『イントレプレナー』になる『きっかけ』は何か? – 彼らのルーツは何か

アイディアポイント岩田です。現在、『イントレプレナー』と呼ばれる『社内で新しいことをはじめる人たち』に焦点をあてて、その人たちはどんな人たちで、どんなきっかけで新規事業をスタートして、どんな苦労を乗り越えて、どこに向かっているのかを調べています。今回は、社内で新規事業をする人たちは、どんなきっかけで新しい事業をスタートしているのかについて解説していきます。(イントレプレナーについてはこちらの記事をご覧ください) 


目次

新規事業スタートのきっかけは、『事業提案制度』、『新規事業開発部門への移動』、『課外活動』

新規事業をスタートするきっかけは、『事業提案制度』、『新規事業開発部門への異動』、『課外活動』の3つのようです。実際には既存事業をサポートする形でスタートするものもあると思いますが、最終的には既存事業に取り込まれる形になることが多いので、ここでは取り上げません。

1.『事業提案制度』を活用して、自分から手を挙げて応募して審査を通過してスタートする

現在、多くの会社で『新規事業提案制度』を実施して、社内のビジネスコンテストのようなものを実施しています(全社で実施している会社もあれば、研究開発部門など範囲を限定している会社もあります)。『制度』としていない場合でも、社内で『新規事業アイディア募集!』という旗を掲げて募集していたり、年間の行事として実施している会社も多くあります。(新規事業提案制度についてはこちらの記事をご覧ください)

ひとつめのきっかけは、このような『会社として、新規事業に応募しているところに、自ら手を挙げて、それを通過して正式に事業をスタートさせる』ケースです。

既存のビジネスの中で「こんな困りごとがあるんだけど、これが解決できたらビジネスになるんじゃないか」、「今、やってないけど、これやったらビジネスになるんじゃないか」というアイディアを携えている人や、「いつか会社の中で新しいことにチャレンジしてみたい」と思っている方たちが、応募するケースが多いようです。

2.『新規事業開発部門に異動』して、仕事としてアサインされてスタートする

企業の中で、『異動』して、仕事としてアサインされる(業務として取り組む)ことをきっかけとして新しい事業をスタートする人も多くいます。ほとんどの場合、通常の異動と同様に、「会社として、新規事業はとても大切な仕事だから、期待しているよ」と言われて、そこからスタートして新規事業に取り組むパターンです。

ご自身で希望を出されて異動した場合とそうでない場合があるようです。多くの場合は後者で、『寝耳に水』状態から業務をスタートすることが多いようです。既存事業であれば、業務の前後や地域の異動など『現在の業務の流れで異動』ということがありますが、『新規事業』は、通常、既存の事業と『切り離された』存在なので、『流れ』で異動ということがありません。

『新規事業開発部門に異動』して取り組むことになった方は、一旦、気持ちをリセットして、ゼロから取り組まれ、その中で、ご自身なりに考え、おもしろさを見出して、新規事業に取り組まれていくことが多いようです。会社として適性を見ながら配置されるので、「なんとかなる」ケースがほとんどのようですが、中には、水を得た魚のように活躍される人もいたり、逆に、苦戦する方も多いようです。

3.『課外活動』の延長線上で事業をスタートさせる

3つめのパターンは、業務とは関係なく『自分でやりたくて』活動をスタートして、その実績をもって会社に『事業』として認めてもらう(認めさせる)パターンです。

このパターンでは、会社によって『支援』の状況が違っていて、『20%ルール』など、制度として直接、業務に関わらない内容でも自由に時間を使ってよいという会社もあれば、「やることをきちんとやっていれば、他のことをやっていても目をつぶるよ」、「活動は自由だけれども、会社の名前を出すのはNG」等、様々なパターンがあるようです。この辺りは、会社や職場のカルチャーや本人のキャラクターによるようです。よく言えば、『課外活動』、悪く言えば、『ダマでやる(黙ってやる)』というところでしょうか。

研究開発の現場では、昔から『課外活動』、『オフィシャルには乗らない活動』は様々な形で行われていた?いる?という話は聞いているようです。『公式に非公式な活動を推奨』というのも変な話ですが

個人的には、↓の書籍がおすすめです。富士フイルム社の主に研究開発部門の『課題活動』の内容が赤裸々(?)に語られていて、活動している雰囲気も含めて、とてもリアルだなと感じます。

チャランケ物語 富士フイルム変革「敗戦」記

このパターンで実際に、新規事業をスタートさせていている人は、相当の『強者』です。会社からの公式な支援があまりない中で、「まぁ、一応、見て見ぬふりをしてあげるよ」という状況で成果を出して、最終的には公式に認めてもらう?認めさせる?ことができた人たちです。

このように企業の中で新しいことをスタートするきっかけや企業からの支援は様々ですが、大きく3つのパターンに分類されそうです。


ほとんどの人は、そもそも新規事業の責任者になることを考えていたわけではなかった

社内で新規事業をスタートする『直接的な』きっかけは、3つのパターンに分類されますが、それより『前』、彼 / 彼女らが、「思い立った」、「視野に入った」タイミングはいつなのでしょうか。

『異動』してきた人の場合はほとんどの場合は、「そこから考え始めた」ことになります(実際に、そのようです)が、それ以外の『新規事業提案制度に手を挙げた』人や『課外活動』からスタートした人たちは、いつ、新しいことをやろうと考えるようになったのでしょうか。

「いつか、この会社で新しいことをやってやろう」と考えて、入社したという人は誰もいません。ほとんどの人と同じように、入社のタイミングでは、「この会社の事業(あるいは、その会社が将来的に目指す分野)に興味や関心」があって、入社して、当然、その事業を中心にキャリアを積んでいくことを漠然と想定していた人たちばかりです。入社時点では、他の多くの人と変わらないのではないでしょうか。

入社後、ビジネスパーソンとしてキャリアを積む中で、漠然とした問題意識が少しずつ形になっていったり、何かきっかけがあって「やりたい」ことや「やらなくてはいけない」ことが出てきたり、自信をつけながら「チャレンジしたい」気持ちが出てきていて、それぞれのきっかけで「事業を創る」機会にチャレンジしているようです。


全員、そのタイミング、その場所で『真剣に考えて』、『誠実に取り組んで』この仕事を楽しんでいる

今回、様々な会社で『新しい事業』に取り組んでいる皆さんとお話しして、一番、印象的だったのは、全員が『楽しそう』に毎日を過ごしていることでした。

もちろん、昔の苦労話や、今、現在の課題など、楽ではない様子も聞かせていただきました(どちらかというと、大変だと思います)。それでも、全員が「楽しそう」に日々を送られているのは、なぜなのか、この点に関しては、もう少し考えていきたいと思います。

今回のインタビューは、イントレプレナーは「どこから来て」、「何をきっかけにしてスタート」して、「どんな困難を乗り越えて」、「どこに向かうのか」を知りたいというきっかけでスタートしました。本当に、人の数だけパターンがあって、ひとくくりにできない(してはいけない)のではないかと思うようになりました。

その中で、とても、印象的だったのが、どの人も『新規事業に取り組む』ということをきっかけに、『自分のこと』、『会社のこと』、『社会のこと』、それぞれの未来のことを考えて、それに対して、とても『誠実』に取り組んでいることでした。本当に嘘偽りなく、サービスを提供する「お客さま」のこと、一緒に働く「仲間」や「パートナー」、支援してくれる「会社」に対して、誠実に、そして、ご自身に対しても誠実に考え(考え抜いて)、事業を進めている様子に感動しました。

きっかけは、それぞれであっても、新規事業に取り組む経験をきっかけに『自分に向き合う』経験をされていたのが非常に印象的でした(キレッキレの一匹狼?、会社を利用するエゴイスト?、腐った会社を立てなおす正義漢?、旧態依然とした組織に立ち向かうヒーローみたいなイメージが少しでもあったのが恥ずかしいところです。あれは、うそです。みなさん、組織に感謝して、ビジネスとお客さまと向かいあっているものすごく誠実な人ばかりでした)。


『イントレプレナー』は、『結果的にそうなっている』ものなのではないか

今回は、イントレプレナーは、『どんなきっかけ』で新規事業に取り組み始めるのかについて解説しました。直接的なきっかけは3つあるものの、それぞれ、ご自身の中ではタイミングがあって、それが提案制度や異動で現実的になったと考えるのが妥当そうです。

次回以降、下記のような内容を書いていこうと思います。

  • ある『きかっけ』で生まれたイントレプレナーはどんな課題に向かい、それを乗り越えていくのか、そして、どこに向かうのか(イントレプレナーの成長物語)
  • イントレプレナーたちが持っている / イントレプレナーに必要な能力、向く人、向かない人
    (スキル、マインド)
  • イントレプレナーという経験は「得なのか、損なのか」、「幸せなのか?」
    (イントレプレナーというキャリア)

現在、私たちは、「社内で新しい事業を起こす人(=イントレプレナー)」にインタビューを進めています。彼ら/ 彼女らについて、『聞いてみたい』ことや『興味のある』ことがありましたら、ぜひ、お問い合わせください(どんな切り口でまとめようか試行錯誤中)。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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