顧客事例:保守的な風土からの脱却!きらぼし銀行の課題に向き合い、変革する人材の育成に伴走

株式会社きらぼし銀行
HR部 部長 吉田 裕幸様
HR部 次長 渡邊 康一郎様

当社がご支援させていただいているお客様にインタビューをし、その内容を掲載いたします。今回は株式会社きらぼし銀行様です。


目次

3行が合併し「きらぼし銀行」が誕生。お客さまの課題に最適な提案ができる人材の育成が急務

人材育成に関する課題を教えて下さい

きらぼし銀行は、「首都圏においてお客さまから真に愛される、地域No.1の都市型地銀グループ」というビジョンを掲げ、2018年に東京都民銀行・八千代銀行・新銀行東京の3行が合併して誕生した銀行です。合併した当初は、拠点の集約やシステム統合などの経営の効率化に徹していましたが、合併から2年が経ち、「お客さまに選ばれる人材の育成」といった、次のステージに進みました。

世の中は変化の激しい時代に突入していますが、他の業界と比べると、銀行にはまだまだ保守的な風土が残っています。組織のヒエラルキーが強いため、指示されたことに対する遂行能力はとても高いのですが、自分で考えて主体的に行動することが苦手な人材が多いのです。我々の地盤は東京圏なので、マーケットの規模は日本一ですが、それだけ激戦区でもあります。厳しいマーケット環境の中で生き残っていくためには、まずお客さまに選んでいただける銀行にならなくてはなりません。これからは「銀行」業務だけではなく「金融にも強い総合サービス業」として、コンサルティングやフィンテックを活用したサービスなど、お客さまの課題に最適なご提案ができる人材を育成する必要がありました。


我々が発信するいくつものシグナルを受け止め、最適な研修のあり方を一緒に考えてほしかった

アイディアポイントを選んだ理由は?

人材育成のための教育プログラムは、例えばロジカルシンキングやラテラルシンキングなど数多くあります。金融の業務知識の研修であれば、パッケージ化されたプログラムを実施すればいいのかもしれませんが、人事領域の場合はそれほど単純な話ではありません。従来の姿勢やマインドを捨てて自ら課題解決に取り組み、常に挑戦する人材に変革してもらうのは、一筋縄ではいかないだろうと考えていました。

人材育成の施策を抜本的に変えたいと考えていましたが、施策検討のフェーズに入った頃は分からないことも多く、「自分の考えや自分が検討している内容は独善的なのでは」「今の時代に本当に必要なのか」などと迷いながら、それでも自分が確信している方向に従ってトライ&エラーを続けていました。他の研修ベンダーに相談しても、「その組織課題は、他の企業さまでもよく聞きます」と課題を抽象化されてしまい、きらぼし銀行が抱える組織課題を解決できると思えずしっくりきませんでした。

そんな時期に、アイディアポイントのご担当者とお会いしました。研修ベンダーの普通の営業担当者の方は効率的にニーズを聞いて、素早くソリューションを提案するものだと思いますが、まるで静かな“凪”のように、じっくりと我々の話を聞いているだけ。そして、次の打ち合わせでは、前回話したことがドキュメントにまとまっている。会うたびに、組織課題や自分の頭の中にあったやりたいことが、アウトプットとして整理されていきました。もちろん、効率的にヒアリングしてもらってすぐに提案してほしい人事担当者の方もいると思いますが、銀行という業界特性、企業の歴史、合併という変化、組織課題、人材の特徴など、我々が発信するいくつものシグナルをまず受け止めていただきたかった。時間がかかってもいいから、歴史や背景をご理解いただいた上で、きらぼし銀行に最適な研修プログラムを一緒に考えてほしかったのです。


受講者の反応を見て、プログラム実施中に変更を決断。イレギュラーな要望にも柔軟に対応していただいた

実際に実施した施策の内容を教えてください

実施した研修は3つ。主体的に行動する姿勢・マインドを身につける「オーナーシッププログラム」、プロフェッショナル人材としての価値を高める「コンサルティング道場」、入社4年目向けの「巻き込み型リーダーシップ研修」です。

■オーナーシッププログラム
2年目~10年目くらいまでの若手・中堅行員の中で、「身近なことや自分自身を少しでも変えたいけれどモヤモヤしている」「自信がない」といった行員に、自ら手を挙げて参加してもらう全3日間のプログラム。

【具体的な内容】

  • 一歩踏み出すことの意義を考える
  • 自分自身の過去を振り返り、自分が喜びを感じるのはどういうときか、自分が強みを発揮できることは何かを考える(内省)
  • 身近なことで、自分が興味関心のあることを一生懸命調べて、周りの人に伝える
  • 職場で、自分が興味関心のあること、もしくは、自分の強みが活かせることで、(ちょっとしたことでもいいので)新たなチャレンジを考えて、周りの人を巻き込んで実践する

■コンサルティング道場
ロジカルシンキング、問題解決の基本的な考え方を学び、ケーススタディを用いて、学んだ内容を習得する(DAY1)。また、実在する企業の経営課題を取り上げ、その企業に提言できるような内容をグループで検討する(DAY1の事後課題、DAY2~3)。

経営コンサルティングを経験した講師が講義・壁打ちを行う、超実践的プログラム。

■巻き込み型リーダーシップ研修
4年目行員向けに、自分の強みにフォーカスして、職場で強みを活用することを考える、全2日間のプログラム。

【具体的な内容】

  • クリフトンストレングス(旧:ストレングス・ファインダー)®を用いて、自分の強みを知る
  • 自分の強みに関して、職場の人に共有を行い、話をする
  • 周り(特に、上司)からの期待を想定し、フォロワーシップを発揮できるところを考える
  • 自分の強みを活かして、職場で実践できることを考える

これら3つは、2021年に新設したプログラムになります。初めて実施したプログラムなので、企画段階では「受講者に響くだろう」と期待していたものの、実施してみたら想定した手応えを得られず、途中で変更することにしました。一般的な研修は、事前に定めたプログラムに従って進行するものだと思いますが、「プログラム実施中での変更」という我々のイレギュラーな要望に対しても、柔軟に対応していただきました。

もちろん変更後のプログラムについても、目先の部分だけを変えるのではなく、当初の目的に立ち返って検討することができました。こうした仕事を外部の方と一緒に進めるのは難しいのですが、顧客を深く理解し最良の形を追求するアイディアポイントさんだからこそ実現した取り組みだと思います。

旧来の銀行のカルチャーから脱し、マインドや行動に少しずつ変化の兆しが表れている

施策の効果はいかがでしたか?

「オーナーシッププログラム」では、受講した従業員の3分の2くらいに変化が表れました。ヒエラルキーの強い組織だったので、支店長や人事部長などの責任者を前にすると、「優等生でいなければ」という意識が働き、指示に義務感が発生するのが一般的でした。リスクや失敗を伴うため、自ら発信し行動することはとても勇気が要ることです。「マインドや行動を変革するのは難しい」と覚悟していましたが、研修プログラムによって受講者の内面に変化が表れ、主体的な行動を目にする機会が増えました。また、「絶対にこれをやった方がいい」「後輩にも伝えていくべき」など、心のうちにある熱いものを表出する姿も見られます。保守的なスタンスで形式的な営業をしていても、お客さまの信頼を得ることはできません。少しずつではありますが、マインドや行動に変化が起こり、一歩ずつ進み始めているメンバーが増えつつあると感じています。

オーナーシッププログラムを受講した従業員の変化の具体例を挙げます。受講者にとても優秀なメンバーがいるのですが、優秀なだけに他人からの評価にこだわりがあって、「弱みを見せない」という側面がありました。でも、オーナーシッププログラムを受講していくうちに自分の短所の把握と内省することを覚え、「自分の弱みを他人に吐露することは恥ずかしいことではない」と気づいたそうです。人に対して壁を作っている人間は、高い壁が邪魔して他人を受け入れることができません。心の壁を取り払ってしまえば、本音で自分にぶつかってきてくれる人を素直に受け入れるようになります。自己を開示し人を受け入れる段階になれば、成長の速度は一気に上がるでしょう。スキルアップ系の研修ではないので、内面の変化によってすぐに営業成績が上がるといった性質のものではありませんが、受講するのとしないのでは今後の成長の角度が大きく異なります。もともと優秀なメンバーなので、2~3年後が楽しみです。


研修を通じて若手のキャリアを支援することで、より良い社会や企業を目指していきたい

今後、取り組んでいきたいことを教えて下さい

新入行員研修で必ず伝えているのは、「我々はきらぼし銀行で働き続けてもらうために研修を行っているのではなく、今後数十年にわたって社会で生きていくための基本的な術を身につけてもらいたいから研修をしている」というメッセージです。従来の就職活動は「就社」の意味合いが強く、会社に就職して最適化された経験・スキルを身につけ、定年まで働くという考えが一般的でした。でも、変化の激しい現代において、たとえ大手企業に入社できたとしても一生安泰とは言えず、「職業に就く」という意味での「就職」が求められるようになっています。

10年くらい前からインターネットの発達とスマートフォンの出現によって、情報が自由に手に入れられるようになりました。ポジティブな情報もネガティブな情報も毎日シャワーのように浴びせられて、情報を取捨している若手に対して建前や偽善的なメッセージを伝えても意味がありません。考えていることを真摯に、ストレートに伝えて、彼らが活躍できるキャリアをサポートしていきたい。それが結果的に、社会や企業をより良くしていくと思っています。

アイディアポイントさんは、決して効率だけを重視せず、じっくりと我々の組織課題に耳を傾け、伴走してくれました。ひたすら真っ直ぐに向き合うビジネスのあり方に、「自分たちに関わるものをより良くしていきたい」という意志を感じています。仕事のスタンスに好感が持てるところも、アイディアポイントを選んだ理由のひとつですね。


本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
管理本部
高橋 佑季

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