前期の授業お疲れさまでした! – 私が大学で教えて『学んだ』こと

前期の授業お疲れさまでした! – 私が大学で教えて『学んだ』こと

アイディアポイント岩田です。暑い日が続きますが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?私の方は、この時期は、ビジネス的には比較的落ち着いた時期なので、後半戦の準備、採用など社内のことを中心に過ごしています。

あまり、大々的には言っていませんでしたが(秘密にしていたわけでもないのですが)、前期(4-8月)は高崎商科大学で『デザインシンキング』、『商品開発』の2コマを担当していました。先週、最後の授業を終えて、今週に期末レポート、成績をつけて前期は終了です。学生のみなさん、全15回、お疲れさまでした!!期末レポートがんばってください!!

ということで、今回は、前期、大学で教えて気がついたことを書いていこうと思います。


目次

『ビジネス経験のない』学生に『ビジネススキル』を教えるのはとても難しい!

普段、私自身は、企業研修という形で、ビジネスパーソン向けに研修、コンサルティングを実施しています。最近は、自分自身もそこそこよい年齢になったこともあり、役員や管理職、ベテランのみなさんと議論することが中心です。

「普段、百戦錬磨のビジネスパーソンに向けて話しているのだから、(ビジネス経験のない)学生相手だと楽でしょう」と言われるのですが… 実は、全然、そんなことはありません。個人的には、学生の方が難しく感じるくらいです。

理由は簡単です。「イメージができない」からです。ある程度、経験のあるビジネスパーソンを対象とした研修の場合では、基礎的な理論を解説した後に、議論をしながら理解を深めていきます。参考になりそうな事例を提示したり、私の経験をお伝えしたり、ご自身の過去の経験や現在の業務に照らし合わせて理解を深めます。その過程で出る疑問や課題を丁寧に議論しながら進めていきます。このプロセスを通じて、実際に現場で活用する「イメージ」を考えていただきます。ビジネスにおける「前提知識」もある程度あるので、「この言葉を知っているか」確認しながら議論すれば、議論もスムーズに行うことができます。

一方で、学生のみなさんは「サービスを受ける側」の経験はあっても、「サービスを提供する側」の経験はありません。当たり前ですが、自分でビジネスに取り組んだ経験も、ビジネスとして「組織」に所属した経験もないため、イメージができません。ビジネスのイメージがドラマや漫画だったりすると… いやいやそんなドラマチックなこと毎日起きないから… ということもあります。ビジネスパーソンにとって当たり前の単語も当然、知らない場合もあります。そして… 知らない言葉があっても、なかなか、「先生、その言葉、意味わかりません」とは言えず…アンケートで、「わからなかった」ということが結構あったりします。確認しても反応薄いし…。

私も、普段からビジネスパーソンとしての生活にどっぷりはまっているので、学生が「何が分からないか分からない」状態で、細かく確認しながら授業することになります(SDGsは詳しいのね。健康経営、Well-beingは知らないんだなぁ等々)。

ちなみに、これは新人研修でも同様のことが言えます。「新人相手の研修は、彼 / 彼女らは経験ないから簡単でしょ(言い含められるでしょ)」と言う人もいますが、絶対に違います。上司を見たことない人に上司との接し方を教えるのは想像以上に難しいはず。必ずしも表立って意見、質問をしてきませんが、確認したら「あまりよく分からなかった」ということは多々あるのではないかとにらんでいます。


『これまで』については『先生』の方が詳しいが、『これから』については、『学生』の方が正しい

今回の授業を通して印象的だったのは、「きっと、学生の感覚の方が正しいだろうな」と思う場面が見受けられたところです。これまでの経験や年代による「違い」が起きることは当然です。

ビジネスの知識に関しては、当然、私の方が詳しいので、「基本的な理論、手順」、「過去、こんなことがあったよ」、「なぜ、今こうなっているのか」など、「ビジネスの世界で、今、何が起きているのか」に関しては、私の方が詳しいと思います。

一方で、「今、現時点で世の中で起きていることをどう解釈するか」、「これから世の中がどうなっていくのか」ということに関しては、おそらく、学生の感覚の方が正しいと感じています。

授業の中で、おススメの本、よく見るYoutube、最近興味のあること、将来、社会でどんなことが起きそうかを議論することがありますが(主に、聞くことになりますが)、知らないことだらけです。これ、『チルい』のか?というか『チル』ってなんだ?みたいなことばかりだし、Youtubeみて、「こんなくだらないことのどこがおもしろいんだ?」、人気のYoutuber達を見て「見分けがつかない」なんて、『おじさん』全開の感想を持ったりします。

よく考えたら、自分が小学生の頃、ドリフターズやひょうきん族、とんねるずを見て、大人が「どこがおもしろいのか意味がわからない」と言っていたのと変わらないのかもしれない…。

学生たちの感覚の方が正しいことも多いのではないかと思います。「なぜ、この暑いのにスーツを着なくてはいけないのか?」、「なぜ、嫌な思いをして働かなくてはいけないのか?」、「学生は、きちんと授業に出て勉強するべきでしょ」、「お酒って、酔っぱらうのに飲む必要ありますか?」、「たばこって体にも悪いしお金もかかるのに、なぜ、吸うの?」、「AIを使った方がよいアウトプットが出るなら使うべきでしょ、楽だし」、「ちゃんと社会のためになることをしなければいけないじゃないか」等、僕がどう感じるかということとは別に、「よく考えたらそっちの方が正しいよな」と思うことだらけです。

当たり前ですが、彼 / 彼女らの方が長く生きるし、将来、彼 / 彼女らが活躍するときには、自分は…よい年齢になっているはずで、彼らの考え方で世の中が運営されるとよりよい世の中になるんだろうなと思う場面も多くありました。

実は、「おいおい、そんな短絡的に考えて大丈夫」みたいなこともありますが、あんまり、クドクド書くとおっさんくさくなるので、書かないようにします。将来、活躍するために、私の話が少しでも役に立つとうれしいです。学生のみなさんとの議論はおもしろかったです。


学生相手の『授業』でも結局、原理原則に沿って『丁寧』に

『最近の若者論』については、多くの場所で議論されています。私の周囲では、『先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち』という書籍の評判がよいようです(私自身も個人的にその通りだなと思いながら読みました)。余談ですが、先ほどアマゾンを見たら、カバーデザインが変わっていてビビりました。

現在の学生の性質に合わせて接することも重要ですが、一方で、ビジネスの現場に出たら、必要なことは自分から意見を述べなければいけないし、機会としての公平性は担保されていてもある程度、自身で主体的に取り組まなければいけない場面もあるため、必ずしも学生が受けやすいように授業を進めるだけでは十分とは言えないでしょう。

「学生が理解しやすい」ように下記のような工夫をしました(授業の設計上)。

  • 言葉の定義はできるだけ、正確にきちんと話す。何度も話す。具体例も交えて話す
    (イメージできるように努力するけれども、雰囲気で理解したような気にならないようにする)
  • 確認しながら丁寧に話す。どこが理解できているか、どこが理解しにくいかを確認する。できるだけ、学生の経験に照らし合わせるように工夫する(アルバイト、学生生活、就職活動など)
  • ビジネスの現場に関してはできるだけ興味をひくようなエピソード、全員が知っていそうな会社や業態の事例を使って「楽しいイメージ」がわくように話す
  • 学生自身が「考えて」、「話す / 書く」ことで理解したことを言葉にできるようにする
  • (主に、授業後の課題で)、何らかの行動をして、そこから考える機会を作る

途中、何度も下記のような誘惑にかられたことも書いておきます。正確に言うと下記のような資料を作ってしまい、後で修正するということも数回…。

  • 「これが正解だよ」っぽく見せること。特に、ビジネスの事例は、「みんな、知らないだろ!すごいだろ!(ドヤッ)」と知らず知らずのうちにやってしまいがち
  • 言葉を定義せずに、雰囲気 / イメージで伝えること。概念を伝えることは想像以上に大変な作業で、できるだけ言葉を尽くすようにはしつつも「なんとなく」理解するだけでは不十分だと思います。必ず言葉を「定義する」ところから議論をスタートしましたが…「なんて、面倒くさい人なんだろう」と思われていないか心配です
  • ウケを優先すること。実は、学生のみなさんの「おもしろい」を話すのはそれほど難しいことではありません。学生のみなさんが興味のあることで、知らなそうなことを提示して、簡単に裏側を説明して、「おもしろいでしょ?」と言えば、学生のみなさんは「へー、知らなかった。おもしろい」と言ってくれます。もちろん、知らないことを知るというのは授業の楽しさのひとつではありますが、それがすべてではありません。ここは難しいところですが、「いろんなこと知っている、楽しい先生」も大事なのですが、それだけで終わらない授業にしたいものです

書いてみるとどれも『当たり前』のことばかりです。『学生』に限らず、大人が『学習する』ために必要なことばかりです。基本に忠実に、より『丁寧』に授業を運営するのが重要なのかもしれません。


私も(私が)勉強になりました。ありがとうございました!最後にちょっと『学生に』アドバイス

今回、大学の授業で一番、伝えたかったのは、「世の中、よい会社もたくさんあるよ」ということです。

ニュースを見ると悪いことした会社の話ばかりだし、学生に近い世代のサークルの先輩は「会社、マヂできつい」、「社会は厳しいところだ」というし、就活もなんか楽しくない(結構、嫌な思いもするらしい)、親御さんも「社会人になったら学生時代みたいに自由にならない」と言われ、漫画やドラマもすごいトラブルだらけだ… って、そんなわけないでしょ!?会社はそんなに悪いところではないし、社会も問題はあってもそんなに悪いところではない。

会社も社会も「楽しい」ところだから、楽しみにして思いっきり働いてください!以上!!

最後に学生のみなさんに2つだけアドバイスします。

世の中は、正解があるものばかりではないので、そのときその場所で考え抜いて、自分なりのベストの回答をすることを意識してください。あきらめたり、自暴自棄にならないように。正解がないからどうしようもないわけではないし、正解がないから適当に何を言ってもいいわけでもないのですよね。正解がなくて気持ち悪いんだけど、正解がない状態に耐えて考え続けられるようになりましょう。

話すときには「具体的に」話しましょう。一般的な話は正直、おもしろくありません。いつ、どこで、だれが、何をした。それはなぜ?で、いくら使うの?いくら儲かるの?具体的に考えよう。なぜ?どうして?具体的には?自身で問いを立てて答えていくと具体的になります。最初は、拙くてもよいから文字はたくさん書きましょう、とにかくたくさん話しましょう。端的に効率よくズバッと話す、書くのはその後で十分です。内容さえあれば、後でなんとでもなります。文字が多くても削るのは簡単です。話も短くするのは簡単です。もっともらしく抽象的にまとめないようにしてください。

最後に、学生のみなさん、本当にありがとうございました。毎回、私も勉強になっていました。みなさんにとっては、学生生活のうちの数単位かもしれませんが、少しでもみなさんの役に立てたならうれしく思います。本当に、みなさんの活躍をお祈りしています!

ということで、今回は、前期の授業が終わったばかりの新鮮な気持ちで振り返りしました。普段とは違う人とお話しをするのは、やはり、楽しいですね。さて、後は、採点、がんばろう!それでは、みなさんもよい夏休みを!!

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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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