新規事業にはDXが不可欠?知っておきたい関係性と成功事例

新規事業にDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れることで、新しい価値の創出や効率性の向上などを実現することが可能です。DXを活用する際の注意点や成功のポイント、成功している事業の事例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。


目次

新規事業にDXが必要な理由

デジタル技術を活用して変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)は、既存の価値観を覆す革新的なイノベーションをもたらすものです。デジタルによる新技術を通して、私たちの生活をより良いものにすることを目指します。またDXは、新規事業の開発する際にも必要です。その理由としては、次の3つが挙げられるでしょう。

  • 新しい価値を創出できる
  • 業務効率の向上
  • コスト削減

それぞれの要素がなぜ新規事業の開発に求められているのか、また、DXによってどのように実現するのか解説します。

新しい価値を創出できる

新規事業を打ち立てるとき、その事業に新規性があり、既存事業との差別化ができていることが求められます。そのためにも、購買パターンやネット広告などへの反応からユーザーの行動を分析することが必要となるでしょう。
インターネットを通したユーザーの反応・行動を分析するには、DXが必要です。つまり、新しい価値を創出するには、DXを活用したユーザー分析が欠かせないといえるでしょう。

業務効率の向上

元々、DXはデジタルツールを活用して業務効率化を目指すことです。新規事業の開発プロセスをスムーズに進め、効率良く事業を実現させます。

スピーディーな開発は、競合他社に対する競争力獲得のために不可欠な要素です。スピーディーに移り変わるビジネスの世界で生き残るためにも、新規事業を開発する際にはDXを活用し、業務効率を高める必要があるといえるでしょう。

コスト削減

DXは業務効率を向上させる効果が期待できるため、少しの労力で多くの結果を生み出しやすく、人件費などのコスト削減に繋がることがあります。最初は導入費用が高くなりますが、事業が長期的に継続される場合にはコスト削減効果も大きくなるでしょう。

ただし、すべての新規事業において、DXの導入がコスト削減を実現するわけではありません。インターネットの普及により、顧客のニーズが移り変わるスピードも速くなっています。不確実性が高く永続する価値観を生み出すことが難しい現代において、事業が長期的に持続できるのか、長期的に必要とされているのかを見極めることは、より難しくなっているといえるでしょう。


DXを用いた新規事業の成功に必要な要素

より一層スピードと効率性が求められる現代において、新規事業にDXを活用することは必要なことといえます。しかし、DXを活用すれば必ずしも新規事業が成功するというわけではありません。DXを活用するかどうか以前に、新規事業が成功の条件を満たしているのか確認することが求められます。成功を左右する次の5つの要素について詳しく見ていきましょう。

  • ゴールを明確にする
  • ターゲットを絞る
  • 市場ニーズを正確に捉える
  • 新規性のあるアイディア
  • 新規事業に見合った組織の構築

ゴールを明確にする

事業を開始するときは、ゴールを明確にすることが必要です。ゴールとは、具体的な目標であり、成功の基準でもあります。

例えば、「新規事業により環境保護に貢献したい」という目的を立てたとしましょう。目的自体に問題はなくてもどこが目的の到達点かがわかりにくく、事業が軌道に乗ったとしても成功と呼べるのかどうかが曖昧です。

しかし、「使用済みのボトルの回収率が98%を超えることを目指し、環境保護に貢献する。年間売上高として初年度は2億円を目指す」のように具体的な数字を入れたゴールを設定すれば、目標を達成したのかどうか、事業として成功したのかどうかが明確になります。事業を成功させるためにも、具体的な数字でゴールを設定するようにしましょう。

ターゲットを絞る

ターゲットを絞ることも、事業成功に欠かせないポイントです。多くの人に受け入れられる商品やサービスにしたいと考えている場合でも、ある程度、ターゲットを絞らなくては宣伝活動の方向性が定まりません。

開発した商品やサービスがどのターゲット向けのものなのか、また、絞ったターゲットが本当にその商品やサービスを求めているのかを分析し、常に市場や顧客ニーズの変化を察知しながら事業を推進していきましょう。

市場ニーズを正確に捉える

市場ニーズは常に変動しています。開発時点では市場ニーズを捉えた商品やサービスであっても、開発中にニーズが下がる可能性もあるでしょう。ニーズのある商品やサービスを生み出すためにも、常に市場の状態を敏感に察知し、ニーズを正確に捉えることが大切です。

市場ニーズを正確に捉えた後は、可能な限り迅速に行動することが求められます。何度も後ろを振り返って失敗はないかと確認していると、競合他社から遅れを取ってしまったり、ニーズそのものがなくなってしまったりするかもしれません。

新規性のあるアイディア

多様性が謳われ、商品やサービスの選択肢が多い現代だからこそ、新規性のあるアイディアが求められています。アイディアは無から生まれるのではありません。多くの情報に触れること、日常生活のなかの小さな疑問や不便さ、気付きなどを敏感に感じ取ることなどから生まれます。普段からアイディアを探し、新規事業の種を見つける準備をしておきましょう。

アイディアを一人で溜め込まないことも大切なポイントです。アイディアが生まれたらメンバーと共有し、意見を交換することでブラッシュアップされ、事業化が可能かどうか見えてくるでしょう。また、プロジェクトとして立ち上げる前に多くの人々とアイディアを共有することで、実際に事業化したときにメンバー内で理解のずれがなくなり、よりスムーズに進行させることができます。

新規事業に見合った組織の構築

良いアイディアがあっても事業として進まなければ、商品やサービスとして実用化できない可能性があります。事業がスムーズに進行するためにも、新規事業に見合った組織を構築していきましょう。

新たな組織は、会社の風土や習慣と合わないかもしれません。しかし、社風や既存の概念にこだわることが事業の進展を阻む可能性もあるので、事業ごとに合う組織構築を優先させることが必要です。

また、社風や習慣から影響を受けない組織を構築することが、次のアイディア、次の新規事業が生まれやすい土壌をつくる点にも注目できます。社員のモチベーションを上げ、挑戦や変化を恐れない人材を育成することにもつながるでしょう。


DXを活用した新規事業の事例

多くの企業では、DXを活用した新規事業を開発しています。いくつかの事例から、DXの活用方法についての理解を深めていきましょう。

大塚デジタルヘルスの電子カルテ

電子カルテを導入している医療機関は増えていますが、すべての診療科においてスムーズに電子化が進んでいるわけではありません。例えば精神科では患者固有の症状が多いため、分類が難しく、データベース化しても類似する症状を見つけづらいという問題を抱えています。

大塚デジタルヘルスでは、AIとクラウドサービスを組み合わせることで、患者情報や処方薬歴から分類することで、データ管理を容易化しました。医師はデータから薬剤や治療法を見つけやすくなり、患者や家族への迅速な対応も実現しています。

スペースリーのVR内覧システム

賃貸物件を選ぶ際に欠かせないのが内覧です。写真や文字のデータだけでは物件を深く理解することは難しく、借りるかどうかを決断することはできません。

しかし、内覧には手間がかかることも事実です。複数の物件を比較するのであれば、さらに時間がかかり、また、実際に足を運んだとしても、天候や時間によって日当たりは変わるので、物件に関するすべての情報が得られるわけではありません。

スペースリーでは360度VRコンテンツを用いた内覧システムを開発しました。クリックだけで部屋間を異動したり、昼と夜の部屋からの眺望を確認したりすることができます。賃貸希望者にとっては内覧の手間が省け、不動産会社にとっても内覧に使用する時間を減らせる双方にメリットのあるシステムです。


新規事業がうまくいかない理由

新規事業が思ったように進行しないときは、何か原因があるかもしれません。次のいずれかの事象が事業を阻害していないか、一度確認してみましょう。

  • 達成目標が多すぎる
  • 柔軟に計画を変更できない
  • 仮説が間違っている

それぞれの理由について詳しく解説します。

達成目標が多すぎる

新規事業を進行する上で、目標を立てるのは不可欠なことです。具体的な数字を挙げておくと、事業が成功したかどうかがわかりやすくなります。

しかし、DXを利用することで効率よく業務を進めることができると、つい目標を多く立てすぎてしまい、それぞれの目標を達成するために事業が肥大化するでしょう。事業の前提を確立するだけでも時間がかかり、完成にはさらに時間がかかるため、競合他社の事業よりも遅れをとってしまうことになります。

新規事業の成功にはスピード感が大切ですが、達成目標が多すぎるとスピーディーに事業を進めることができません。目標が多すぎることが成功を妨げていると考えられる場合には、いくつか絞るなどの方法で事業のスリム化を図るようにしましょう。

柔軟に計画を変更できない

事業をスムーズに進行させるために綿密な計画を立てることは悪いことではありませんが、計画を変更できないときは、事業成功を妨げる要因になることがあります。

思ったように進行しないとき、初期仮説が外れていることが判明したときは、すぐに新しい手順、新しい仮説を立てて、検証・実行と進めていくことが大切です。場合によっては、DXを活用しないほうがうまくいくこともあります。DXありきではなく、失敗に気付いたときはすぐに声を上げられるシステム、柔軟に計画を変更できる体制にしておくことが、新規事業を成功させるためにも必要だといえるでしょう。

仮説が間違っている

初期仮説が外れることはよくあることです。しかし、仮説にいつまでもこだわって引くに引けない状態になっていると、事業はますます成功から遠ざかってしまいます。

仮説が間違うのは仕方ないことだと各自が理解し、間違ったときにはいつまでもこだわるのではなく、DXを本当に活用すべきかという点から再検証を行い、柔軟に事業手順や計画を変更していくようにしましょう。


新しい価値の創出についてぜひご相談ください

新規事業をスピーディーに進めていくことで、競合他社との競争力を付けることができます。不確実性が強まる現代において、業務の効率性を向上させ、スピーディーな事業進行を実現するためには、DXの活用が欠かせません。新規事業を開発するときは、DXを組み込むことを前提で進めていくことが必要といえるでしょう。

DXを活用した新規事業の開発をご検討のときは、ぜひアイディアポイントにご相談ください。アイディアポイントでは、目まぐるしく変化する社会の中で新しいニーズの発見を目指す企業さまに寄り添い、事業開発のお手伝いを実施しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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