたら、また、フィードバックの内容に戻って続きを考えるようにしています。

9.それでも議論が進まなくなった場合には断った上で自分だったらどうするか話す

これは結構、悩むところなのですが、フィードバックしている中で、「〇〇についてどう考えていますか?」、「どうしたらよいと思いますか?」という質問に対して、「わかりません」、「考えられません」、「思いつきません」となってしまうことも起こります。どれだけ様々な角度から質問をしても「同じ回答」しか返ってこないことがあります。そんなときは、「これは、あくまで自分自身の意見、自分だったら」としっかりとお断りした上で、「自分だったらこうする」という話をすることもあります。私自身はあまりスマートだと思いませんが、会話が進まなくなったときには自分の意見を述べるようにすることも一つのテクニックと言えるでしょう。

10.最後は必ず『元気がでた状態』で帰ってもらう

最後になりましたが、とても重要なことがあります。それは、『最後は元気に帰ってもらう』ことです。フィードバックを受けるということは自分自身のアイディアに対して様々な角度から検討を加えるということです。特に、長い時間をかけて検討する場合には、心が折れそうになったり、大変だなぁと思う場面も出てくるはずです。その際に、気持ちが落ちてしまったまま終わってはいけません。最後は、「さぁ、この後、がんばろう!」と思えるように終えなくてはいけません。私の場合には最後にまとめると同時に、励ましの言葉をかけて送り出すようにしています。

今回は、『フィードバック』について書きました。私自身、いろいろ工夫はしていますが、まだまだ、修行が必要だと感じる今日この頃です。年末年始、大きなプレゼンテーションを控えている人も多いのではないでしょうか。フィードバックする人は心をこめて、受ける人はしっかりとよいフィードバックを受けて、年末年始、しっかり乗り切りましょう!

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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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