新規事業提案制度を通過した後、その後、どうなる?

本日のコラムは、新規事業提案制度によって提案が採択された後、実際に事業開発を進めることになったときに確認するチェック項目について説明します。「提案を通す」ために必要なチェック項目と「実際にプロジェクトを進める」ときに必要なチェック項目は異なります。今回、お伝えするチェック項目を参考にすると、トラブルやリスクを極力減らすことができると思いますので、そのノウハウをお伝えしたいと思います。


目次

やるべきこと、タスクリストの棚卸しはされていますか?

チェックポイントのひとつ目は、アクションとして行うべきことを全て棚卸ししておくことです。つい、「やりながら考えればよいか」とラフな計画になりがちですが、できれば序盤のうちにタスクリストの洗い出しやプロジェクトの設計は細かく行っておくことをおすすめします。もちろん、刻々と状況が変わり、新たな課題が生じることもあるでしょうから、進め方としてはウオーターフォール型でガッチリ組むのではなく、行うべきことと決めるべきことを全てテーブルに出しておき、優先順位をつけながらアクションしていく形になります。結果的に計画が変わったとしても作ったタスクリストは決して無駄になりませんので、きっちり時間を掛けることが大切です。

この棚卸しが大事な理由は、できることから手をつけていると「やった気になっているだけで全然進んでいない」事態が起きてしまうためです。全体を見た上で、今何をすべきかを都度考えるのが、一番効率のよい進め方であると考えます。なんだ、そんなことはビジネスパーソンとして基本じゃないか、と思われるかもしれませんが、誰も経験したことがない新規事業開発という業務においては、その基本を忘れてしまうことが多々あるのです。


社内の報告に追われていませんか?

定期的な報告会やレビューが、高頻度で行われることで、本来行うべきアクションができずに報告・プレゼンの準備に追われ、疲弊してしまうケースも散見されます。適切なタイミングでフィードバックを受けること自体は、客観的に状況を見ることができますし、スポンサーへの説明責任という観点からも、必要なことです。ただし、頻度が高すぎる場合や、報告相手が毎回異なる場合は、注意が必要です。それぞれの報告の目的や求めるアウトプットをよく考えて整理し、起案者の負荷を考慮してセッティングしましょう。

経営陣へのレビューが半年に一回、部長クラスへのレビューを2ヶ月に一回程度が妥当な頻度でしょうか。もちろん、マネジメントとの密なコミュニケーションは欠かせませんので、資料や準備が必要な正式な場ではなく、カジュアルな会話の中で進捗を共有したりアドバイスを求めたりしていきましょう。


頑張っても進まない / 進みづらい作業を一生懸命やっていませんか?

タスクの中には、どんなに検討しても進まない類のものが存在します。

例えばシステム開発のベンダー選定は、どれだけ精緻に要件定義を行い候補先をリストアップしても、実際に候補先にアプローチして会話をしなければ進みません。アプローチできても最終的に一社へ決めなければ進んだことにはなりません。しかしながら、候補先のリストアップや要件定義に時間を割いてしまうケースが起こりがちです。

他の例だと、市場や他社事例などの「調査モノ」も必要以上に時間がかかってしまう落とし穴のひとつです。新規事業や新製品を投入するうえで市場調査は欠かせませんが、これから出す新しいものがどのくらい売れるかを教えてくれるものではありません。最終的に「勝負する場所」を決めるための調査なので、説得材料がそろえばそれ以上詳しく調査する必要はないのです。調査しようと思えばいくらでも詳しくやれるので、実際には役に立たない調査に時間とコストを掛けてしまっているケースは少なくありません。

決めなければ進まないものは、『今決めない理由がない限りは、一旦決めて前に進める』ことを優先させましょう。その決定が誤っていたとしても、その地点まで戻ればよいのです。そもそもゴールへの道のりは一本道ではありませんので、バシッと正解を出そうとせずに、エイヤーで決めることが必要な局面があるのです。


きちんと一次情報に当たっていますか?

昨今、ユーザーインタビューやPoCProof of Concept:概念実証)を行うことは、一般的に言われるようになりました。大企業で育つと、意外と自ら手足を動かして一次情報にあたる行為をほとんどしたことがない方もいるので、最初の「知らない人に会いにいって話を聞く」ハードルが高く、生の声を集めてくるのが遅れて全体の進捗に影響を及ぼすケースがあります。

これに関しては、口酸っぱく指摘する他ないのですが、一歩踏み出すのに躊躇している場合は、事務局がサポートしてあげることも有効です。メンターとして入っている当社のコンサルタントが、ヒアリングの場のアレンジや同行などをサポートすることも少なくありません。

実際には、やってみると意外と簡単にアポイントが取れますし、繰り返せば自信がついて、いつの間にか自然とできるようになっていきます。億劫になっている人がいたら、ぜひ後押ししてあげてください。


やめるにやめられない状況に陥っていませんか?

新規事業のお悩みあるあるの中で、遭遇率が高いのが「撤退の意思決定ができない」ことです。一度はGOと意思決定された新規事業プロジェクトから撤退することは、起案者本人はもちろん意思決定者側も難しい判断となるでしょう。ピボットという言葉が広く使われるようになったせいで、選択肢がありすぎて「他の方法ならできるかもしれない」と言って無限に続ける羽目になるプロジェクトも多くあります。それでも最近は少し改善されているようで、多産多死を受け入れる体制をとっている企業も増えてきました。

撤退の意思決定を行うには様々な要素を考慮するので、一概にガイドラインを示すことはできませんが、どう考えても実現不可能だとわかったとき、起案者本人がモチベーションを保てなくなってしまったときは、撤退を検討するタイミングにあるでしょう。モチベーションというと、「仕事なんだからやるべきことをやるべし」という考え方もありますが、新規事業開発においては起案者の熱意・使命感・責任感が推進力を生み出し、さらには事業の成否にすら影響を与えます。起案者を突き動かす動機が冷めてしまったら、どんなに優れたアイディアも実行段階で潰れてしまうでしょう。

引導を渡して楽にしてあげるのも、意思決定者の重要な役割です。多くの場合、起案者は自分から「もうムリです」とは言いださないので、意思決定者側が責任をもって決めることが必要です。レビューのタイミングで起案者のアラートを察知したら、一度腹を割って会話して、全員が納得できる形で終わらせることも選択肢のひとつとして持っておきましょう。


スケジュール通りに進んでいなくても、「新規事業だから」なんとなく良しとされていませんか?

最後のチェックポイントです。

新規事業開発の取り組みがスケジュール通りに進むことはほとんどありません。一方で、それが当たり前だと捉えてしまうと、本人も周囲もなあなあになってしまい、推進力が下がってしまいます。通常のプロジェクトだったら、スケジュール通りに進まない=炎上です。

思うように進んでいない状況に対して、原因が把握できていれば、あるいは、打開するアクションがわかっていればよいのです。この原因分析を深堀りせずに進めてしまうと、起案者は「頑張っているのになぜか進んでいない」と悩み、周囲からは「早く目に見える進捗を出してほしい」と言われる状況になってしまいます。そのうち、既存事業からは、「そろそろ売上に貢献してもらいたい」などと言われ、マイルドにやる気を削がれるようなことが起きてしまいます。

スケジュールにずれが生じた際には、あらためてタスクの棚卸しと優先順位づけを行い、プロジェクト自体を巻き直しましょう。その際のコツは、プロセスと成果を分けて、プロセスの進捗を厳しく追い掛けることです。成果を出そうと躍起になる気持ちはわかりますが、すべて良い成果が出るとは限りませんので、冷静になって自分でコントロールできることを着実に進められているかどうかをチェックすることをおすすめします。


今回は、新規事業プロジェクトを進めるにあたって陥りがちなポイントを整理しました。これらをひとつずつ潰していけば、(必ず成功しますとは断言できませんが)、ある程度のリスクは排除できるはずです。ぜひ、みなさまが抱えているプロジェクトの定期検診として活用していただきたいと思います。

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