あなたが『さっさと決める』人になるべき理由とテクニック(と心構え)

アイディアポイント岩田です。急に涼しくなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今年の当社(と私)のテーマのひとつが、『さっさと決めて、とっととやる』です。最近では、組織開発やリーダーへのコーチングを行う機会もあって、『どうやったら決められるのか』について議論する機会が増えています。

今回は、『どうやったらさっさと決められるのか(速やかに意思決定できるのか)』について考えます。今回は、教科書よりも、私の個人的な体験をまとめたので、異論・反論もあると思います。ひとつの事例だと考えて読んでください。


目次

いや、そうは言ってもそんな簡単には、決められないんだよ… その気持ちはわかります

そうなんです。決められないんです。簡単に判断できるものは問題ないものの、どうしよう?と悩むときは、悩むなりの理由があるのです。

今日の昼食は何を食べようかな?ラーメンに餃子とチャーハンはつけるべきかそうでないか、引っ越すか引っ越さないか等、ビジネスの場面だけでなく、人生は決めること、意思決定の連続です。 悩みますよね。「さっさと決めろ」というのは簡単ですが、決められるなら悩みません。その気持ちは十分にわかります。それでも、ビジネスの場では(そうでない場でも)物事は決めないと進められません。「決められない」気持ちをどのように受け入れて、実際に「決めて」そして、進めていくのか、これから考えていきましょう。


意思決定は遅くてよいことはない、早ければ早いほどよいと『決める』(信じる、そういうことにする)

最初に、自分は「さっさと決める」人間になると決めていることが大事です。これは考え方なので決めるしかありません。そうしないと意思決定のスピードが早くなることはありません。

人間的にせっかちである、のんびり屋であるという点とは別に、意思決定者として、速やかに意思決定をする決意をすることが必要です。

早く意思決定するべき理由はいくつかあります。

ひとつめの理由は、早く意思決定した方がその後に時間を取れるということです。考えている間にも時間は過ぎていきます。この時間は意外と重要で、ダラダラ考えてしまうとその後の活動の時間を圧迫してしまうことになりかねません。

ふたつめの理由は、考えているうちに時間が経つことで、状況がどんどん変わっていってしまうことです。いざ意思決定しようと思ったタイミングで、前提条件が変わってしまい、ゼロから考え直さなくてはいけなくなったという経験はないでしょうか。多くの場合、後回しにすると大体、状況は複雑になり、周囲からの期待も上がり、状況は悪くなっている…ことが多いので、私はさっさと決める方がよいと考えます。

みっつめの理由は、「タイミングを逃すとみんな忘れる」からです。意外と見落とされがちなのですが、多くの人はいくつかの業務を並行しています。「適切なタイミング」で意思決定がなされないと、その仕事は一度、横に置いておいて、別のことに取り掛かります(取り掛からざるをえません)。そうすると、「決めてください」、「ちょっと待ってね」と言っているうちに他の仕事をしていて、「よーし決めるぞ」となったときに「なんでしたっけ」状態に陥ります。お互いにとても効率が悪く、「あれはどうなっているのかな」と気にかけている、気になるという心理的な負担も大きいのでチームで働いている場合には、特に、適切なタイミングで意思決定することが重要です。

最後の理由は、「結局、あまり時間をかけても、意思決定はそれほど変わらない」ということです。私自身も『もう少し考えたらもっとよい意思決定ができるのではないか』と考えた時期もありましたが、よく考えたらほとんどそんなことはありません。これは私の実体験ですが、みなさんはいかがでしょうか?

やっぱり、意思決定は早ければ早いほどよいのです。


『今、このタイミングで決めない理由』がなければその場で決める

とは言え、忙しくて頭が他のことで一杯だったり、よくわからないことだったりすると、「少し後で考えよう」、「もう少し落ち着いたときに考えよう」という気持ちになります。私も「〇〇しますか?」とスタッフに言われたときに「うーん、どうしようかな」と思うことは多くあります。「後で考えようかな」と思ってしまいます。

そのときに必ず考えるのが、『今、このタイミングで決めない理由』がなければその場で決めるということです。実際に私と一緒に働いている人は、チョクチョク(頻繁に?)聞くと思いますが、この発言をするときは、私が『後回し』と戦っているときです。

この『問い』は、よくできています。実際に、「後になったら追加で情報が得られる」ときだったり、「他の人の意見を聞いてから or 承諾を得てから」進める必要があるときには、当然、「それを待ってから」意思決定することになります。一方で、「うーん、この後、状況が変わることはないな」と思えるときは、今が決めるときです。『思い立ったが吉日、それ以外は凶日(byトリコ)』です。

顧客との打ち合わせの際にも、「決められない」ときには同様の『問い』を立てます。

『今、なぜ、この場で意思決定ができないか』、『あと、どんな情報があれば意思決定できるのか。その情報はいつ誰がどうやって手に入れるのか』これに答えることができなければ、それは「今、決める」しかありません。

後回しにしても状況は変わりません。なんとなく不安、ひょっとしたらもっといい情報があるのかもしれない…という気持ちもわかりますが、具体的な内容が説明できなければ、これが現在の自分の実力だと思ってあきらめましょう。『明確な理由』が説明できなければ、その場で考え抜いて決めることにしてしまいましょう。


わけがわからなくなったら『選択肢がいくつあるのか』数えよ

考えているうちにわけがわからなくなることありませんか?ありますよね?あってください。あるということで話を進めます。その際に意識するとよいのが、『今、自分は、何のために、何について考えているのか、何を決めなくてはいけないのか』、『選択肢がいくつあるのか』を整理することです。

今度、イベントをやりましょうという議題がでます。いろいろなアイディアが出る、目的が問われる、日程、ゲスト、挙句の果てには、本当にやるのか等、いろいろな話が出てきて…あれ?何を決めなくてはいけないのか?そういった状況では落ち着いて整理することが必要です。

まず、やるか / やらないか。これはやることにする。目的は、いくつあるのか?どれにするのか?実施の方法については、今、いくつアイディアが出ているのか(選択肢がいくつあるのか)、こういうことを整理しながら何を選ぶのか整理することです。

実際に何について迷っているのかわからなくなったら、『自分は、今、何択問題を解いているのか』整理するとよいでしょう。


『迷ったら〇〇する』、『迷ったら〇〇で考える』と決めておくのも有効

それでも最終的な意思決定で迷うことはあります。そのときは、自分としてどのように考えるかを決めておくのも、実は有効です。私は、以下のようなことを考えています。

  • 基本的には、会社の理念や方針(Be Creative, Be Happy、よい仲間、よいお客さま、よい仕事)と照らし合わせ判断する(教科書的ですが)。こういうときのために、会社の理念はあるのです。
    → こちらは、過去のブログを参考にしてください<https://ideapoint.co.jp/blog/ceoblog019/>
  • 上記とも関連して、以下のようにしています(今、考えましたが、結構あるものです)
    • 自分、スタッフの“気持ちがあがる”もの、楽しい気持ちになるもの、心が軽くなるものを選ぶ
    • 新しいもの、やったことがないものを優先する
    • 『理屈』として正しい方を選択する
    • 簡単に、早く成果があがるものを優先する

この『迷ったら〇〇する』、『迷ったら〇〇で考える』というのは、経験から導かれるものなので、人によって異なります。本当は『迷ったら困難な道を選ぶ』と言えるとかっこいいのですが…それだと人生がハードモードになってしまう(そして、そのハードモードにチームを巻き添えにする)ので…私は言いません。みなさんは、どんな軸で判断されるのでしょうか。


直感 / 直観×勝ち抜き戦方式を採用せよ

多くの人は、意思決定をする際には、選択肢を挙げて、評価項目を設定して、その項目ごとに採点して合計点で判断するマトリックス方式を採用することが多いのではないでしょうか。あるいは、全体を分類して、徐々に絞り込んでいくように決めていくようにする人が多いと思います。

これらの方法はわかりやすく、公平で、説明しやすい方法です。実際に私も研修やコンサルティングの場合には、この方法を紹介しています。多くの人が理解を深めながらわかりやすく議論するのに有効です。

一方で、個人で物事を決めるときは、必ずしもこの方法にこだわる必要はないと考えています。

実際に、私が取り入れているのは、直感 / 直観×勝ち抜き戦方式 です。これは弊社のアドバイザーから教えてもらったのと直感 / 直観の研究で紹介されたものをハイブリッドした方式です。本当に迷ったときには意外と効率がよい方法ではないかと思います。

①まず、直感 / 直観で選択肢をひとつ選びます、②それを他の選択肢と戦わせます。勝ったら次のものと対戦させます、最後まで勝ち抜いたらその選択肢の勝ちです。負けたらその勝ったもので、また、勝ち抜き戦を行います。

中華料理屋に行ったら、メニューを見て『おっ、今日はホイコーローだな』と思ったら、『ホイコーロー』を選んで他のメニューを戦わせながら『やっぱり、ホイコーローがいいな』を繰り返します。途中、『麻婆豆腐』の方が食べたい!となったら、今度は『麻婆豆腐』と他のメニュー一つ一つを比較しながら勝ち抜き戦をします。

この方法のよいところは、基本、常に、『二択』になっているので、意思決定が簡単なことです。機械的に続ければ必ず最後に一つ残るので、必ず結論がでます。

もちろん、すべてを並べて評価したり(味、値段、栄養素など)、絞り込んだりする(麺か、ご飯か、定食か。今日は麺だな。麵の中で何を選ぼうか…)のが悪いわけではありません。

単純ですが、意外と実践的な方法なのでご紹介しておきます。


決めて間違えたら、直せばよい – 朝令暮改も仕方がない

多くの人は、「意思決定は間違ったら大変だ」と考えています。実際にその通りだと思います。一方で、意思決定が必要な難しい場面では、「絶対に間違わない」意思決定はありません。ある程度、間違うことも覚悟しておく必要があります。

それを前提に考えると「やっぱり辞めた」、「さっきの意思決定はなし。他のものにする」という場面も想定しておくべきです。そのとき、その場面、その情報でベストな意思決定をしたのならば、その後、状況が変わるとともに決めたことを変えることも仕方ないことだと考えましょう。


決めたら信じて取り組もう、とっととやろう、精一杯やろう

これは約束事、常識だと思うのですが、一旦、決めたらやりましょう。「やっぱりあっちの方が」とか言っても仕方ありません。まずは、信じて取り組む、すぐやる、精一杯やろう、話はそれからです。

頼んだラーメンがおいしくなくても、仕方がない。ひょっとしたらチャーハンの方がおいしかったのではないかと思いながらラーメンを食べるのはラーメンに失礼ですし、その後、チャーハン頼んでおけばよかったと言っても仕方ありません。そんなことを考えるくらいなら、ラーメンをおいしく食べることに集中した方が健全ですし、おいしく食べられると思います。

今後、方向転換の可能性もありますが、だから身が入らないでは、時間を無駄にしてしまいます。方向転換するにしても、その意思決定をすることができるのは、「一度、真剣にやりきった」人だけです。そういうものだと割り切ってやりましょう。


あの日、あのとき、あの場所で、もう一度、意思決定したら? 同じだったら僕は後悔しません

と言いながら、私自身は、「あの意思決定は正しかったかな?」としょっちゅう悩みます。社内の意思決定もそうですし、研修の登壇も同様です。「なんであのとき、こんな言い方になったのか」、「あそこはなぜ、指摘しなかったのか」、「もう少し厳しくした方がよかったのではないか」等、グズグズ考えます。

そのときには必ず、自分自身に「あの日、あのとき、あの場所で、全く同じ状態で、もう一度、意思決定したら同じ意思決定をしたかな」と問うことにしています。回答が『YES』だったら、それは仕方ありません。ベストを尽くしたと思います。結果がよくなくても、それは自分のその時点の実力だと諦めます。くよくよせず、次は同じ失敗をしないようにどうするか考えましょう。

チームの場合も同様です。営業の提案で失敗することがあります。「事前にお客さまのあの情報がわかっていれば」、「競合の提案がわかっていれば」、「担当者が急に異動になってしまわなければ」、「もう1回、商談、挟んだ方がよかったかな」とかいろいろ考えてしまいます。

「あの日、あのとき、あの場所で、もう一度、意思決定したら同じことをしたかな」と答えが「YES」なら、それは仕方がありません。ベストを尽くしたということです。くよくよしても仕方ないので、さっさと次、どうするか考えましょう。


『あとだし孔明くん』はシカトしましょう

『あとだし孔明くん』… 朝のテレビで知った若者言葉?ネット言葉?です。「全てが明らかになってからまるで自分だけは最初からお見通しだった風な口を利くクソマウント野郎」という意味で、中国のネット用語「事後諸葛亮」の日本版」らしいです。

ちなみに、「シカト」は花札が由来のことばです。花札の、10月の絵柄である鹿がそっぽを向いているところから、無視すること。仲間はずれにすることを意味します。昭和30年代後半から若者の間で使われ始めたらしいです。

今日は、ふたつ賢くなりましたね。若者でも『あとだし孔明くん』みたいな人が一定数いるんだなと妙なところに関心したりして…。

意思決定しない人は、なんとでも言えるものです。「だから、僕はラーメンじゃなくてチャーハンの方がいいって言ったじゃないか」、「うるさい!」、「決めない奴は黙ってろ!」ということで、無視しましょう。それでもネチネチ言っていたら、「それじゃあ、お前がやってみろ」。これでよいでしょう。

意思決定者の気持ちは、やはり、意思決定したことがある人にしかわかりません。みなさんが意思決定するところは必ず誰かが見ています。そう思って、きちんと決めてください。『あとだし孔明くん』はシカトするに限ります。


普段から、『さっさと決める』態勢で待っていよう

ここまで読んでさっさと決める人の気持ちになりましたか?実は、何かを決めるときには、そのときになってから考え始めるようではなかなかその場で決められません。仕事の全体像を理解して、いつ、どんなタイミングで何を決めなくてはいけないか、常に、待っている状態、システムを作った状態で、日々を過ごしておかなくてはいけません。

どうやって仕事の全体像を理解してそのシステムを作ったらよいのか?けれどもこれは別の話、いつかまた別の時に話すことにしましょう(Aber das ist eine andere Geschichte und soll ein andermal erzählt werden. by はてしない物語)

それでも決められない?では、仕方ないですね。それでもさっさと決めましょう。それしかありません。ということで、今回は、「よーし、明日からさっさと決めるやるぜ」と少しでも思ってもらえれば大成功です。

最後までお読みありがとうございました。次回のテーマは、『とっととやる』です。季節の変わり目ですね。体調を崩しやすい時期ですが、楽しく、元気に過ごしていきましょう!

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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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