新規事業は失敗しやすい?よくある原因と成功に導く5つのポイント

新規事業がいきなり軌道に乗ることは珍しく、多くの場合、失敗に終わってしまいます。なぜ失敗するのか、よくある原因について見ていきましょう。また、失敗から成功に導くポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。 


目次

新規事業に失敗する企業は多い

新しいビジネスに乗り出しても、必ずしも成功を生むとは限りません。例えば日本を代表する企業のひとつであるファーストリテイリング社のCEO柳井正氏は、自身の著書で事業が1勝9敗であることを述べています。

また、オリックスのシニアチェアマンである宮内義彦氏は、オリックスの幹部の中で失敗を経験したことがない人はいないとも表現しました。このことからも、企業規模に関わらず新規事業を起こすことは常に失敗と隣り合わせであることがうかがえるでしょう。


新規事業が失敗する7つの原因

新規事業は企業規模に関わらず失敗することが多いです。実際に失敗する事業のほうが多数派で、うまくいくほうが少ないといえます。

しかし、「新規事業は失敗するものだ」というスタンスで新規事業に臨むのは好ましい姿勢とはいえないでしょう。失敗には必ず原因があります。原因を知って新規事業に取り組むことで、成功する確率を高めていきましょう。

新規事業に失敗するよくある原因としては、次の7つが挙げられます。

  1. マーケティングを十分に行っていないから
  2. 準備不足だから
  3. モチベーションが維持できないから
  4. 事業立ち上げのタイミングを誤ったから
  5. スタッフが自発的に動きにくい組織だから
  6. 関係者が多すぎるから
  7. 資金・予算が足りないから

新規事業に取り組む前、また、失敗した後に該当する部分はないのかチェックし、次回の成功につなげていきましょう。 

1.マーケティングを十分に行っていないから

事業を立ち上げる際には、十分にマーケティングを行い、新規事業が受け入れられる土壌があるのか、また、どこにターゲットを絞れば良いのか見極める必要があります。マーケティングを十分に行わずに事業を立ち上げると、市場のニーズと合わずに利益を得られない可能性があるでしょう。

マーケティングが十分でないと、ターゲットを誤ることもあります。別のターゲットを狙えば受け入れられたはずの事業も、誤ったターゲットに対してプロモーションを展開したことで失敗するケースも少なくありません。例えば資生堂の制汗剤シーブリーズは、元々はマリンスポーツを楽しむ若い男性をターゲットにしていましたが、マリンスポーツの人気が下火になるに伴い、売上は下がっていきました。

しかし、ターゲットを部活動後の女子高生に変更したことで、売上はV字回復を遂げます。マーケティングを丁寧に行うことで、本当に受け入れられる土壌を見つけ、事業の成功に導くことができる例といえるでしょう。

2.準備不足だから

新規事業を立ち上げる前の準備としては、マーケティング以外にも多数存在します。準備不足のまま事業を立ち上げて失敗するというケースは少なくありません。

例えば事業を立ち上げる場合は、事業のコンセプトやターゲット、目的などを明確にし、すべての関係者が理解しておく必要があります。コンセプトも目的も曖昧なまま事業を進行させていると、意思決定が必要な場面で誤った選択をしてしまう可能性があるでしょう。

また、事業を立ち上げるときには事業遂行に必要な人材を集めておくことは欠かせません。人材が足りない、あるいは担当するスタッフが知識やスキルが不足したまま事業に関わっているなどの不備が見られると、事業が成功する可能性は低くなってしまうでしょう。

3.モチベーションが維持できないから

既存の事業を遂行する場合とは異なり、新規事業は実行するまでにさまざまな困難を伴います。問題点があったときに誰に尋ねれば良いのかわからないといった日常的な悩みから、市場からの反響が得られないなどの事業の根幹を揺るがすトラブルまで予想もつかないようなことが起こるでしょう。プレッシャーを感じる日々にモチベーションが下がってしまうことも少なくありません。

しかし、関係者すべてにおいて「事業を成功させる」というモチベーションを維持できないと事業が成功から遠のいてしまうことがあります。特に市場からの反響が得られないときは、やりがいを見出すことが難しくなり、スタッフが事業に打ち込めなくなるかもしれません。

4.事業立ち上げのタイミングを誤ったから

事業を立ち上げるタイミングも重要です。例えば流行中の商品やサービスに関連した事業に参入しようとしたものの、準備に時間をかけすぎてしまい、立ち上げたときにはすでにブームが去っていたというケースは少なくありません。

また、これから流行るだろうと考えて事業を立ち上げたものの、まだ認知度が低く、市場に受け入れる土壌が育っていなかったというケースもあります。反対に認知度は高いものの、すでに市場参加者が多く、顧客を獲得できない可能性もあるでしょう。

市場参入のタイミングは、ニーズが高くなおかつ市場参加者が少ないときが好ましいです。出遅れてしまったときは、競合他社とは差別化するアピールポイントが必要になるでしょう。最適なタイミングで参入できるよう、事業立ち上げ時から綿密なスケジュール調整が不可欠です。

5.スタッフが自発的に動きにくい組織だから

新規事業を立ち上げるときには、さまざまな局面で意思決定が必要になります。しかし、意思決定の度にチームリーダー、部長、関係者など多くの人々の承認が必要となると、時間がかかり、予定通りにプロジェクトが進まないでしょう。プロジェクトに遅延が生じると、市場参入のタイミングを誤ることにもなるので致命的です。

スムーズに事業が進むためにも、スタッフが自発的に動きやすい環境を用意しておく必要があります。指示系統もシンプルにし、重大事項ではない限り、どのスタッフにも意思決定できる権限を与えておくこともポイントといえるでしょう。

6.関係者が多すぎるから

新規事業に関わる企業やスタッフが多すぎると、意思決定に時間がかかってしまうことになります。新規事業の立ち上げはスピードも大切です。市場のニーズを敏感に察知し、必要と思われるモノやサービスを提供することが成功のコツにもなるでしょう。

しかし、関係者が多すぎるとスピーディな対応は望めません。関係者を極力絞り、軽いフットワークを維持できるように組織を作りましょう。どうしても関係者を絞れないときは、指示系統をシンプル化し、スピーディな意思決定を行える環境を構築しておくことが重要です。

7.資金・予算が足りないから

新規事業を立ち上げ、すぐに利益が生まれるというケースは稀です。ほとんどのケースにおいて事業が軌道に乗るまでに多大な資金投入が必要となり、予定していた予算では足りずに追加で資金が必要になることもあるでしょう。

市場からのニーズがあり、しっかりとマーケティングをしていて売れる目途はついている場合でも、資金や予算が不足して撤退を余儀なくされるケースもあります。新規事業を立ち上げるときは、初動費だけでなく一定期間の維持費も予算に組み込んでおきましょう。


新規事業を成功に導く5つのポイント

新規事業は失敗しやすいものですが、常に失敗するわけではありません。市場に受け入れられ、メガヒットを生み出すこともあります。次の5つのポイントに留意し、新規事業を成功につなげていきましょう。 

  1. スタッフ全員が目的を正確に理解する
  2. 事業に対して情熱を持つ
  3. 事業に関する情報を徹底的に収集する
  4. 最初のアイディアやプロセスに固執しない
  5. 定期的に事業過程を振り返る

1.スタッフ全員が目的を正確に理解する

新規事業の成功には、事業の目的をスタッフ全員が正確に理解することが不可欠です。事業をプランニングしたスタッフだけが目的を理解していても、現場で実際に働くスタッフが目的を理解していないと、誤った判断をすることがあり、事業を失敗させてしまうことがあります。

反対にすべてのスタッフが目的を正確に理解していると、臨機応変な対応が可能になり、問題処理のスピードや顧客満足度の上昇を期待できるでしょう。

2.事業に対して情熱を持つ

スタッフ全員が事業に対して情熱を持つことも必要です。事業への情熱があれば、ターゲットの心をつかむことができ、より良い結果につなげていけるでしょう。

スタッフ全員が情熱を持つためにも、経営者や事業責任者が事業に対して熱い気持ちを持つことが大切です。トップ自身が「絶対に成功したい」「このサービスをみんなに知ってほしい」という熱い思いを持つことで、周囲にも熱意が伝わり、スタッフ全員を情熱の渦に巻き込んでいけるでしょう。

3.事業に関する情報を徹底的に収集する

事業を成功に導くためにも、関連する情報を徹底的に収集することが欠かせません。競合他社の特徴や工夫しているポイント、自社との違い、どのような層が多いエリアなのか、どのような店舗が多いエリアなのかなど、少しでも関係があるものであれば、徹底的に情報を集め、事業を成功に導くヒントが落ちていないか検討します。

また、一見関連のなさそうな情報の中にも成功のヒントが落ちていることがあります。広く情報を集めて、新規事業を成功につなげていきましょう。

ただし、情報収集に時間をかけすぎると、市場に参入するタイミングを逸してしまうことがあります。スケジュールを確認しつつ、時間を配分するようにしましょう。

4.最初のアイディアやプロセスに固執しない

素晴らしいアイディアから誕生した事業であっても、そのアイディアに固執していると成功できないかもしれません。常に市場のニーズや情勢は変化しています。最初のアイディアやプロセスに固執するのではなく、その場に応じて臨機応変に対応していくようにしましょう。

また、柔軟な姿勢を保つことで、より良いアイディアが生まれることもあります。

5.定期的に事業過程を振り返る

スピード感を持って事業を進めていくことは大切ですが、周りを見ずに突っ走ってしまうと、失敗の芽を見落としてしまうことがあります。定期的に事業過程を振り返り、ミスをしていないか、見落としたところはないか、改善できる部分はないかチェックしておきましょう。

丁寧に振り返りながら事業を進めていくと、万が一、失敗したときにもどこに問題があったのか突き止めやすくなります。事業の軌道修正もしやすくなるので、結果的にはスピーディに事業を進めていけることになるでしょう。  


失敗がわかったときにすべきこと

事業を進めている途中で失敗に気付くことがあります。また、事業展開した後で、失敗に気付くこともあるでしょう。

失敗がわかったときには、すぐに原因を追求し、柔軟にアイディアやプロセスを変更することが必要です。過去に成功した手法であっても、今回のプロジェクトには適さない可能性もあります。「以前はこれでうまくいったから」「最初にこれを思いついたから」などと考えるのではなく、良くないと思われるアイディアやプロセスは捨て、今回のプロジェクトとその時代にマッチした方法を選択するようにしましょう。

責任者は適切なタイミングで撤退指示を出す

原因を突き止め、アイディアやプロセスに固執せずに改善したとしても、必ずしも成功できるというわけではありません。最初のアイディアそのものが市場のニーズを反映していない可能性もあれば、事業進出のタイミングを見誤った可能性もあります。

新規事業の責任者は、適切なタイミングで撤退指示を出すことが必要です。最初に期間や予算、撤退の基準などを決めておくと、スピーディな判断を下せるでしょう。撤退指示のタイミングが遅くなると、企業損失も大きくなります。早めに判断するようにしましょう。


新規事業の失敗事例を次につなげていこう

世界的大企業も、数え切れないほどの失敗を重ねて今があります。新規事業を展開するときは失敗を回避するように綿密な準備をすることは当然のことですが、失敗した後もその失敗を次につなげる形で活用するようにしましょう。スタッフレベルでは柔軟な見直し、経営者レベルではタイミングをとらえた撤退指示が必要になります。

イノベーションを起こす新規事業の立ち上げをお考えの際には、ぜひアイディアポイントにご相談ください。時代の潮流を読み、新しい価値観を生み出すお手伝いをしております。お気軽にお問い合わせください。

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