今さら聞けない新規事業のキーワード – KPIとOKR

日々の業務でよく使われるものの、その定義や基本的な考え方や論点について、「意外と知らない…」、「なんとなく知っているものの、実は理解があやふやなんだよなぁ」ということは実は言えないだけでよくあることなのではないでしょうか。

今回は、新規事業の分野でよく聞くキーワードとして、「KPI」と「OKR」を取り上げて解説していきます。


目次

1.理論やコンセプトの定義

1-1.そもそもKPIとは何か

KPI(Key Performance Indicator)は、日本語で「重要業績評価指標」と呼ばれます。企業やチームが掲げる目標に対して、進捗を数値で測るための指標です。たとえば「売上を伸ばす」という大きな目標がある場合、その進捗を見るために「商談件数」「新規リード数」「成約率」などをKPIとして設定します。KPIは、結果に向けたプロセスを管理する道具であり、数値が良いか悪いかを判断基準に、日々の活動を改善するために使われます。言い換えると、KPIは組織を安定的に運営するための「計器盤」のような役割です。

1-2.OKRとは何か

OKR(Objectives and Key Results)は「目標と主要な成果」を示すフレームワークです。Objective は“達成したい方向性”を示す定性的な目標で、Key Results はその進捗を示す定量的な成果指標です。OKRの考え方の大きな特徴は「野心的な目標を掲げる」点にあります。通常の目標設定よりも高いレベルを狙い、組織の挑戦心を引き出すことを目的にします。また、四半期単位で見直すケースが多く、スピード感を持ってチャレンジと改善を繰り返します。


2.実際の活用例

2-1.GoogleにおけるOKR活用

OKRで有名な企業といえばGoogleです。Googleは初期の立ち上げ期からOKRを採用し、今でも全社で運用しています。たとえば「ユーザーがより使いやすい検索体験を提供する」というObjectiveを掲げ、Key Results を「検索結果の表示速度を〇%改善」「ユーザー満足度調査のスコアを△ポイント向上」のように設定します。GoogleではOKRがすべて公開されており、全社員が互いの目標を確認できます。透明性が高いことで、社員の共通理解が深まり、組織全体が同じ方向に進みやすい環境がつくられています。

2-2.楽天におけるKPI活用の例

楽天グループはデータに基づいた経営で知られています。各サービスが明確なKPIを設定し、毎週のように進捗をレビューする文化があります。例えば、ECの領域では「流通総額」「アクティブユーザー数」「購入転換率」などがKPIとして管理されます。各担当者は数値をもとに改善策を立案し、その実行結果をさらに数字で検証することで、サービス全体の成長につなげています。KPIを「改善の出発点」として使う姿勢が、楽天の強みになっています。

2-3.スタートアップ企業の例:SmartHRのOKR運用

SmartHRのような成長企業では、OKRが事業スピードを上げる役割を果たしています。たとえば「中小企業への提供価値を大幅に引き上げる」というObjectiveを掲げ、Key Results には「解約率の〇%改善」「新機能のリリース数」などが設定されます。OKRは全社員が見られるようになっており、部署をまたいだ協働が生まれやすくなります。スタートアップにとってOKRは、組織を同じ方向に向かわせる“羅針盤”の役割を果たしています。


3.実践へのアドバイス

3-2.OKRは「大胆さ」と「集中」を意識する

OKRは大胆な目標を掲げることが特徴ですが、ただ高い数字を置くだけでは機能しません。大切なのは「何に集中するのか」を明確にすることです。Objective は“心が動く一文”にまとめ、Key Results は“必ず計測できる数値”で定義します。また、OKRは達成率が60〜70%程度でも良いとされています。未達で終わっても、挑戦の過程で得た学びや改善が組織の成長につながるからです。

3-3.KPIとOKRを併用する“ハイブリッド型”がおすすめ

多くの企業ではKPIとOKRを併用することが効果的です。日常業務はKPIで安定的に管理し、組織の変革や成長を狙う領域にはOKRを使います。たとえば営業部門ではKPIとして「成約率」「商談件数」を追いながら、同時にOKRで「新規市場への挑戦」などを設定することで、現状維持と挑戦の両立ができます。両者を使い分けることで、組織全体の動きが滑らかになり、成長のスピードが上がります。


4.まとめ

4-1.KPIとOKRは目的の異なる“組織のエンジン”

KPIは安定運用のための“守り”の指標、OKRは挑戦のための“攻め”のフレームワークです。どちらが良い悪いではなく、企業は状況に応じて両方を使い分ける必要があります。Googleや楽天などの例にあるように、指標の活用が組織文化をつくり、成長のスピードを加速させます。

4-2.指標活用の本質

結局のところ、KPIもOKRも「組織の進むべき方向を明確にし、その進捗を測るための道具」です。数字を見るためではなく、数字を通じて行動を改善したり挑戦したりすることこそが本質です。自分やチームの目標に合わせて、どの指標を使うべきかを考え、前向きな一歩を積み重ねることが、組織を強くします。


今回は、新規事業の分野でよく聞くキーワードとして、「KPI」と「OKR」を取り上げて解説しました。正しい活用は正しい理解から!みなさまの業務に活用いただければ幸いです。また、「実はこんな理論、コンセプトも解説してほしいんだよね」というものがありましたら、弊社営業までお問い合わせください。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
管理本部
高橋佑季

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