
今回は、当社で実施している異業種交流研修の中で、『マネジメント層向け異業種交流研修』についてよくいただく質問にお答えします。この研修は、大手企業のマネジメント層を対象に、他社のマネージャーと共に、部下とのコミュニケーションやチームビルディング、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透などを学ぶプログラムです。
この記事は研修の詳細説明ではなく、マネジメント層を送り出すことを検討している人事担当者・育成担当者の方が、日頃感じている疑問や不安に、運営側の立場から率直にお答えするものです。「うちのマネージャーにも、こういう悩みがあるんだよな」と感じながら読んでいただければ幸いです。また、この記事を読んでプログラムに興味を持っていただけたら、ぜひ弊社へお問い合わせください。
《研修の内容について》
Q: 結局のところ、どんな研修なんですか?一言で表すとどういうものでしょうか
A: 一言で言うなら、「マネージャーが、自分のマネジメントをいったん外から眺め直す場」です。毎日忙しく動いていると、自分がどんなマネジメントをしているか、立ち止まって考える機会はなかなかありません。本研修では、業種の異なる大手企業のマネージャーが集まり、互いの現場のリアルを持ち寄りながら対話します。「自社・自業界の常識」から一歩出ることで、自分のマネジメントの傾向や癖に気づき、次の一手を考える。それがこの研修の核心です。
Q: 具体的には何を学ぶのですか?テーマが広すぎてイメージしにくいのですが
A: マネージャーの役割は多岐にわたりますが、「目標設定・評価測定・業務編成」は業務プロセスに組み込まれているため、意識しなくてもある程度こなされます。一方で、「動機づけとコミュニケーション」「人材開発」の2つは、意識的に取り組まなければ成果が出ない領域です。マネージャーの役割のおよそ40%を占めるこの部分が、忙しさという構造的な壁の前で、いつも後回しにされていく。本研修が扱うのはまさにここです。1回目は「心理的安全性と支援型リーダーシップ」、2回目は「対話と部下育成(1on1・コーチング・SL理論など)」、3回目は「MVVの自分事化と浸透」と、3回を通じてこの領域を体系的に掘り下げていきます。
Q: 講義を聞くだけの研修ですか?それとも何かやるのでしょうか
A: 講義はあくまでも「きっかけ」で、時間の大半はワークと対話です。たとえば、「自分が自分らしく働けたときのエピソード」を振り返るワーク、「自社のMVVと自分の仕事をつなぐ」作業、「自分の1on1の課題を他社のマネージャーと話し合う」ディスカッションなどが続きます。「頭でわかる」ではなく「自分ごととして動き始める」ことを重視しているので、受け身では過ごせません。ある意味、少し負荷のかかる一日になります。
Q: 3日間のあいだに、宿題や課題はあるのでしょうか?多忙な中でこなせるか心配です
A: 各DAYの終わりに「次の回までに現場で試すこと」を自分で宣言し、次回の冒頭でその振り返りを行います。いわゆる「課題図書」や「レポート提出」はなく、分量としての負荷はほとんどありません。ただ、その分、宣言した行動を実際に現場でやってくることが、この研修の肝です。「やってきました」「やれませんでした」どちらも振り返りの材料になりますが、何かしら試みてくることが前提の設計になっています。研修の学びを職場につなぐのは、結局のところ「自分が動くかどうか」です。
《送り出す前の不安について》
Q: マネージャーは日々の業務が忙しく、月1回とはいえ参加できるか不安です。日程の調整が難しそうで…
A:よくいただく声ではありますが、「忙しいから研修に行けない」という状態が続いているマネージャーほど、一度立ち止まる機会を必要としていることが多いように感じています。本研修は月1回の日帰りという設計にしていますが、それは「多忙なマネージャーでも参加できる現実的なペース」を意識したからです。参加を決めた後、どう日程を守るかは、むしろ組織として優先順位をどこに置くかの問いかけかもしれません。
Q: 管理職向けの研修はすでに社内でも実施しています。この研修はそれとどう違うのでしょうか?
A: 社内研修との一番の違いは「誰と、何を話せるか」にあると思います。社内研修では、共通の文化や前提を持つメンバーと学べる分、深まりやすい反面、「自部門の課題や悩み」をそのまま話しにくいという声をよく聞きます。本研修では利害関係のない他社のマネージャーが集まるため、「うちの部署ではこういう問題があって…」と率直に話せる場になっています。実際に参加者から「ここでなら自社の課題を話せるし、率直なフィードバックも受け取りやすい」という声をいただいています。社内研修と組み合わせてご活用いただくのが、効果的だと考えています。
Q: ベテランのマネージャーほど「今さら研修か」という反応をしそうで、本人に打診するのをためらっています
A: 打診する前からそのハードルを想像してしまう、というのはよくあることだと思います。ただ、実際に参加したベテランのマネージャーほど、「自分がどれだけ自社の色に染まっていたか気づいた」とおっしゃることが多いんです。本研修はインプットよりも対話・ワーク中心で、「正解を教わる場」ではありません。経験豊富な方ほど、他社のマネージャーと語り合うことで「自分のマネジメントの当たり前」を見直すきっかけになりやすい。「今さら」ではなく、「今だからこそ」な内容です。
Q: プレイングマネージャーが多く、「現場を離れると回らなくなる」という声が出そうで、社内での合意が取りにくいのですが
A:プレイングマネージャーが抱える本質的な問題のひとつは、「マネージャーとしての役割」をじっくり考える時間が構造的に取れないことではないでしょうか。月1回、現場を離れて自分のマネジメントを振り返る時間を意図的につくること自体が、本研修の設計思想のひとつです。「現場が回らない」なら、その現場をどう任せるかを考えるのもまた、マネージャーの仕事だと思います。
《研修で何が変わるのか》
Q: コミュニケーションやチームビルディングは、社内研修でも教えられますよね。わざわざ外に出す必要があるのでしょうか?
A: 「教えられる内容」という意味では、そうかもしれません。ただ、マネジメントの難しさは「知っていてもできない」ことにあると感じています。本研修では講義よりも、他社のマネージャーと自分の現場のリアルを持ち寄って話し合うことに重きを置いています。「うちではこうしたら上手くいった」「うちはこれが課題で…」という話が交わされる場で起こる気づきは、テキストからは得られません。知識ではなく、行動変容を目的にしている点が違います。
Q: 異業種の人と話すことが、なぜマネジメントの改善につながるのでしょうか?正直、ピンときていないのですが
A: 同じ業界・同じ会社の中にいると、「これが普通」という感覚は自然に育ちます。ところが、異業種のマネージャーと話すと、自分が「普通」だと思っていたことが、実はかなり特殊な慣習だったと気づく場面が頻繁に起きます。自分のマネジメントの「傾向と根っこ」に気づくためには、鏡が必要です。利害関係のない他社の目線は、社内の誰よりも率直で、そして温かい鏡になります。その気づきこそが、行動を変えるスタートになるんです。
Q: 研修後、マネージャーが現場で変わったかどうか、どうやって確認できますか?効果測定が難しそうで…
A: 「心理的安全性が上がりました」を数値で示すのは、確かに簡単ではありません。ただ、本研修が目指しているのは知識の習得ではなく、行動変容のきっかけをつくることです。そのため、各回の終わりに受講者が「次のDAYまでに現場で試すこと」を宣言し、次回の冒頭でその振り返りから始まる設計になっています。人事担当者の方には、参加者が何を宣言し、何を試みたかを共有いただくことで、変化の芽を早い段階から把握することができます。「何をしようとしているか」が見えてくると、フォローのしかたも変わってくるはずです。
Q: MVVの浸透や心理的安全性は、3日間の研修で本当に身につくものなのでしょうか?
A: 3日間だけの研修で「身につく」とは言えません。ただ、「気づいて、動き始める」ことはできます。本研修の設計は、3日間の本編に加えて、研修終了から約半年後にフォローセッションを設けています。DAY間のインターバルを挟みながら「学ぶ→現場で試す→振り返る」を繰り返す構造は、一度で完結させる研修とは根本的に異なります。変化のきっかけを研修でつくり、その後を組織でどう支えるかを一緒に考えましょう、というスタンスで臨んでいます。
《参加者の選び方・社内調整について》
Q: 参加してほしいマネージャーは何人かいるのですが、選ぶ基準が難しくて迷っています
A: 「誰を送るか」という点で、私たちがよく申し上げるのは、役職だけに囚われず、「動きそうな人」「動きたいと思っている人」を選んでほしいということです。どんなに研修内容が良くても、本人に「何か変えたい」という感覚がなければ、学びは定着しません。逆に、今まさに「チームがうまくいっていない」「1on1をやっているけど手応えがない」といった課題感を持っているマネージャーは、研修での気づきが現場にダイレクトに響きやすいです。スペックより、今の切実感で選ぶのがよいかもしれません。
Q: 「研修より現場優先」という考えの上位マネジャーがいて、参加の承認を得るのに苦労しそうです
A: これは、人事担当者の方が一番頭を抱えるところだと思います。ひとつ逆説的な話をすると、「現場優先」のマネジャーが育てているチームほど、マネージャー自身に依存した組織になっていることがあります。部下が自律的に動ける組織をつくるために必要なことを、この研修では扱っています。「マネージャーが不在でも回る組織をつくるための投資」として提示してみると、上位マネジャーの受け止め方が変わることがあります。あくまでご参考までに、ですが。
Q: 異業種の人と話すことへの抵抗感があるマネージャーでも、研修についていけますか?
A: 「人見知りなので…」というマネージャーが、最終日には一番活発に話していた、ということは少なくありません。本研修は交流会のような雰囲気ではなく、テーマに沿ったワークや対話が中心です。「話さなきゃいけない」ではなく、「話したくなる」設計になっています。また、同じ「大手企業のマネージャー」という共通点は、実は非常に大きな安心感につながります。業種は違っても、悩みの構造は驚くほど似ているからです。
今回は、よくいただくご質問に絞ってお答えしました。ご質問への回答が、この研修をイメージしていただく材料になれば幸いです。
本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームよりご連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社アイディアポイント
企画開発部
今井 裕也









