さて、前回の記事に引き続き、当社で実施している異業種交流研修の中で、『事業戦略立案プロジェクト』と呼んでいる30-40代の次世代リーダー層向けに経営に関する知識を、実際の課題に取り組みながら学ぶプログラムについて、よくいただく質問に回答いたします。(事業戦略立案プロジェクトに関しては、こちらをご参考にしてください。)
今回の内容に関しては、『事業戦略立案プロジェクト』に関するご質問ですが、一般的な異業種交流研修に派遣される際にも考え方やチェックポイント等は役に立つと思いますので、参考にしてみてください。また、この記事を見てプログラムに興味を持っていただけたら、ぜひ、弊社営業までお問合せください(お問合せはこちら)。
それでは、早速…
《参加企業・受講者》
Q : 参加企業に関するポリシーを教えてください
A : これまでは、当グループのお客様に個別にお誘いしてご参加いただいておりました。当然のこととして、競合する企業さまでバッティングしないよう配慮したり、職種・業種に偏りがでないようには配慮してきましたが、この企業はNG、この企業はOKという区切りを行ってきたわけではありません。結果的には各業界のトップ企業さまで構成されておりました。
一方で、20年間実施した結果、現在、このままでは『多様性』が足りないのではないかという問題意識を持っています(大企業に勤める30代のリーダー候補(多くは男性)という状況に多様性が感じられなくなりはじめています)。
ビジネスがより複雑化、多様化している中で、必ずしも「業種」という区切りが、意味をなさなくなり、どのように本研修にご参加いただく企業さまをお声かけしたらよいのか、議論しているところです。
どちらにしても、私達から直接、研修の趣旨を説明させていただき、賛同いただいた企業さまに参加いただくというスタンスは変えず、趣旨や内容について理解いただいて、志高く参加いただける企業さまにご参加いただけるよう、営業活動をしていく予定でおります。
Q : 実際にどのような企業が参加されていますか?
A : 製造業、サービス業、金融機関が中心です。やや製造業が多いかもしれません。いわゆる、伝統的な企業、大手企業、その関係企業が中心です。私達のお客様を中心に声をかけさせていただいています。これまでは、意図的に「拡大せず」良く知っている企業さまだけで実施してきましたが、今後はよりバラエティに富んだ企業さまに参加いただき、より刺激的な場にしていきたいと考えております。
Q : 実際にどのような職種・役職の人が参加していますか?
A : 営業職、企画職、管理部門、技術職で、1:2:2:1くらいの割合だと思います。役職は、管理職前後の人がほとんどです。これまで、『30代次世代リーダー』というご案内をした結果です。マネジメント経験の有無はあまり気にされる必要はないでしょう。
この研修は『XXさんは、XXだからXXしましょう』という進め方はしないので(ex. ●●さんは経理部門なので事業計画は作りましょうなど)、特に、職種・役職にこだわる必要はありません。実際のグループワークでは、チームに『貢献する』ことが求められるため、何らかの『できること』『わかりやすい特徴』『強み』『タレント』があるとよいと思います。実際には、これまで、事業戦略の仕事をされたことのない方の方が、この研修で『気づく』ことが大きいようです。あまり、職種や役職にはこだわらずにご参加ください。
Q : 年代は30代でなければいけませんか?
A : まったく問題ありません。研修の性質上、「自分の会社では~~」という場面や「あなたの会社はどういう考えなの?」という場面が何度もありますので、会社を代表して発言できるレベル(僕はよくわからないんですけど、みたいなことにはならないレベル)の方にご参加いただきたいと思います(自信を持って話せないとどうしても、ついていけなくなりますので)。また、研修では「とにかく、バックグラウンドの違う人達と何が違って、それはなぜそうで、何は自分の固定概念で、何は他の人にとって価値があるか」を常に問われるような状況が続きます。ご自身に自信があることも大切なのですが、逆に、そのせいで、他の人の話が受け入れられなくなったり、自分の話を理解してもらえない状況が受け入れられなくなったりすると、こちらも同様に、なかなかつらい状況になると思います。したがって、 30代と名前をつけていますが、この意味では、心も体(それなりにハードです)も実力も『30代的』な参加者をお待ちしております。そういえば、私の大学時代の恩師も50代のときに『若手研究者の会』に参加されていました。「おいおい、若手じゃないでしょ」と言ったところ、「気持ちは若手だし、まだ、若手と同じだけの働きはできる」と言っていたのを思い出します。へ理屈かもしれませんが真実な気もする今日この頃です。逆に、20代でも『頑固親父』な人は、フレッシュな20代になってご参加ください。
Q :「こういう参加者は向いている」という具体的な「参加者像」があったら、聞きたいのですが(逆に、向かない人も)
A : こちら、なかなか回答が難しいのですが‥。この研修に「向く」人には2つの要素があります。ひとつは、「自分のポジションをとれる」人です。自分はどういう人間で、何ができて(何が苦手で)、どういう点からチームに貢献できるのか、何を実現したいのか、こういうことを上手に伝えられる人はこの研修で、非常に成果を出すことができます。もうひとつは、周囲の話をきちんと聞き、想定外の状況でも上手に理解して受け入れられる人です。実際に議論をすると自分とは異なる意見、発想がドンドン出てきます。その際に、一生懸命、理解してそこから発想を広げて、よりよいものを作ろうとできる人も、本研修では非常に成果を出せる人です。
MUSTではありませんが、このような短期間のプロジェクトですので、明るく話が好きで最後まであきらめないでやりきれる人が向いています。逆に、自分が想定していなかった状況になったり、理解できない意見が出てきたときに、「怒った」り、「あきらめ」たり、「やりすごそう」とする方は本研修には向きません。
“もじもじしていて意見を言えない / 言わない”人も、本研修に参加されると苦労されるようです。但し、この“もじもじしていて意見を言えない”状況は、結構、克服される方も多いようです(というよりも、ある程度、打ち解けて一つの目標に向けて集中的に取り組んでいるときには黙っている暇はありませんので)。
とは言え、世の中、完璧な人はいませんので、少し問題がありそうでも、明るくて前向きでチームに貢献する気のある方であれば、他のスキルやスタンスなどはなんとかなるのではないかというのが私達の意見です。年齢も職種も性別も特に関係ないように見受けられます。
参加者を選定される立場のみなさまにおかれましては、あまり深く考えすぎず、「多少背伸びさせても、チャレンジさせたい」という方を選んでいただけると私達としても大変うれしいです。もしご心配がありましたら、事務局・講師にご相談ください(実際に、“少し変わっているんですけどいいですか?”というご相談も受けます)。期間中、できる限り丁寧にフォローさせていただきます(実際には、事前の心配は杞憂に終わることの方が多いようですが)。
最後に、1点だけ、私達にはどうしようもできないことがあります(もちろん、なんとかしようとはするのですが)。そもそも「チームに貢献したい / しよう」という気持ちのない人は本研修には向きません。また、そのような方のマインドセットやスタンスを変えるような内容は本研修には含めておりませんので、 「態度を改めさせる」「スタンスを変えさせる」目的でのご参加はご遠慮いただけると助かります。どうか、前向きな気持ちと溢れる気合い、体力を持ってご参加いただければ嬉しいです。
Q : 事務局から見て、「こんな方に参加して欲しい」という方がいたら教えてもらえませんか?
A : 私達としては「様々な角度から、クラスに貢献できる可能性の高い」人にご参加いただけると嬉しいです。『クラスに貢献』というのは、必ずしも能力や属性によるものではありません。前向きに参加し、大いに議論し、たくさん学び、多くの仲間を作っていただける方に参加いただきたいと思います。本研修では『多様性』もひとつのキーワードです。事務局の都合でお話しさせていただくと、現在、“そうは言っても”30代半ば、管理職前後の男性が多いので、女性、外国籍の方、少し変わったバックグラウンド、経歴をお持ちの方などにご参加いただけると『多様性』という観点から嬉しいです。
Q : 参加者間の交流はどの程度あるのでしょうか?
A : 本研修は、基本3-5名のグループ単位で進行しますので、このグループで寝食共にすることになります。とは言え、グループ間のディスカッションや他チームへのグループフィードバックなど、クラス内での交流もできるだけはかれるよう考慮して進行しております。また、第一会合で実施する講義(インプット)セッションでは、プロジェクトグループとは異なるメンバーで構成されるよう配慮しております。可能な限りクラスにて交流できるよう、初日、及び、最終発表会後には懇親会をご用意しております。
本年は、実施後、翌年度の6月に卒業生パーティーとして全受講生、一同に会するパーティーを実施する予定です。その際、ワールドカフェを行う等、同じクラスにならなかったみなさまも交流できるよう工夫しています。実際には、複数クラスに参加されている会社さまの参加者(お互いよく知っている方)が、同じクラスの参加者を紹介するという形で、知り合いの輪を増やしていただいているケースが多いようです。
交流-研修、このバランスは、事務局としても常々、課題に考えているところです。よいアウトプットを目指すために、グループで深く、濃く取り組んでいただくと同時に、せっかく参加いただいたので、多くの方と交流していただきたいと考えております。アドバイス、ご要望等ございましたら、お申し付けいただければ幸いです。
Q : どのテーマにどのような参加者をアサインすれば(参加させれば)良いでしょうか
A : これは難しい問題です。まずは、参加者の選び方ですが、 「会社の代表として見解や事例を語れる」、「自分の業務のプロフェッショナルと言い切れる」、あるいはそのような機会がそろそろ必要だと思われる方を選定していただけるとよいと思います。もう少しくだけて表現すると、自分の仕事はある程度できるようになっているけれども、まだ、視点が狭い(これから広げて欲しい)人という感じでしょうか。これまでの事例で言うと、技術職や営業職の方などは、このような場に来て、様々なバックグラウンドの人達と、戦略+マーケットを議論できるのはとても刺激になっているようです。テーマに関しては、議論の分かれるところですが、可能であればできるだけ「通常の業務から離れたもの」を選ぶと良いのではないかと思います。但し、「何も想像できない」レベルだと困りますので、この点から考える「近すぎず、遠すぎず」というテーマがよいと考えられます。近すぎる= 解決策がすぐに思いつく、遠すぎる=わからなさすぎて最初に何をしたらいいかも想像できない。この程度の判断基準で考えていただくとよいのではないかと思います。私達としても、みなさまからみたときに「ちょうど、チャレンジしがいがあり、かつ、実際の業務にも学びが活かせそうな」テーマを選定しておりますので、お困りの際は、ご相談ください。これまでの経験から申し上げると、次世代のリーダーを期待されているみなさんは、我々が客観的に「大変だ」と思うものでも、前向きに取り組んでいただき成果をあげています。かわいい子には旅させろの精神で、多少、心配しても『無茶ブリ』気味のテーマに参加していただくのがよいのではないかと思います。もちろん、事務局・講師も、理解しにくいところはできるだけ丁寧に対応しますので、この点は信頼ください。
Q : 実際に、各企業でどのように参加者を選んでいるのでしょうか?
A : これに関しては、各社様、それぞれの位置づけで行っておられるようですが、大きく分けると、3つあります。
- 「手上げ式」で参加者を募っているケース。こちらは、これまで長くご参加いただいており、社内ですでに本研修がどのようなのものでどれくらい大変か?どのような効果があるか、ある程度、理解いただいている会社さまに多いようです。「そろそろ、俺もいっちょ修行してくるか」「お前も修行してくる頃だな(BY 上司)」という感じでしょうか。
- 「リーダー向け選抜研修の一環」として。こちらは、現場上長が推薦する場合と人事部が指名で選んでいる場合があるようです。能力開発が薄くなりがちな30代(集合研修もそろそろ必要はなくなり、かと言って、早期選抜にはまだ早く、管理職研修はまだ少し先)に、今後、リーダーとなるうえで、外部で見識を広げてきてくれということで、会社からの指名で参加される方も多くいらっしゃいます。現在の社長様が以前この研修に参加いただき、それ以来、「とにかく有望な方は参加する」ということで参加いただいているケースもございます。
- 自社の育成体系の中に埋め込んでいるパターン。この場合には、自社にリーダーを育成するプロセス、体系が既に定められており、その中のひとつのルートとして、本研修を位置付けていらっしゃる会社さまもあります。海外のビジネススクールに行くのとは異なるルート(現場で活躍しながら、サブスクール代わりに使うという感じが多いです)と位置付けている会社さまが多いようです。
私達としては、各社様、それぞれ育成の考えがあると思いますので、ぜひ、この研修を上手に『使って』もらえれば嬉しいです。また、今後、コースを増やすことも検討しておりますので、『こういうコースがあったら、参加したい』というご要望もお教えください。
《その他》
Q : 実際にどんな雰囲気で研修は進行しますか?
A : やはり、最初はお互いよく知らず、また、不安もあるので、全体的には静かです(講義が中心というのもあります)。グループワークがスタートしてしまえば、みなさん、打ち解けて議論されています。実際には、講師・事務局から変なプレッシャーをかけたりはしませんので、雰囲気は悪くないと思います。とは言え、 当然、意見の相違、考え方の違いで衝突することはあります。事務局としては、取っ組み合いの喧嘩をするなど目に余る場合(もちろんこれまでありません)以外は、できるだけ参加者のみなさん自身に解決いただくよう見守っています。終盤は、雰囲気なんか構っていられないくらいみなさん必死です。最終発表会が終わったらみなさん、晴々とした顔で飲みにいかれています。過去にはアルムナイパーティーを実施し、大変盛り上がりました(コロナ前後で一旦、実施を取りやめましたが、機会を見て実施したいと思います)。
Q : どのような服装で参加すればよいですか?
A : 服装は自由ですので、特に、気にされずにご参加ください。例年の傾向ですと、大体、「ビジネスカジュアル」と呼ばれるドレスコードで参加される方が多いようです。ご心配な方は、通常の「ビジネスカジュアル」でご参加されると無難です。事務局としては、特に指定はございませんので、チームで問題を引き起こすことなくパフォーマンスに影響のない範囲であれば、どのような恰好でも、特に、気にしませんので、ぜひ、参加者のみなさまには、「自分が一番、モチベーションが上がって、パフォーマンスが最大になる」恰好でご参加いただけるとうれしいです。過去、問題になった例はありませんので、あまり気にされなくてもよいと思います。
Q : 現在、研修への参加を検討しているのですが、見学することは可能ですか?
A : ぜひ、ご見学ください。事務局も準備させていただくので事前にご連絡ください。ドラマで素敵な彼女がいきなり「来ちゃった(ハート)」というのを避けていただければ、大変助かります。研修の特性上、テーマ企業さまの社内情報を取り扱うこともありますので、守秘義務に関する合意書にサインいただくことになるので、この点も事前にご了承ください。見学いただく際には、最終発表会に来ていただけると、受講生の取り組みや学んだこと、最終発表会のレベル、講師の様子、運営などバランスよく見ることができます。学習内容を把握されたい場合には第一会合(主に、講義・学習、テーマの分析)、実際のワークをご覧いただく場合には第三会合に見学にきていただくと実際の様子をご覧いただけます。現在、リアル–オンラインをミックスして実施していますが、運営の関係上、見学できるタイミングが限られていますので、こちらは、都度、ご相談いただければと思います。
尚、見学の際には進行の妨げにならないようご配慮お願いいたします(過去、問題になったケースはありませんが、念のため…)。気になる点や検討したい点等、具体的にお伝えいただければできるだけわかりやすいタイミングでアレンジさせていただきますので、当社スタッフまでご相談ください。
Q : グループ分けはどのように行っているのでしょうか?
A : 基本的には、業種、職種、年齢、性別など、偏りがないように分けています。最終的には、現場で講師と事務局が決定しています。研修の進行上、講師がスムーズに進めやすいよう若干の調整をする程度です。決して、「この組み合わせはおもしろそうだから」とか、「この人とこの人はうまくいかないから」といった理由で決めていることはありませんので、この点はご信頼ください。グループを組む立場からお話しさせていただくと、 正直、どう決めるのがベストかわかりません。良いアイディアがあればお教えいただけると嬉しいです。結果的にチームとしての成果に差がでることもあるのですが、 これまでの例を見ると、グループの分け方よりも、その後の取り組み方の差のように思えます。我々としては、グループ分けは一旦信頼いただいて、そのチームで精一杯、取り組んでもらえると嬉しいです。
Q : 実際に最終発表会にはどのような提案がなされるのでしょうか?(過去にケースはありますか?)
A : 全グループ、「テーマ企業のご担当者さま」にプレゼンテーションをするという形式で提案を行います。必然的に、市場の分析やデータ解析からスタートして、具体的な戦略の提案が行われることになります(これが、基本形です)。
実際の提案は、様々です。市場分析を中心に提案を構築するグループもあれば、事業コンセプトにオリジナリティを求めるチームもあり、また、既存事業を再定義して課題に取り組むチームもあります。したがって、同じテーマについて、同じ提案をするグループは、ほぼ、ありません。
発表時間を30分、質疑応答を15分(FY2020実績)とっているので、パワーポイントで、30-40枚程度作成されるチームが多いようです(実際には、その倍程度、作成して、厳選しているようです)。
過去のプレゼンテーション資料は非公開なのですが、直接お見せすることはできなくても、ご説明することはできますので、当社スタッフにお申しつけください。
Q : 実際に提案が採用されることはありますか?その場合、提案の知的所有権はどうなるのでしょうか?
A : 本研修の成果物に関する知的所有権はテーマオーナー様に帰属いたします。直近では事業戦略自体も非常に抽象度が高く、また、様々な要素が複雑に絡んでいるために、完全採用ということはなく、部分的にお役立ていただいているようです。実際激しく利益につながった場合には、 金一封いただけないかテーマ企業さまにお願いにあがりたいと思います。当社にてピンハネしていることはありませんので、この点だけ覚えておいていただけると嬉しいです。
本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹