
三井不動産レジデンシャル株式会社
人事部 人事グループ 兼 ダイバーシティ&インクルージョン推進グループ
主査 香田 圭介様
当社がご支援させていただいているお客様にインタビューをし、その内容を掲載いたします。
今回は三井不動産レジデンシャル株式会社様です。
「組織生産性の向上」を実現するために、多様な人材が活躍できる環境作りを行う
現在、貴社が力を入れている取り組みを教えて下さい。
三井不動産レジデンシャルで現在力を入れている取り組みのひとつが、「組織生産性の向上」です。ノー残業デーの導入や営業職の首都圏の一部物件で日曜日定休のトライアルなど、「働き方改革」の一環として以前から組織生産性の向上を目指していましたが、多様な働き方をデザインするために、近年は加速度的に推進しています。
2024年度から人事制度も変わり、総合職は「新しい付加価値の創造」を実現するために、より高度で新しい領域へのチャレンジが求められています。一般職も「業務職」という名称になって、仕事の領域と質を高めることになりました。それぞれの職務にて業務の棚卸しをして、ルーティン業務を簡素化・システム化できれば業務量を減らすことができます。また、業務の質を高めてワンランク上の人材を目指せば、従来よりも大きな成果を得られるでしょう。分数で例えると、分母の業務量を1/2にして、分子となる能力や仕事の質を2倍に高めれば、成果は4倍になるといったイメージです。そのため2023年度からの研修メニューは、「協働する圧倒的に強い個」を目標にして力を入れてきました。
研修プログラムは、「協働する圧倒的に強い個」を目標に4つのテーマに従って実施
具体的に、どのような研修を実施されていますか?
我々が実施する研修には、大きく4つのテーマがあります。1つ目は、「圧倒的に強い個の育成」。個人の能力強化研修として「年次別研修」や「360度サーベイ研修」などを実施しています。前述の通り、総合職は「新しい付加価値の創造」が求められます。また、三井不動産株式会社の代表取締役 植田社長が発信されている「妄想・構想・実現」を体現する社員育成を目指し、若手から中堅までは「妄想、構想」の力を、中堅から管理職は「構想、実現」の力を養えるようなプログラムにしています。
研修テーマの2つ目は「協働の推進」、3つ目は「価値創造」「組織生産性向上」です。D&Iを理解してもらうために、2023年度は部門長・グループ長クラスを対象に、「ダイバーシティマネジメント研修」を実施しました。2024度はチームリーダークラスに同研修を実施し、組織にD&Iへの意識醸成ができました。また、「価値創造」を目的として、グループ会社との合同研修も毎年実施しています。
4つ目のテーマは、「マネジメント力のさらなる向上」です。以前から全グループ長に「360度サーベイ研修」を実施しているのですが、今は多様性が求められている上に、人事制度が変わり個別具体的な課題設定、目標設定も必要です。
そこで、マネジメント力のさらなる強化のために、「課題設定フィードバック研修」の実施を検討しています。管理職を全員集めて研修を実施するケースは珍しいと思うのですが、まずは全員を対象にしてマネジメント力のレベルを底上げしていきたいと考えています。
これら4つのテーマのうち、アイディアポイントには、グループ合同研修やダイバーシティマネジメント研修、業務職への変更に伴うマインドセット研修や11年目社員向けの年次研修などを実施していただきました。

課題にアプローチしオーダーメイド研修を実施できるのがアイディアポイントの魅力
グループ合同研修の狙いを教えてください。
2017年からアイディアポイントに依頼している合同研修は、「三井不動産レジデンシャル主催のグループ合同研修」と、「三井グループ人事担当者向け異業種交流研修」の2種類です。
グループ合同研修は、入社1年目、10年目、15年目と年次別に実施していますが、アイディアポイントには1年目、15年目の研修をお願いしています。三井不動産グループから住宅系の7社が参加し、グループ連携を行うことで可能になる新たなサービス、もしくは今までにない業務改善を参加者で協議し提案する当研修は、協働の推進だけでなく、価値創造、創造革新に大きく寄与する研修だと考えています。0から1を生み出すことは難しいですが、三井不動産グループが持つ知見を掛け合わせることで、既存のアイディアから新しい価値が生まれるようになります。
受講者の年次によっても違いがあり、入社1年目では実現難易度が高いものの、夢や希望にあふれたユニークなアイディアが出ます。入社15年目は、ちょうど第一線で活躍するリーダークラスにあたるので、価値創造につながる有意義な議論ができ、年々アイディアのユニークさや実現性は上がっていると感じます。入社同期とはまた違う人脈ができるので、今すぐではなくとも、困った時に相談できる相手が社外に増やせることも、合同研修の目的のひとつです。
また、三井グループ人事担当者向け異業種交流研修にも以前から参加しています。これは三井不動産グループだけではなく、金融や商社、製造など三井グループに所属する様々な企業から人事担当者が参加する研修です。日々の業務に追われ、自社のことにのみ詳しくなりがちな人事担当者が、人事業務に関わる者として「一度はしっかり学んでおいた方がよい」知識や理論を体系的に身につけられる研修です。他社から参加する受講者とのディスカッションを通じ、自身の担当業務に縛られることなく、自社の人事分野の課題に対して広い視野をもって向き合うことができます。普段の業務から離れて人事の知見を深める機会は貴重ですし、同じ人事でも全く異なる世界に踏み出して議論ができる異業種交流研修は、視野を広げ、自身の成長につながっていると感じています。各社ごとのルールは異なりますが、人事ならではの悩みは各社共通しているため、ビジネスの話ができる人脈を同グループで築けることも大きな魅力です。
その他の研修はどのような狙いで実施されましたか。
変化が激しく不確実性の高いVUCA時代に対応するために、人材の個性や長所を活かして協働する必要があります。アンコンシャス・バイアスをなくしお互いを認める・活かす環境作りを目指して、アイディアポイントにはダイバーシティマネジメント研修もご依頼しました。まずはマネジメントから意識を変えていこうと、2023年度は部門長・グループ長などの管理職に、2024年度はチームリーダークラスに対して実施しました。2025年度はメンバークラスまで対象を広げて、協働の推進を進めていきます。
また、2024年度の人事制度変更に伴い、業務職向け研修もお願いしています。業務職の方は、もともと一般職として入社しているため、サポート業務に徹底する傾向がありました。しかし人事制度が変わり、業務職には協働を意識し他者を巻き込んで成果を出す姿勢が求められています。そのため業務職向け研修は、業務領域拡大の理解促進やマインドセットを目的とし、アレンジしてもらいました。
アイディアポイントを選ぶ理由を教えてください。
講師の経験値が高いことと、プログラムが洗練されていることが大きな理由です。講師派遣型の研修会社の多くは、講師の色が強く完成されたパッケージになっているケースが一般的で、個別への柔軟な対応が難しいことが多いです。パッケージの場合、受講者に馴染みがないと受け入れられにくいため、当社の要望に合わせて研修をアジャストしてもらえる会社にお願いしたいと考えています。アイディアポイントは前年度の研修フィードバックを受けて改善点をすぐに反映し、当社の課題に沿った提案をしていただけるので、オーダーメイドのような研修を実現できる点が魅力です。より研修効果が高まるよう、従業者に響きやすいキーワードに置き換えてもらうなど、コミュニケーションを図りながら細かい点まで一緒に作り込んでいただけるのもありがたいですね。
研修に対するこだわりを教えてください。
三井不動産レジデンシャルの研修は、挙手制ではなく多くが指名制で実施しています。自身の好きなプログラムを選んで受講してもらうeラーニングも導入していますが、挙手制の研修では日々の業務で忙しくされている方には後回しにされてしまうことも多いです。どの年次の方にも課題は必ずあるので、我々がそこに向き合ってしっかりと検討し、問題解決を図るのが研修担当の仕事だと考えています。
研修前には目的や背景を受講者に丁寧に説明し、どのような行動変容を起こしていただきたいかをお伝えするようにしています。また、網羅性も重視しており、指名制で研修を実施した後、フォローが必要な場合は個別に研修を実施し、全体のレベルの底上げを行っています。研修を実施するうちに新たな課題が生まれるので、全社的に実施するか部分的に実施するかを判断し、次回の施策を検討します。こうした手厚い研修を実現するには、パッケージ型では対応が難しく、アイディアポイントのように個別柔軟に対応してくれる会社がマッチしていると感じています。
調査結果からD&Iや組織生産性向上への意識の高まりが明らかに

研修の成果はいかがでしたか?
「個人の成長」という定性的な成果は数値で測りにくいのですが、調査を活用してできる限り定量的に測るようにしています。基本的に年に1度、「D&I推進意識調査」と「従業者満足度(ES)調査」を実施して、調査結果の数値の変化を把握し、研修ラインナップやプログラムに活かしています。
研修だけの成果とは限りませんが、D&Iに対する意識や風土は随分変わっており、組織生産性向上についても「何かできることはないか」をみんなが意識するようになりました。従業者への意識づけや組織風土を醸成できたのが、一番の手応えです。
実際に「D&I推進意識調査」でも、意識や風土醸成に関する数値が上がっていました。「従業者満足度(ES)調査」も、過去最高値となったので、定量的に成果が出ていると言えるでしょう。
この2年で風土醸成は達成できたので、2025年度からは問題となるポイントに対して課題解決をするフェーズになります。1年ごとにPDCAを繰り返して、アンケートを見ながら研修内容を考えています。毎年テーマを決めなければならないので大変ですが、手厚く実施していきたいと考えています。
今後はDXやITスキル向上による組織生産性向上を目指していきたい
今後、取り組もうとしていることはありますか。
現在、不動産市場が活況で業績も好調ですが、この市況がずっと続くとは限りません。好調だからと従業者を増やすのは簡単ですが、組織の生産性を向上して業務量を減らしながら売り上げを増やすという、難易度の高い両輪の働きが求められています。D&Iや組織生産性向上の土壌はできましたが、個々の能力伸長にはそれぞれの課題があります。組織生産性向上は、今後も引き続き取り組むテーマだと考えています。
アンケート結果から、多くの従業者が「組織生産性向上が課題」という認識を持っていることが分かっています。その課題を、部門や個人ごとにヒアリングしながら、その課題に合った打ち手を行っていきたいと思います。例えば、自動化・システム化に課題がある部門や個人には、SaaS・生成AIの活用が定着するような仕掛けを行っていきたいです。

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