『新しい事業』のアイディアは、どのような観点で発想したらよいのか?(応用編)

前回、「『新しい事業』のアイディアは、どのような観点で発想したらよいのか?(基礎編)」という記事で、新しい事業のアイディアを発想するために、

  • 発想に関する原理原則を押さえる
  • 多様性が高い状態をつくる
  • 「ニーズ」と「シーズ」を起点にして発想し、合致させる

ことが大事だということをご紹介しました。

今回は、応用編ということで、上記のことを進めるにあたって、注意しなければならない点を2点ご紹介したいと思います。


目次

社外の人とアイディアを考える場を実施したあとの進め方は、段階を踏んだほうが良い

前回、発想の幅を広げるためには、一人ではなく複数の人で、且つ、多様性が高い状態でアイディアを考えたほうが、発想の幅が広がり、イノベーティブなアイディアが出る可能性が高まると記載しました。(以下の図は再掲です)

最近では、多様性が高い状態をつくるために、社外の人とアイディアを考える場を設ける企業もずいぶん増えてきました。弊社へのご要望として、「異なる業界の企業とアイディアを考えるワークショップを行いたい」というお声も年々増えています。

アイディア創出で行き詰まっている状況で、「異なる業界の企業とアイディアを考えるワークショップ」を行うことで状況を打開したいということも理解できますし、そのような取り組み自体は悪いことではないと思います。

しかしながら、取り組みを実施するにあたっては、一点気をつけたほうがよい点があります。

異なる業界の企業とアイディアを考える場を設ける際、「今後、新規事業創出に関して連携して行うことを前提に進める」ということについては、一度思い留まったほうがよいと思います。その理由は、他社との連携で、プロジェクトが上手く進まず、1年以上プロジェクトを行っていても新規事業創出の成果が全く見込めないという企業が多く存在するからです。

(特に、経営層から「他社との連携」について話が下りてきてしまって、プロジェクトを進めざるを得ないという状況だが上手く進んでいないというお話をよく伺います)

上記のような状況を避けるためには、「異なる業界の企業とアイディアを考えるワークショップ」を行ったあとに、その後、関係を継続してプロジェクトを進めていきたいか、都度意思確認を行うべきです。どちらかの企業がプロジェクトを進めることに懐疑的・否定的になった場合、そのプロジェクトが上手く進む確率は下がります。従って、意思確認を行った際、いずれかの企業が次に進めることに懐疑的・否定的に感じたら、その場でプロジェクトを終わらせたほうがよいです。


新規事業創出の活動を推進する立場の人は、自社に不足しているところがどこかを意識して企画するとよい

新規事業に関して、起案する立場の人も、推進する立場の人も、発想を広げる際の原理原則や多様性の高い状態を実現するための工夫、ニーズ起点・シーズ起点からの発想について知っておいたほうがいい内容になります。

そして、推進する立場の人は、社内で新規事業創出の活動を推進する施策を検討する際、自社にとって課題となっている部分がどこか、不足しているところがどこかを把握して、それに対しての施策を打つことが求められます。以下、よくある例として、推進する立場の人が、社内の人たちから新しいアイディアが生まれやすくなるようにするためにどのように考えるとよいか、簡単ではありますが参考までに記載します。

「役職が高い人がいると、メンバーが萎縮して意見が出にくい」ということであれば、原理原則のところでお伝えした、

(1)アイディアを数多く出す
(2)発散と収束を分ける 

を意識する必要があるでしょう。(1)(2)にあるルールを参加者全員で守ることができる場を社内で設けるには、どのような企画を行うとよいか、頭をひねる必要があると思います。

「新たなアイディアを考える機会がほとんどない」という企業であれば、新たなアイディアを考える方法そのものを知らない可能性が高いでしょうから、

(3)発想の手法を知る

という機会があると良いでしょう。また、

  • 「ニーズ」と「シーズ」を起点にして発想する

ということにも触れられる機会をどのように設けるか検討する必要があるでしょう。人材育成担当者と連携しながら「研修」といったものを上手く活用する、ということは方法の一つとして考えられます。

また、上記のような施策は取り組みつつあるが、なかなか成果が出ないということであれば、

(4)掛け合わせるネタを多く持つ

という機会を設ける、もしくは、

  • 多様性が高い状態

を設けられるような仕掛けをどのように行うか、企画する必要があると思います。このあたりは、時間がかかったり、大掛かりな話になったりするので、企画の難易度がより上がります。

以上のように例示しましたが、あくまで一例ですので、「うちの会社はこういう状況なのだけど、どういう手を打ったほうがいいか」というお悩み相談があれば、お気軽にお声がけいただければと思います。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
営業部
内田 智士

目次