SDGsから新規事業を考える!事業アイディアのポイントや事例を紹介

SDGsに注目することで新規事業を開発することができます。事業アイディアを構築するポイントや、SDGsに注目する理由、事業を成功に導くコツについてまとめました。企業の事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
 


目次

SDGsを新規事業に取り込む理由

新規事業のアイディアについて悩んだときは、SDGsについて考えてみてはいかがでしょうか。次の3つの理由からも、SDGsを新規事業に取り込むことは有意義だと考えられます。

  • SDGsには現時点で世界が抱える課題が網羅されているから
  • SDGsは、グローバルに『合意された』課題であるから
  • 課題に取り込むことで、SDGsによるブランド構築が可能だから

それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。  

SDGsには現時点で世界が抱える課題が網羅されているから

SDGsには、17のゴールと169のターゲットが含まれています。貧困や飢餓、健康、福祉、教育など、世界が抱える課題を網羅しているといっても過言ではありません。

つまり、SDGsに着目して新規事業を構築すれば、世界が持つ何らかの課題にアプローチできることになります。新規事業を通してより生活しやすい世の中を実現するためにも、SDGsに着目することは有意義といえるでしょう。

SDGsは、グローバルに『合意された』課題であるから

SDGsは、2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際的な解決課題です。つまり、SDGsに記載されている課題は、グローバルに合意された課題といえます。SDGsに関連する新規事業を構築すれば、グローバルな課題の解決に向けて踏み出すことにもなるでしょう。  

課題に取り組むことで、SDGsによるブランド構築が可能だから

SDGsは一部の限られた人だけが知っている知識ではありません。ニュースや新聞などのメディアでSDGsについての情報は頻繁に発信されているだけでなく、SDGsについて取り組む企業も増えてきました。また、学習指導要領にも盛り込まれ、子どもたちは学校でもSDGsについて学んでいます。

つまり、SDGsの課題に取り組み、SDGs関連の事業であることをアピールすることで、SDGsによるブランド構築も可能です。新規事業として立ち上げた事業の必要性をより多くの人々に感じてもらうためにも、SDGsが持つ知名度、ブランド力を活用できるでしょう。


SDGsを新規事業に取り込む方法

SDGsは次の2つの方法で新規事業に取り込むことができます。  

  • SDGsの課題を解決する事業を構築する
  • 企業としてありたい未来を考える

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。  

SDGsの課題を解決する事業を構築する

SDGsには次の17の課題が含まれています。

  • 貧困をなくす
  • 飢餓をなくす
  • 健康と福祉
  • 質の高い教育
  • ジェンダー平等
  • 安全な水とトイレ
  • エネルギー
  • 働きがいと経済成長
  • 産業と技術革新
  • 人と国の不平等解消
  • 住み続けられるまちづくり
  • つくる責任、つかう責任
  • 気候変動
  • 海の豊かさ
  • 陸の豊かさ
  • 平和と公正
  • パートナーシップ

これらのうちのいずれかの課題、あるいは複数の課題を選び、解決策となるような事業を構築します。例えば「質の高い教育」を選んだ場合であれば、経済格差による教育格差を解消するような低価格学習アプリを提案できるかもしれません。教科書の内容を重点的に解説するアプリであれば、授業についていくことが難しいと感じる子どもをサポートし、基礎学力を高める効果も期待できます。  

企業としてありたい未来を考える

企業としてありたい姿を具体的に描き、その未来を叶えるための課題をSDGsのなかから選ぶことでも、SDGsを新規事業に取り込むことができます。
 
例えば、家庭生活がより楽しいものとなるような住宅を作りたいと考えているハウスメーカーであれば、SDGsの課題のうち、人々の「健康と福祉」や再生可能な「エネルギー」、「住み続けられるまちづくり」などを選んで、新規事業を構築できるでしょう。
 
空気を清浄化する機能を持った壁材や床材、エネルギー効率を高める断熱素材、高い気密性を発揮する建築工法などを開発することで、「健康と福祉」や「エネルギー」の課題にアプローチできるかもしれません。また、住宅の内部だけでなく外観や外灯などにも注力することで、より良いまちづくりに貢献することもできます。


SDGs関連の新規事業を成功に導くポイント

現在、SDGsは一つのトレンドともいえます。しかし、トレンドに乗ったところで事業が成功するとは限りません。SDGs関連の新規事業を成功させるためには、次の3つのポイントに留意することが必要です。

  • SDGsのターゲットに注目する
  • 消費者の目線を意識する
  • 収益性まで計算して事業を構築する

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。  

SDGsのターゲットに注目する

SDGsには17のゴールと169のターゲットが含まれています。紹介したとおり、17の課題はいずれも範囲が広く、漠然として、事業化することは難しいと感じるかもしれません。しかし、より具体的な課題であるターゲットに注目すれば、より具体的な新規事業のアイディアを得やすくなるでしょう。

例えばゴールのひとつ「飢餓をなくす」は、ストレートに取り組むには範囲が広すぎ、一企業の一事業で解決するのは困難です。しかし、「飢餓をなくす」に含まれる8つのターゲットのいずれかに注目すれば、実現可能な事業アイディアが浮かびやすくなるでしょう。

ターゲットのひとつには、「貧困層や幼児を含む弱い立場にある人々が、一年中いつでも安全かつ栄養のある食料を十分に得られるようにする」があります。このターゲットから、幼児向けの安心かつ栄養バランスの取れた食品を開発する、栄養価が高く安価かつ安全な食品を開発するなどの、より具体性に富んだアイディアをつかめるかもしれません。

消費者の目線を意識する

SDGsはグローバルな視点では解決すべき課題ですが、必ずしも消費者に響く課題となるとは限りません。例えば「飢餓をなくす」という課題を取り上げても、日本国内において身近な問題として認識している方は少ない可能性があります。

新規事業を開発するときは、SDGsに関連する課題を選ぶだけでなく、消費者の目線を意識することも大切です。例えばターゲットのなかから「安全」という要素を抽出し、より高いニーズを得られる事業として発展させていきます。

収益性まで計算して事業を構築する

事業として成立させるためにも、単にSDGsに沿った課題を含めるだけでなく、収益性まで計算して事業を構築することが必要です。収益を確保できるビジネスモデルに仕上げることで、事業の継続性も担保しやすくなります。事業自体が社会貢献につながるものであれば、事業が継続することで社会貢献も継続できることになるでしょう。


SDGsに関わる事業の事例

多くの企業がSDGsに関わる事業を立ち上げています。いくつか例を通して、新規事業開発のヒントを見つけてください。  

KOSE

KOSEでは海洋プラスチックゴミに注目した新規事業を展開しています。プラスチックゴミの回収を手掛ける他企業と協力し、海洋プラスチックゴミをリサイクルして自社ブランドのデザインでエコバッグを作成しました。

ショッピングセンターでエコバッグの提供を行うことで、消費者がSDGsの目標の1つである「海の豊かさ」を守ることの大切さを意識するための啓蒙活動にもつながっています。また、従来の化粧品のボトルにも環境に配慮した素材を使い、企業全体でSDGsを意識した新規事業を構築しています。

NEC

NECでは、次の4つのステップを通じたSDGsの課題解決を目指すモデルを構築しています。

  1. 社会課題を認識する
  2. 技術開発と地域社会、行政、企業などの共創を通じて強みを構築する
  3. 経済活動として具体化する
  4. SDGsの課題解決を目指す

SDGsの課題解決ありきで始めるのではなく、技術開発と経済活動をベースとして確保したうえで事業を構築することで、持続可能性を高めていることが特徴といえるでしょう。

また、NECでは、SDGsの課題のひとつ「つくる責任、つかう責任」を解決するためにも、食品ロスの問題に取り組んできました。NECのITC技術を活かして需給最適化プラットフォームを構築し、需要と供給のミスマッチの解消、需要予測のシステム構築を目指しています。

象印マホービン

象印マホービンでは、何度でも繰り返して使えるマイボトルの普及を推進することで、持続可能な未来を目指しています。また、マイボトルがより使いやすいものになるために、街中で「給茶スポット」を設け、気軽にドリンクを補充できる取り組みも展開してきました。給茶スポットでは、こだわりのコーヒーや本格的な日本茶などを提供し、味や質にもこだわっている点も特徴といえるでしょう。

給茶スポットの取り組みは、SDGsの課題である「つくる責任、つかう責任」と「海の豊かさを守ろう」の解決を目指すものです。また、消費者にグローバルな視点での問題に注意を喚起するだけでなく、マイボトルへの愛着を抱かせる機会にもなっています。


SDGsから新規事業を生み出そう

SDGsには世界が抱える課題が集約されています。SDGsのゴールとターゲットに注目することで、企業が取り組むべき課題も見えてくるでしょう。消費者のニーズや収益性も考えて新規事業を構築すれば、SDGsの基本指針であるサステナビリティの実現も期待できます。

アイディアポイントは「新しいことに取り組む人」をサポートするプロフェッショナルです。新しい事業を生み出したいとお考えの企業さまに寄り添い、幅広い視点から新規事業のアイディアをご提案しています。ぜひお気軽にお問い合わせください

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