
三井金属株式会社
経営企画本部 人事部 働きがい改革推進室
室長 堀口 誠様
当社がご支援させていただいているお客様にインタビューをし、その内容を掲載いたします。
今回は三井金属株式会社様です。
現場で働きがい活動を推進した実績をもとに、2024年に「働きがい改革推進室」が発足
働きがい改革推進室はどのような組織なのでしょうか?
三井金属では、2022年度から3年間を対象とした中期経営計画「22中計」が策定され、その重点課題のひとつに「働きがい改革」がありました。私は2021年から銅箔事業部の上尾事業所の所長として 、現場で働きがい活動を推進していたことが契機になり、2025年度の中期経営計画策定プロジェクトの分科会に参加することになりました。
働きがい活動の推進によって、上尾事業所は人や組織に変化が生まれ、生産性が改善された実績があります。「全社でもっと働きがい活動に取り組むべきだ」と経営陣に提案したことが発端で、2024年4月に人事部に働きがい改革推進室が設置され、室長として私が配属されました。入社から一貫して製造技術部門だったので、人事の経験は何もない中での異動でした。
弊社はものづくりの会社で技術者が多く、技術課題が企業の価値向上につながることはわかっていても、組織エンゲージメントの重要性は理解されにくいという傾向がありました。そこで、働きがい改革を受け入れてもらえる事業所をモデルケースとして、少しずつ横展開をすることにしました。全国にある事業所に足を運んで現場の組織課題を聞き、専門家を交えながら解決策を提示し、支援するという活動を継続的に行っています。
エンゲージメントサーベイも実施し、データをもとに組織課題を分析し、結果を社内のポータルサイトで発信するなど、全社的なPR活動も推進しています。最初は2名でスタートした働きがい改革推進室ですが、組織開発の経験者を採用し、2年弱の間に8名の組織に成長しています。昨年は「心理的安全性AWARD 2025」の最高賞【プラチナリング】も受賞し、社外からも我々の活動が認められるようになりました。
全社のエンゲージメントは連続的に上がっており、働きがい改革に関するアンケートの結果でも「調査への期待」や「効果実感」のスコアが向上しています。また、社内ポータルサイトの記事について経営者が「いいね」を押してくれるなど、働きがい改革の輪が全社に浸透し始めているのを感じています。
ものづくりの現場に必要な「指示型」のマネジメント。管理職向け研修プログラムに新たに織り込んだマネジメントの型は?
なぜ現場で働きがい活動を推進されていたのでしょうか?
私はもともと岐阜県飛騨市にある神岡の工場で金属粉を扱っていましたが、製造係長として銅箔の事業所に異動になりました。銅箔は事業の柱のひとつだったので規模も大きく、個性豊かな人材がたくさんいて、当時から多くの仲間に支えられながら楽しく仕事をした記憶がございます。銅箔の強みである高い技術力に加え、同時に大きな目標に向かって一丸となれるチーム力があればさらに事業として強くなれると感じました。
その時に、神岡の工場で「飛騨の風を世界に」というスローガンを掲げてチームビルディングを推進し、QCサークル活動(小集団での改善活動)の全社大会で優勝した経験を思い出しました。神岡での成功体験を活かして、お互いを尊重し合って笑顔で働ける組織を目指し、銅箔の上尾事業所では「和」というキーワードを掲げ、3年間働きがい活動を続けた結果、少しずつ人や組織が変わっていきました。こうした成功体験が、現在の働きがい改革推進室の礎になっています。
マネジメント研修を実施した背景を教えて下さい。
マネジメント研修も、2025年度の中期経営計画策定プロジェクトが発端です。当時、働きがい改革による人的資本の拡充がどのように企業価値向上に結びつくかを徹底討議し、ロジックツリーを作成しました。
「多様性な人を惹きつける場、活かす場」を築くため、かつ組織の力を最大限生かすためには、我々の強みと弱みを把握した上で、管理職の方々には「支援型リーダーシップの役割認識も必要である」という結論を見出し、新たな意識変容や行動変容を実現するために管理職へのマネジメント研修を設計しました。
マネジメント研修の概要
- 360度サーベイの実施
- DAY1 自身のマネジメントを振り返る
- DAY2 組織と自身の役割を理解する・心理的安全性の理解と対話の重要性
- DAY3 支援型マネジメントの実践者(経営者)から学ぶ、傾聴の徹底
- DAY4 組織の未来づくり(ビジョンメイキング)、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に関する部下(対チーム)との対話
- DAY5 中間報告・振り返り
- 360度サーベイの実施(2回目)
- DAY6 最終報告・360度サーベイ(2回目)の振り返り
※DAY2~6は間隔をあけて実施

複雑な要求にこたえながら、質の高い研修を実現できるのがアイディアポイント
アイディアポイントを選んだ理由を教えてください。
「研修プログラムを柔軟にカスタマイズできる」ということが一番の決め手です。様々なベンダーさんを存じ上げていますが、我々の複雑な要求を理解し、柔軟で質の高い研修を設計してくれるのがアイディアポイント社でした。今回のマネジメント向け研修プログラムは、対象者が多く約1年間の長期の研修となります。ここまで大規模で、カスタマイズもしている研修を実施するのは初めてだと思います。研修の設計書を経営会議に提出し、経営層にもコミットしてもらいました。しっかりと学んでもらうために全て対面で実施し、研修の間にも職場で実践をしていただくなど、それだけ気合の入った研修になっています。
研修に対するこだわりを教えてください。
研修前後に「360度評価」を取り入れた点です。 弊社は360度評価を実施したことがなかったのですが、初めて「縦・横・斜め」の評価を受けて自身の強みと弱みを把握し、自省することで、たくさんの気づきを持ち帰ってもらえるようにしています。
また、研修プログラムにビジョンメイキングも組み込んでいます。管理職の中には「ビジョンメイキングはすでにやっている」という声もあったのですが、そのほとんどは従来から定められている事業戦略や重点行動計画です。我々がマネジメント研修で求めるのは、技術的な事業課題の達成ももちろんですが「組織のありたい姿」を描いた上でのビジョンメイキングです。
最後に最もこだわっているのは「指示型から支援型へ」ではなく、「支援型も必要」という点です。ものづくりの現場において指示型のマネジメントが必要な場面はあります。ただ、それだけではなく、支援型のスキルも必要であることを受講者の方々にご理解いただけるように設計し、対話や傾聴、心理的安全性の醸成など、支援型リーダーシップを実現するための学びを研修プログラムに盛り込みました。
研修に懐疑的だった管理職からも評価の声が。360度評価やエンゲージメントスコアの変化も上々

研修の成果はいかがでしたか?
まずは上級管理職(部長クラス)から始めて、中級管理職(課長クラス)という順で進めています。研修は、受講後すぐに全員の意識や行動が変容するものではないので、地道に推進を継続していくしかないと思っています。それでも、受講者からは「指示型マネジメントで結果を出してきたから、こんな研修をなぜやるのかと思っていたが、受講してみたらとても重要なことだと感じた」「現場に帰って実践してみて効果が出た。やって良かった 」という声をもらっています。研修の前後で実施した360度評価では、研修後の方が良い結果が出ているし、受講者がマネジメントしている組織の多くはエンゲージメントスコアも上がっています。上級管理職で手ごたえを感じたので、現在実施 中の中級管理職向けの結果が楽しみです。
また、私自身も実際に研修を受講してみて、360度評価の結果を話し合ったときに、「よく考えてみると自分は指示型のマネジメントだった」と自省される方もいたので、研修は良い気づきの場になっていると感じました。管理職が指示型のマネジメントになる要因として、自分の上司が指示型マネジメントだったことも影響しているでしょう。「相手を褒める」というプログラムもあったのですが、「自分たちはあまり褒められた経験がない」という声もありました。その結果、「後進にはもっと褒めて、文化を変えていきたい」という想いも生まれたように感じています。
今回の研修を通じて印象的だったのは、管理職のみなさんが積極的にたくさんの会話をしている姿を目にしました。コロナ禍を経て対面で会うことが減っており、様々な事業所の管理職がコミュニケーションを図る機会は少なくなっています。マネジメント研修が、部門を超えた横のつながりを生む良い機会にもなったようです。
これまで培ってきた、「PDCAを回すためにきちんと指示して、決めごとを守ってもらい、実行してもらう」という指示・進捗管理型の文化は、「真面目さ」の裏返しでもあります。弊社は真面目な人が多いので、たとえ研修に懐疑的だったとしても、自身の気づきを得るために真剣に受講し、学んだことを全員が実行してくれています。その人柄や姿勢こそが三井金属の強みだと思っています。
働きがい改革。今後も全国の現場で働きがい改革を推進していきたい
今後、取り組もうとしていることはありますか。
現在は、働きがい改革を推進するための体制構築など、土台づくりをやり遂げた段階です。これからはもっと現場に寄り添い、効率的にエンゲージメントを高める施策を推進していこうと考えています。そのひとつが、全社的なワーキンググループの発足です。今も様々な拠点に推進リーダーがいますが、管理職が中心なので、今後は若手を中心に組織開発のリテラシーを身につけてもらい、ボトムアップを行いたいですね。また、各拠点の製造現場では 、まだ「働きがい改革は 上層部がやっているもの」という認識の拠点もあるので 、三井金属で働く意味や働きがい活動を自分事化していただく、ベーシックな研修を開始し始めました。
最後に、今後最も取り組んでいきたいことは、「組織開発のナレッジ化」です。マネジメント研修を含めて、これまでの知見や好事例案件を整理し、三井金属のナレッジとして蓄積し、未来の三井金属社員へ受け継いでいくことこそ、将来の三井金属のさらなる企業価値向上にもつながると強く感じています。

【編集後記】
なぜこれまで自発的に働きがい活動を推進し、奮闘してきたのかをお伺いしたところ、「技術的な課題を解決するのも大切だけれど、やっぱりそこにいるのは『人』。みんなが一体になって変わっていくのは、やっぱり楽しい」と、屈託のない笑顔で話されていた姿が印象的でした。全社的なワーキンググループの発足やナレッジ化など、働きがい改革推進室の躍進を心より応援しております!









