研修後に研修事務局が必ずすべきこととは

研修での効果をしっかりと出すためには、研修当日よりも、研修前の受講者への動機付けや、研修後の実践、フォローが重要です(4:2:4の法則)。しかし、研修事務局にとっても、研修前の準備と研修後の振り返り、事後対応が、今後の企画や運営をより良くしていくために大変重要な時間になります。

今回は、より良い研修を効率的に実施するために、研修終了後に研修事務局が何をすべきかをお伝えします。

目次

関係各所への連絡は必ず、研修後すぐに

研修当日を終え、ホッと一息つきたい気持ちは大変よく分かりますが、まずは受講者や上長へのフォローはすぐにしなければなりません。受講者へは研修参加の御礼や事後課題、アンケートへの回答依頼など、研修の記憶が新しく、モチベーションが高い状態で対応してもらえるよう、すぐに連絡をしましょう。

また、受講者の上司へは、忙しい中スケジュールを調整して部下を研修に派遣してくれたことへの御礼に加え、受講者が研修で学んだことを現場で実践しやすくなるように研修内容の連携や、実践の促進をお願いしましょう。

研修から日を追うごとに、受講者の記憶もモチベーションも薄れていくため、遅くなればなるほど受講者にも面倒だなという感情が出てきてしまいます。後回しにして良いことは一つもありません。研修終了後すぐ、遅くとも翌日の午前中までには対応するようにしましょう。


振り返りの機会の提供

研修終了後、受講者が研修内容を定期的に振り返る機会を提供できるとより効果的です。上司や所属部署への研修報告会の実施や、研修から一定期間後に受講者を集めて、研修で学んだ内容の振り返りや、自業務での活用方法などを共有できる場づくりができると、研修で学んだことがより受講者に定着し、実践できる可能性が高くなります。
講師へは所感を書いてもらうことを依頼しましょう。受講者の様子、強みや弱み、今後の課題など、第三者目線でのコメントは、次回の研修をより良くするために大変有効です。


研修事務局での振り返り

研修事務局を担当される方は、その他の業務も兼任されているお忙しい方が多いと思います。研修準備や研修当日が山場になりがちですが、研修をやりっぱなしにしないためにも、事務局内での振り返りの時間は必ず確保しましょう。振り返ると効果的な内容は下記の通りです。

  1. 研修の目的とゴール」を達成できたかどうか
    研修を企画する際に設定した目的は果たせていますか?研修終了後に受講者がどのような状態になっていることがゴールでしたか?当日の様子や講師所感、研修アンケートを照らし合わせながら、当初の目標を達成できたのかを振り返るようにしましょう。簡単なもので構いませんので、必ず議事録を残すようにしましょう。
  2. 良かった点、改善点、次年度に向けた工夫など
    研修内容について、講師についてなど、項目を決めて良かった点、改善点をそれぞれ振り返り、次回の研修に活かしましょう。階層別研修などの例年開催している研修は、特に振り返りをしっかりしておかないと、いつも例年通りの研修、例年通りの内容になり、いつの間にか目的にそぐわない研修を惰性で続けてしまう危険性もあります。常に新しいことに取り組めるよう、改善ができるよう、その芽をつぶさないようにしましょう。
  3. ロジスティクス関係の振り返りも忘れずに
    会場手配や受講者、講師へのアナウンスのタイミングや内容、備品に不足はなかったでしょうか。細かい部分にはなりますが、ここが整っていないと全体的に研修の印象も悪くなってしまいます。講師や受講者が気持ちよく研修に取り組めたのかどうか、上記と併せて必ず振り返るようにしましょう。

必要な資料は残しておくこと & 『次の人』を意識する

研修事務局の業務は雑多で範囲が広く、他業務の合間に対応をすることも多いため、属人化しやすく、ともするとブラックボックス化してしまいます。未来の自分や次に対応する人が迷うことがないように、下記の資料は分かりやすく残しておくことをお勧めします。

  1. 発注書や稟議書データ
    外部に研修を委託した場合、どこにいくらで発注したのか、その際に社内ではどのように処理を進めたのか、初めて対応する場合は書き方や申請方法に案外戸惑うものです。過去のものを残しておくだけで、迷う時間が減り、作業スピードがぐっと上がります。
  2. アテンドメモ
    研修当日の受講者の様子や注意すべき点、起こったトラブルなどはメモに残しておきましょう。事前の準備で解消できるものは対応しておくことで、当日の研修事務局の心配が一つ減り、講師や受講者の様子に気を配ることに、より集中できるようになります。
  3. テキスト類
    事前課題や当日使用したテキスト、ワークシート(オンラインの場合はワークツール)など、研修の内容を把握できるように保管をしておきましょう。配布形式(印刷orデータ)も合わせて残しておくと準備もスムーズにできます。
  4. 研修用フォルダの整備、受講者や研修委託業者に送ったメール類
    研修用フォルダは階層を分けて、かつフォルダ名が分かりやすいよう命名し、必要なデータを保管しましょう。フォルダ名と保管ファイルがちぐはぐになっていることはよくあり、データの検索に必要以上に時間をかけることを防ぎます。また、事務局担当者のメールフォルダの中にしか情報が残っていないという事態も避けたいです。面倒でも、送ったメールの文面をPDFなどにして保管しておくと、メール検索の手間が省けますし、配置転換があったとしても引継ぎがスムーズです。
  5. その他気づいたこと、ポイントなど
    研修事務局を担当する時に注意したことや気づいたことなどは、次の人のためにメモを書いておきましょう。作成に時間をかけたり、レポートのように体裁を整えたりする必要もありません。引き継ぐほどの内容ではないと思う小さなことも、次の人の気づきや助けになることが大いにあります。再びご自身が担当をする時にも、研修当日のことを思い出すきっかけにもなりますので、ぜひメモに残しておきましょう。

研修は企画の打ち合わせから、社内外の人との調整、事前準備など、当日を迎えるまでにとても労力がかかります。事前準備をどれだけしておけるかで、講師や受講者の集中度も変わるため、事前準備が研修を成功させる肝でもあると思います。しかし、研修後の振り返りの機会こそが、次回の研修の内容や運営をより良くするチャンスでもあります。一生懸命準備した研修を一過性のイベントにしないよう、しっかりとPDCAを回してより良い研修を企画していきましょう。

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株式会社アイディアポイント
企画開発部
藤原 梢

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