『経営リーダーの条件』についてインタビューされた話

アイディアポイント岩田です。あけましておめでとうございます。本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。旧年中は…と書き出すと長くなるので、この辺で。早速、本日の話題をスタートします。

年末に30代の知り合いの『研修の課題』ということでインタビューを受けました。「あっ、某社のやつだなぁ」と思いつつ、あまり無粋なことは言わずに、素直に答えたので、その内容を書いていきます。テーマは、『経営リーダーの条件』です。あらためて、考えてみると難しいテーマです。がんばって答えたのでその内容を書いていきます。年末年始に研修の課題が出ているみなさんも多いのでしょうか?お疲れさまです!!


目次

さて… これから偉そうに話すけど、自分ができているわけではない!!

最初に豪快に言い訳しますが、これから書くことは必ずしも自分ができている訳ではありません。自分で話しながら「なんて、偉そうなことを言っているんだ」と思います。ここから後は、全部、「だったらいいなぁと思っています」と読み替えてください。人間だもの。わかっていても、できないことたくさんあるんです。

今回、もう一つ気がついたのは、自分は仕事柄、経営者論やリーダーシップに関して、『変に知識がある』ので、頭の中でそれが邪魔することが多いということでした。模範回答っぽいものを答えたくなる欲求が出てきますが、今回、それは止めました。できるだけ素のままお話しました。

この後、できるだけ、インタビューの回答に近いものを書いていこうと思います(質問項目は、会社が特定できないように、一部、調整しています)


経営リーダーの条件とは何か

世の中には多くの経営者がいて、それぞれのタイプやスタイルがあると思います。それを前提にして… 私は経営者(経営リーダー)の条件として、以下を挙げます。この条件を満たしていれば立派なリーダーだと言えるでしょう。逆に、この条件を満たさなくなったときは、経営を退くタイミングだと考えます。

  • 誰よりも会社のことを考えている
  • 誰よりも将来のことを見ている
  • 誰よりも幅広く、あらゆる可能性を考えている
  • その上で、キツイ意思決定ができる
  • 何かあったときに責任者をとる覚悟がある

経営者は以下の資質を持っていることが必要だと考えています。私自身の会社もそうですし、クライアントと議論をするときにも同様の内容をお話しします。

  • 自分自身がやりたいこと、成し遂げたいことがある
  • 正しいビジネス観、組織観、人間観を持っている
    (何をしても儲ければよいわけではない。儲かれば何をしてもよいわけではない)
  • 数字に強い
  • 組織を率いる資質を持っている、『言葉』が強い
  • 精神的にも肉体的にも社会的にも健康

我ながらよくまとまっていると感じていますが、いかがでしょうか。書きながら、多くの経営者の方の顔や先輩からの薫陶を思い出します。果たして、自分は本当にリーダーの資格があるのだろうか?今日の夜、風呂でゆっくり考えてみようと思います。


あなたが目指したい経営リーダー像、なりたくないリーダー像

この質問は結構、困りました。正直なところを書いておくと、私自身は『こういうリーダーになりたい』と考えることはありません。

考える順番としては、「自分はこういう会社、こういうチームを作りたい」をずっと考えます。これに関しては、気が遠くなるほど考えます。そこが決まるとその結果として「自分はこういうリーダーシップを発揮したい」ということは「こういうリーダーになりたい(リーダー像)」という順番で考えます。

私自身の『リーダー像』は、人物像というよりも役割のイメージが強く、更に、私自身が比較的、器用でバランスがよいタイプで役割に徹することができるからそう考えるのかもしれないなと気づきました。

とそんな小難しいことを言っていないで、ズバリ回答しないといけないので、ズバリ回答していきましょう

『目指したいリーダー』は、「この人のチームなら勝てる、自分は100%の力を発揮できると思ってもらえるようなリーダー」です。チームとして『勝つ』、『勝てる』ことは当たり前として、私のチームに入るとベストの仲間(スタッフもお客さまもパートナーも)とベストな仕事ができる。そのような環境が整っていると思ってもらえるようなチームを作りたいです。ということで、「この人の下ならベストな仕事ができると思ってもらえるようなリーダー」が私の理想です。

逆に、『なりたくないリーダー』は… まず、『負け犬』は論外です。「この人と一緒に働いたら損をする」と思われるのは最悪です。なので、成果を出せないリーダーは最悪です。自分自身も仲間も、『嫌な仕事』をするのもさせるのも嫌です。『嫌な人』と我慢して働くことも嫌です。自分に関して賛否はあってもよいのですが、『悪いこと』をするのもあり得ません。誰かが何かを我慢して嫌々働くようなチームは嫌です。そんなチームを率いるリーダーになるのが最悪です。自分自身の判断基準は、「家族に見せられないような仕事姿はダメ」です。何かを無理するべきではないと考えます。

結論としては、自分も含めて全員が「自分らしく」働ける環境を作ること、その環境で働くということになります。これは「あなたはあなたらしくあればそれでいいんです」ということではなく、どちらかというと、「自分の戦闘力の一番、強いところを使って、毎日100%以上の力を使って、全力で戦い抜ける」チーム、職場という意味で使っています。

現実的に、全員が安心安全な環境で尊重され、余計なことを気にせず自分の得意なことに集中できている方がパフォーマンスもよいと思います。全員がフルパワーで働けるようなチームを作りたいものです。


どんなリーダーシップを発揮したい

これも難しい質問です。普段、「オレは〇〇なリーダーシップを発揮したいぜ」と考えることはないからです。でも、これには何か答えないといけない…ということで、回答していきます。今回は、少し遠回りして回答します。

猿の群れでは、ボスは、「自分の住処や食事をしているときは全員が見渡せる真ん中に陣取る」、「移動する際には先頭」というのが基本だそうです。自分たちの住処では襲われる危険が低い時は、中央から皆の様子を伺い見守る、移動には危険が伴うので、リーダーは先頭に立ち他の猿たちを導くということです(リーダーシップの旅~見えないものを見る~(野田 智義 (著)、 金井 壽宏 (著)、2007年、光文社)より)。

通常運転のときには真ん中にいてチームを見ながら群れの外の状況を見たり未来を考えたりしつつ、変化の際にはきちんと先頭を歩くようなリーダーシップを発揮したいところです。

サッカーでいうと普段はディフェンスラインの統率をしているけれどもいざとなったら攻撃にも参加する『リベロ』、スラムダンクだと『藤真健司(翔陽高校)』、シュート!だと“北海の氷壁”『氷室 明彦』…だんだんわかりにくくなってきたのでこの辺で。

サルの群れって、おもしろいものですね。逆だったら最悪ですよね。ご飯食べるときには我先にと食べに行き、移動するときはみんなに守られて真ん中に…こんなリーダーになってはいけないと思います。


あなたが経営者になるために今から準備すること

ここからはインタビューしてくれた知人へのアドバイスです。個別の事情ではないところを書いていきます。

一番、大事なのは今の仕事に対して誠実に取り組むこと、そこで信頼を得ることです。〇〇さんが必要だと言ってもらえるようになることが大切です。

その上で、自分の仕事を「上席の立場から」、「経営者の立場から」考えてみる習慣をつけておくようにしましょう。経営者になるといきなり「よーい、ドン!」と経営者の仕事が始まってしまいますので、時間がありません。今のうちに、経営者の疑似体験ができると、いざ、なったときにスムーズにスタートできるでしょう。

仕事で接する経営者の人の話を覚えておく、経営者になると何を聞き、何を考え、何を話すのか聞いておくのもよいでしょう。その意味では、今回の研修もその趣旨なのかもしれません。

私自身はコンサルタントだったので、「あなたが経営者だったら、どう意思決定をするのか?それはなぜか?」問われる機会が多かったし、多くの経営者とお話しすることもできました。その意味ではよい経験になっているのかもしれません。先輩方、あらためて、ありがとうございました。20年以上たっていますが、感謝しています。

経営者になる前にやっておくとよいこと

いろいろありますが、現実的なこととして、2つ挙げておきます。ひとつは、「自分が経営者になったらどうするか考えておく」ことです。「よいビジネス」とは何か?、「よい会社」とは何か?、「よい組織」とは何か?、「自分がやりたいこと / やりたくないこと」は何か?、これから世の中はどうなるのか?、そのとき何が必要になるのか?等、正解はなくても自分なりの考えをまとめておくことができると経営者になってからスムーズに仕事をスタートできると思います。

ふたつめは、『汎用的なスキル』を身につけておくことです。これは、時間に余裕があればで構いませんが、意外と「スキル」は裏切りません。基本的な戦略、マーケティングの知識、財務・会計、組織開発といったMBAで学ぶ内容を知識として身につけておくことはお勧めします。リサーチやコミュニケーション等の基礎的なビジネススキルも知っておくとよいでしょう。率直に言えば、経営者になったらそんなこと勉強している場合ではないので、できることなら余裕のあるうちにやっておいた方がよいでしょう。英語も同様です。英語も読む、聞く、書く、話すくらいはできるようにしておいた方がよいでしょう。

2つと言いましたが、最後にひとつ、追加します。「いろいろな場所」に行ってみて、「いろいろな人」と話し、「いろいろなことを経験してみる」とよいと思います。直接、何によい影響があるとは説明できないのですが、きっと、いつか役に立つでしょう。これは、イマイチ説明ができないので、附録としてつけ足しておきます。


逆に、経営者になるために後から準備してもよいこと / 間に合うこと

実は、ほとんどのことは、「必要があればなんとかなる」のではないかと思います。先ほど挙げた汎用的なスキルや英語、一般的に時間がかかると言われる人脈やネットワークも実は、苦労すれば何とかなるのではないかと思います。業界知識、業務知識など専門知識も必要なことはなってからでもなんとかなるでしょう。

書いているうちに、「ほとんどのことは、後から準備しても大丈夫」という結論に至りました。現在の仕事で信頼を積み重ねること、心の準備をしておくことがMUSTで、それ以外のことは後から何とかなります(というか、なんとかするしかありません。がんばってなんとかしてください)。


今後のキャリアに関する、アドバイス & フィードバック

今回は私にインタビューしていただいてありがとうございました。あらためて、正面から聞かれると自分自身考えるところが多くありました。私自身は、経営者はやりがいのある仕事ですし、楽しいです。〇〇さんも、興味があるのであればやってみたらよいと思います。

一方で、世の中、全員が経営者にならなければいけないわけでも、目指さなくてはいけないわけでもありません。なので、〇〇さんが「経営者をやりたい / やってもよい」のかそうでもないのか、一度、考えてみたらどうかと思います。私の感覚だと経営者は「専門職」なので、経営者になりたければそのための勉強や準備をはじめたらよいのではないかと思います。

それ以外にも専門職はあるし、個人的には経営者をサポートする『経営者の気持ちもわかる〇〇』という仕事も世の中には不足しているように感じるので、そのポジションを考えてもよいと思います。

一般的に言われていることですが、「〇〇さん」という人間には「▲▲職」が向いている(そういう職種があるはず)というジョブマッチングの考え方は間違っています(今度うける研修でそういう話が出たらスルーしてください)。〇〇さんが▲▲職を「自分らしく」取り組めるかどうかやってみて、その結果、自分らしく取り組めればそれが〇〇さんにとっての「天職である」というのが、現在の一般的な考え方です。

まずは、目の前の仕事を「自分らしく」取り組んでみて、それが〇〇さんにとって向いているかどうか考えてみてください。その結果、素敵な自分らしいキャリアになるのではないでしょうか。そういう意味では、経営者というのも〇〇さんにとって自分らしいキャリアなのかもしれませんよ(固定的に考えずに、幅広く考えてみるとよいと思います)。

〇〇さん自身が「自分らしく働ける」仕事に出会えること、活躍できることを祈っています!楽しく、幸せに生きていってください!


ということで、今回は『経営リーダーの条件』をテーマに語ってみました。研修の課題は、出す方は簡単!?ですが、回答する方は大変ですね。〇〇さん(とその仲間たち)の今後と幸せなキャリアを祈りつつ…本日のブログは終了です。

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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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