デザインシンキングで発想したアイディアの事業規模が小さいと感じたときはどうすればよいか?

当社のお客さまには、新規事業創出活動の取り組みとして、デザインシンキングを用いたアイディア発想を行う企業さまがいます。その中で、「デザインシンキングで出てくるアイディアは、事業規模が小さいアイディアが多い気がするが、どうしたらいいだろうか」というご相談をいただくことがあります。今回は、「なぜ、デザインシンキングで出てくるアイディアは、事業規模が小さくなると感じやすいのか」「アイディアをどのように検討すると十分な事業規模にすることができるか」について説明します。

デザインシンキングに関してはこちらの記事をご覧ください。


目次

デザインシンキングで出てくるアイディアは『事業規模が小さい』と感じられる理由

デザインシンキングでは、「顧客」と「その行動」にフォーカスしてアイディアを発想するため、対象とする「ターゲット」やそのニーズを満たす「商品・サービス」は、きわめて限定的かつ具体的なものになります。そのアイディア時点で事業規模に換算すると、事業規模が小さくなってしまいます。

デザインシンキングというものは、ヒトとその行動にフォーカスして「観察」「発想」「プロトタイピング」の3つのプロセスをまわすことで、今までにないアイディアを出していく方法です。「観察」のプロセスでは、実際にユーザー(顧客)の行動を見ることで、「気づき」を得て、その後の「発想」「プロトタイピング」へと繋がっていきます。「顧客」と「その行動」にフォーカスすることで、顧客のニーズに応える利点がある一方で、その範囲に限定して考えると事業規模としては小さくなってしまいます。


事業規模が小さい場合には「その先」を考える

事業規模が小さい場合には、どのようにして事業規模を大きくする方法を考えればよいのでしょうか。

デザインシンキングは、あくまで「新しいアイディアを発想する」方法論であり、この時点では、まだ「事業規模」について考える必要はありません。着想段階において重要なことは、発想したアイディアの 「顧客」と「提供価値」が何であるのか、実際にあるのかを証明することです。アイディアを発想しても顧客となり得る「最初に買ってくれそうな人」がいなければ、市場があるとはいえず、意味のあるアイディアだとはいえません。逆に、「顧客」と「提供価値」が定義され、実際に市場があるものであれば、その周囲のアイディアを見ていくと、ある程度の市場の広がりが見えることが多くあります

デザインシンキングで発想したアイディアについては、その後の『展開』を考えながら、事業規模を大きくすることができます。

事業規模の『展開』について、当社では「市場のドミノ倒し」と呼んでいる考え方を用いています。この「市場のドミノ倒し」というものは、最初に「確実な」市場をおさえた上で、段階的に周辺の顧客や知見を活用しながら、潜在的な市場へと展開して、市場規模を大きくする、といったものです。

「市場のドミノ倒し」の例としては、下記の図のようなイメージとなります。

この図は、「運動選手のための日焼け止めクリーム市場」を足掛かりに市場展開する例です。日焼け止めの利用シーンを運動から普段使いへと変える、スキンケア分野の製品として、肌荒れややけどなどにアイディアを応用、さらにその周辺のアイディアから、他の市場へ展開していき、市場規模を大きくしていきます。

ポイントは、足がかりとなる市場を確実におさえておくこと、デザインシンキングで着想した段階で「最初に買ってくれそうな」顧客をおさえておき、そこから展開して、大きな市場を攻略していくことです。


まとめ

今回は、デザインシンキングで出てくるアイディアは「事業規模が小さい」と感じられる理由は何か、そのようなアイディアをどのように検討していくと十分な事業規模にすることができるのかについて書きました。

  • デザインシンキングで発想したアイディアは、周辺の顧客や得られた知見で次に展開することを考えると、一概に事業規模が小さいといえるものでもない
  • デザインシンキングで発想したアイディアは、事業規模を大きくするための足掛かりとなる市場をおさえておくための「コアなユーザーを捉えてしっかりおさえておくためのもの」
  • コアなユーザーとそこでの知見を活かして、より大きな市場を攻略して大きな市場を狙う

今後、デザインシンキングを活用して、新規事業創出に取り組まれていく方は、ぜひ参考にしていただければと思います。また、当社ではアイディアを発想するところからビジネスプランニングまで一貫してご支援しておりますので、ぜひご興味がありましたら、お問い合わせいただければ幸いです。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

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