研修冒頭の『自己紹介』をスムーズに進める方法

社内研修において、本編がスタートする前に、同じグループの受講者同士で自己紹介をしていただくことも多いかと思いますが、その自己紹介、形式的なものになっていませんか?受講者同士の自己紹介が上手くできると研修への導入がスムーズになるだけでなく、研修全体の雰囲気や効果にも良い影響があります。今回は、どうしたら受講者に良い自己紹介をしていただけるのか、研修運営の一助となる自己紹介の方法について、ポイントをお伝えいたします。


目次

研修における自己紹介の役割、目的 – 所属、氏名を述べるだけではもったいない!

そもそも、研修における自己紹介は、○○(所属)の△△(氏名)です、がお互い分かれば良いというものではありません。自己紹介にも下記のような大切な目的があります。

  1. 発言しやすくするため
    受講者同士、研修が初めて顔を合わせる場になることも大いにあります。人によっては緊張しているかもしれません。最初に強制的に口を開くことで積極的に自分のことが話しやすくなります。また、お互いを知り、話す「きっかけ」を作ることで、参加者同士のコミュニケーションが取りやすくなり、研修中のディスカッションでも会話がスムーズになります。

  2. 信頼関係を構築するため
    自己紹介を通して、自身の価値観や強み・弱み、プライベートのことなど、自分自身の情報を同等に開示できると、心理的安全性が担保された場づくりがしやすくなります。受講者同士が安心してコミュニケーションを取れるようになるため、今後の信頼関係を構築しやすくなります。

  3. 受講者のモチベーションを向上させるため
    どのような目標やモチベーションをもって働いているか、研修にどのような目的や意義を持って参加しているかを共有できると、他の受講者の新たな気づきや学びに繋がります。社内で目標をもって頑張っている受講者を目の前にすることで、自分自身も刺激を受け、研修やその後の業務に対するモチベーションが向上しやすくなります。

  4. チームビルディングをするため
    研修は座学や技術研修を除き、グループワークや受講者同士の協力が求められる場面が大変多いです。事前に自己紹介で自分のバックグラウンドや興味のあることを共有することで、メンバーの人柄を知ることができ、その後のグループのチームビルディングを促進しやすくなります。

上記の理由から、短い自己紹介にもきちんとした役割や目的があり、研修の雰囲気に大きく影響をすることが分かります。


よくある残念な自己紹介とその対策

それではどのような自己紹介をしてもらうことが望ましいでしょうか。自己紹介に「正解」はありませんが、先に述べた目的を達成するには工夫が必要です。

  1. 意図的に自己開示をしてもらう
    経歴や年齢、肩書きやスキルだけを紹介するのは残念な自己紹介です。全くもって印象に残りません。自分が何者なのか、人となりや個人の内面について話してもらうことが重要です。仕事における目標や大切にしている価値観だけではなく、マイブームや好きなことなど、些細なことでもかまいません。個人の考えや自分自身の感情が動く事柄について、自分の言葉で自分の話をしてもらいましょう。仕事のこともプライベートのことも(もちろん可能な範囲で)バランスよく話していただき、受講者の皆さんがお互い同程度の自己開示ができるように心がけましょう。

  2. 相手にどう見られているのかを考えて話してもらう
    これまでの功績や成功体験ばかり話すこと、必要以上にご自身やご家族のプライバシーに関わることを話し過ぎてしまうこと、これも残念な自己紹介です。自己紹介は承認欲求を満たしたり、暴露したりする場ではありません。過度な自慢話やあまりにもセンシティブな内容では他の受講者は引いてしまいます。研修は協力と学びの場ですので、この後のグループワークでスムーズに協力ができるように、自己紹介の目的を理解し、相手がどう感じるかをしっかり考えて話してもらいましょう。

  3. 余計な枕詞は省略する
    「ベテラン社員の方が大勢いらっしゃる中、経験の浅い私がなぜこの研修に参加しているのか分かりませんが、、、」等の余計な枕詞を連発することも残念な自己紹介です。予防線を張っているのか、謙遜をされすぎているのか分かりませんが、同じ場にいる以上、上司も部下も年次も関係なく、受講者はみなさま一律「協力して研修を盛り上げる同士」です。伝えるべきことのみ、ストレートに言葉にしましょう。

  4. いつもよりテンションを上げてさわやかに
    自ら手を挙げて研修に参加している受講者ばかりではないと思います。中には業務が忙しい中、嫌々参加しており、隙あらば内職をしようとしている受講者もいるかもしれません。「業務が忙しくて昨日も○時まで仕事していました」のような忙しいアピールや、逆に「何をするのか分かりませんが行けと言われたのでとりあえず来ました」という片手間感が伺える自己紹介も大変残念です。周りの受講者の士気も下げます。研修は業務です。どんな事情があっても、参加した以上は場に貢献する義務があります。しかし、通常の業務とは異なります。仕事をする際に、「仕事モード」に切り替えるように、「研修モード」への切り替えも重要です。いつもよりテンションを上げて、いつもとは違うギアにシフトチェンジしてもらいましょう。


    みなさまの会社の受講者は、残念な自己紹介をしていませんか?短時間で効率的に場を温められるよう、自己紹介の時間を有効活用しましょう。

事務局としてサポートできること

最後に、受講者が良い自己紹介ができるように、事務局としてサポートできることをご紹介いたします。

  1. 安心・安全な場づくり
    自己開示をしていただくには、この場では何を言っても否定されない、情報が外に漏れる心配がないなど、受講者に安心感を持っていただくことが重要です。研修の冒頭に、研修ルールとして丁寧に説明できると良いでしょう。

  2. 自己紹介シートを提供する
    予めフレームを決め、項目を絞ると書きやすいこともあります。研修の内容にもよりますが、プライベートの内容や写真を貼り付けることができるようにしておくと、受講者同士で共通項を見つけやすくその後のコミュニケーションが図りやすくなります。必要に応じてサンプルを提示し、受講者が何を求められているのかが分かるようにしましょう。どのくらい何を期待されているのかを直接伝えてしまうのも一つの手です。弊社では自己紹介シートを全員分マージして受講者の皆様へ配布していますが、研修の途中で見返すと新たな発見があったり、手元に資料としても残るため研修やメンバーのことを思い出しやすかったりといったメリットもあります。

  3. 研修案内に記載しておく
    本編の前に自己紹介をしてもらうということを研修案内に記載しておきましょう。自己紹介に慣れていない受講者の場合、何を話せば良いのか分からずに自分の所属と業務内容を述べて終わることもままあります。受講者に事前に心構えをしていただくべく、日ごろから引き出しをたくさん持っておくこと、自分のことを把握しておいてほしいことをお伝えしておきましょう。

  4. 事務局もテンションを上げる
    事務局は、研修当日を迎えるまでに大変なタスクをこなしてきていることは重々承知していますが、疲れていてもそれを見せず、冒頭の挨拶でしっかり場を温める努力をしましょう。講師と受講者がいれば研修は成り立ちますが、場づくりには事務局の存在も不可欠です。


    研修内での自己紹介は、実はさっと流してしまってはもったいない時間です。たった数分の自己紹介でも、研修の立ち上がりを良くも悪くもします。もちろん研修本編がメインではありますが、少しの工夫と働きかけで、協力と学びの雰囲気が増す「場」を作ることができます。効果的な自己紹介で受講者同士のコミュニケーションを促進し、研修全体を安心で安全な雰囲気に保つことができるよう、事務局でもできる限り支援をしていきましょう。

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株式会社アイディアポイント
企画開発部
藤原 梢

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