アイディアポイント岩田です。先日、チームや組織のルールづくりについて議論する機会があって、その際に、議論した内容について興味深い点があったので、今回は、その内容について書きたいと思います。
ところで、ホワイトリスト / ブラックリストという言葉は聞いたことありますか?
多くの人は、『ブラックリスト』というのを聞いたことがあると思います。『お店のブラックリストに載っている』とは、『あの人は、立ち入り禁止(来たら断る)』という意味で使われます。
フィルタリング(メールアドレスなどを使って、届く / 届かないなどを決めたりという…)でも使われる言葉で、簡単に理解すると
ブラックリスト : 「ここに書かれている人はNGな人だよ」な一覧のこと
ホワイトリスト : 「ここに書かれている人はOKな人だよ」な一覧のこと
です。
みなさんの会社のルールは、ホワイトリスト方式で書かれていますか?ブラックリスト方式で書かれていますか?
ホワイトリスト方式とは、「やってOKなこと(あるいは、やるべきこと)が書いてある」ということです。極端に言えば、「これをやりなさい」、「これさえやっていればよいです」、「逆に、これ以外のことはやってはいけません」、「これ以外のことをやるとルール違反です」というものです。
この「やるべきことを決める」方式は、自由度がない分、極めてシンプルです。遂行する能力さえあれば、それ以外のことは考えずに実行しさえすればよいからです。特に、状況が極めて安定的かつ業務が正確に記述出来て、効率的に実行することが最優先されるケースでは非常に有効です。一方で、変化が大きい場合やそもそも手順を記述できない場合にはこのルールではチームが運営できません(あるいは、ものすごい量のルールが出来上がることになります)。
ブラックリスト方式では、「やってはいけないことが記載されているもの」になります。こちらも極端に表現すると、「これはやってはいけない」、「逆に、それ以外はやってもいい」というものです。
こちらは、一見、とても自由度が高くて楽しそう?ですが、実は、「ダメなこと以外は自由」というルールでは、各自が自由に活動しすぎてカオス状態…という状況も起きてしまいます。一方、ある程度の規範を持ち合わせていて信頼関係のある自律 / 自立した人材が集まっているチームでは、各自が状況判断をして動くことができるので変化に強いチームができる可能性があります。
ルールには「ホワイトリスト方式」と「ブラックリスト方式」があることを知らないと…
多くの会社?で、ルールを定めようとすると、「こんなとき、どうするんですか?」、「こういう場合は、どうするんですか?」と変な議論になりがちなのですが、その根本にあるのは、「ルールですべてを記述する(できる)」という思い込みです。
実際問題として、『無理』です。これだけビジネスが激しく動いていて、価値観も多様化している中で、会社やチームに起こることに対してすべてを『ルール』で決めて動くことは現実的ではありません(仮にできたとしても、ルールが膨大になってしまい、そうなると今度は人間の方がルールを覚えきれません)。
実は、『ルールを決めてほしい』という声も根強くて、『ルールがないとアクションできない』という声もよく聞きます。うーん、ルール通りに動くことしかできないのであれば、ロボット or プログラムの方が効率がよいのでは…ということで、そのような人材に育ててはいけないのではないかと感じます。
ではどうすればよいのかというと… 『人間』の方である程度、吸収して運用していくしかありません。ある程度のルールを決めておいて、それ以外は、信頼を前提にして、コミュニケーションで解決していくしかない(あるいは、それが一番合理的な選択肢)のではないかと思います。
今回の議論では、チーム全員が最低限果たすべき責任と役割として、『ホワイトリスト方式』でルールが定められ(これは、チームのメンバーとしてやらなければいけないことリスト)、チームメンバーとしてやってはいけないことを『ブラックリスト方式』のルールを定めておいて、後は、信頼とコミュニケーションで目標を達成しようというきれいな議論になりましたが… これが、一番、わかりやすいのではないかと思います。
新規事業では、『やっちゃいけないことだけ決めておいて、あとは勝手にやりなさい』というブラックリスト方式が有効
最後に… ある程度、信頼できる人材には、ぜひ、『ブラックリスト方式』で仕事を与えてください。私たちがサポートさせていただく新規事業プロジェクトは多くの場合、思いを持った能力も行動力もあるリーダーにやる気のあるメンバーが集まっています。ホワイトリスト方式の『義務』は最低限にしておいて & これをやったらNGは言っておいてもらった上で(ブラックリスト)、あとは任せて、信頼とコミュニケーションでプロジェクトを進めていくのが、一番早くプロジェクトが進むのではないでしょうか。
今回は、先日、議論になった『ルール』について、『ホワイトリスト方式』、『ブラックリスト方式』について説明しました。現在のビジネス環境ではルールですべてを動かすことはなかなか難しくなっています。このキーワードを知っていて、『人に任せる』選択肢を入れることで、よりスムーズなチーム運営ができるルールが考えられるのではないでしょうか。ということで、参考にしてみてください。
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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹