社内研修の資料の作り方は?事例を交えてデザインのポイントも解説

企業では、新人研修や管理職研修など、定期的にさまざまな社内研修が実施されます。

研修は、パワーポイントなどの資料を投影しながら、口頭で説明するスタイルが一般的ですが、資料の作り方によってメッセージの伝わり方や聞き手の理解度は大きく変わります。

誰にとっても言いたいことが伝わりやすく、見やすい資料を作るには、デザインや構成にポイントがあります。 今回は、社内研修の資料の作り方とデザインのポイントについて、わかりやすく解説します。すぐに実践できる内容になっていますので、ぜひお役立てください。


目次

1. 社内研修の資料はなぜ必要?

まずは、社内研修の資料の必要性を確認しましょう。目的を理解することで、資料に盛り込むべき内容が見えてきます。

口頭での説明を補うことができる

社内研修のような集合研修は、口頭での説明を中心に進むことが多いようです。参加者は、メモを取りながら話を聞くよりも、手元に資料があったほうが話を聞くことに集中できます。スライドを見逃した場合も、手元の資料で内容をキャッチアップすることが可能です。

必要に応じて見返せる

研修後、資料を手元に置いておき、業務で必要になったときに見返すという活用方法もあります。特に新人研修では、基本的なビジネスマナーや会社に関する基礎知識など、これから始まる業務で必要なことを幅広く学びます。すぐに使わない知識もあるため、ガイドラインとして資料を手元に置いておけるようにするとよいでしょう。

ノウハウとして蓄積されるので、教育担当者の手間が減らせる

社内研修は、毎年ほぼ同じ内容の繰り返しになります。一度作成した資料をテンプレート化しておくことで、複数クラスでの実施、他担当者でも教えられる、来年度も使用できる等、教育担当者の工数を減らすことが可能です。


2.社内研修の資料の作り方

社内研修の資料は、次のようなステップで作成します。

目的とテーマの設定

まずは、何のために研修を行うのかを明確にしましょう。研修終了後、参加者にどのような状態になっていてほしいかを具体的にイメージしながら、テーマを設定します。

テーマは、新入社員、管理職、特定の部門の専門職といった、研修の対象者と、相手の知識レベルに合わせることが重要です。研修の内容は、対象者にとって易しすぎず、かつ難しすぎないレベルに設定すると適度な緊張感が保てます。

構成を決める

テーマが決まったら、資料の構成を考えます。いきなり資料作りに取り掛かると、必要な情報が漏れてしまうことがあるため、構成作りのステップは必ず設けましょう。また、デザインが完成してから修正すると余計な工数がかかるので注意が必要です。

メインメッセージを中心に、ストーリーを意識してざっくりとおおまかな構成を決めておきます。まず、研修で取り上げる内容を箇条書きで並べていき、話の流れを考えながら順番を入れ替えたり、必要な項目を足したりしながら内容を固めてください。

根拠となるデータを集める

構成を作成した段階では、仮説やアイディアベースの内容が多くなります。そのままでは説得力に欠けるため、インターネットや書籍で根拠となるデータを集めましょう。内容が具体的になり、聞き手の行動にもつながりやすくなります。


3. 資料をデザインする際のポイント  

ここでは、資料をデザインする際のポイントを解説します。

   1スライド1メッセージ

資料を作る際は、「1スライド1メッセージ」を意識しましょう。研修中に伝えられるメッセージは、案外少ないものです。それぞれのスライドで伝えたいメッセージを1つに絞り、それを伝えるにはどうしたらよいかを考えます。

1スライド1メッセージを実践するとスライドの枚数が増えますが、特に問題ありません。情報を詰め込まず、伝えたいことが2つある場合は、スライドを2つに分けましょう。

文字を大きくする

文字が小さいと読むのに時間がかかり、後ろのほうの席に座っている参加者は文字が見えないという事態にもなりかねません。資料を作成する際は文字を大きくすることを意識し、大きさがバラバラにならないよう、サイズの種類を増やしすぎないのが見やすくするポイントです。

使用する色を絞る

資料に使用する色は、3色程度に絞りましょう。コーポレートカラーをメインにして、文字のベースとなる黒やグレー系のカラーを1色、強調用に1色という形でルールを決めておくと、乱雑な印象になることを防げます。文字色を絞ることで、それぞれの情報の重要度も伝わりやすくなります。

余白を十分に取る

資料に余白があると、文字や画像、図表などで埋めたくなってしまうものです。しかし、隙間なくオブジェクトを配置すると窮屈な印象になるので注意しましょう。十分に余白を設けると、見やすく、伝わりやすい資料になります。

図やグラフを使用する

資料には、図やグラフを適宜盛り込みましょう。視覚的に重要なポイントを伝えることで、聞き手の印象に残りやすくなります。文字で説明している箇所のうち、図解やグラフ、イラストなどに置き換えられるところがないかどうか探してみるとよいでしょう。


4. 資料の制作事例

実際に、企業の社内研修で使用されている資料をいくつか紹介します。ここまで解説したポイントを踏まえながら見ていきましょう。

株式会社リクルート

出典:株式会社リクルート

株式会社リクルートは、新卒のエンジニアを対象とした社内研修用の資料を公開しています。

「ソフトウェアエンジニアとしての姿勢と心構え」について、現場で培われた生きた知識や技術を伝えることを重視しています。前半は社員による講義式の研修、後半は各部署に分かれて実施するOJTという構成になっており、講義で学んだことをすぐに現場で試せるよう工夫されています。

研修用の資料は「1スライド1メッセージ」になっており、文字を大きくすることで非常に見やすい仕上がりになっています。ポイントとなる部分のみに色付けを行うことで、メッセージの中でも特に伝えたい部分が一目瞭然です。

日本経済新聞社

出典:サービスを成功に導くプロダクトマネジメントとは

日本経済新聞社は、新卒向けに「プロダクトマネジメントとは」というテーマで研修用の資料を作成しています。黒背景をベースとして、十分に余白を設けているのが特徴です。また、挿絵を効果的に使用し、飽きがこないよう工夫されています。

資料の冒頭に「今日話したいこと」というスライドを設け、研修の全容をざっくりと参加者に伝えたうえで本題に入っています。また、研修が概念的な内容になることや、今はピンとこない話があるかもしれないことなど、聞き手のレベルに合わせた配慮が見られます。

株式会社MIXI

出典:テスト・設計研修【MIXI 23新卒技術研修】

株式会社MIXIは、新卒の技術者に向けた研修資料を公開しています。

資料のベースは白背景に黒文字、差し色はコーポレートカラーでセンスよくまとまっています。聞き手に問いかけるようなメッセージも含まれており、双方向的なコミュニケーションを促す工夫がされているのが特徴です。

社内研修の資料は、聞き手を飽きさせないことも重要なポイントです。今回紹介した事例を参考に、最後まで集中して研修に臨めるような資料作りを心がけましょう。


5. 自社でオリジナルのテンプレートを作ろう

社内研修の内容は業界や業種、対象者によって異なりますが、資料の基本的な構成やデザインで押さえるべきポイントは共通しています。自社でオリジナルのテンプレートを作成し、毎回それを使って資料を作ることを徹底しましょう。必要な項目が漏れなく記載でき、資料を見る側も同じフォーマットのほうが見るべきポイントがわかりやすくなります。

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