アイディアポイント岩田です。最近、自分自身のコミュニケーションやコンサルティングや講師としての「あり方」や「スタイル」、「パフォーマンス」を見直そうと考えて、コミュニケーションやファシリテーションの書籍を読み漁っています。その中で、『対話型ファシリテーションの手ほどき』(2015/1/1, ムラのミライ、中田豊一) という書籍の中で、非常に印象的な箇所があったので、紹介いたします。著者は国際協力コンサルタントとして活躍されている方で、様々な事例が紹介されていて参考になりました。特に、『考えや意見を聞く質問ではなくて、事実に関する質問をして気がつくのを待つ』というのは、普段、考えていなかったことなので参考になりました。
ということで、書籍の中から、『「待つ」ことの大切さをわかりやすく覚え示したたとえ話』として紹介されていた文章を引用します(カッコ以外は、原文、そのままです)。
まずホワイトボードに楕円を描きます。私「これ、何に見えますか?」研修参加者「卵?」「そう。では卵は誰が生む?」「ニワトリ」「ニワトリは卵を産んだら次に何をする?」「温める」「温め始めてから、何日で孵化するか、知ってますか?」途上国の農村で育った研修員には知っている者が多いのですが、都会育ちや日本人だとほとんど知りません。
「平均3週間、つまり21日で孵化します。しかし、雌鳥は3週間ずっと抱き続けているわけではありません。
18日目か19日目になると、温めるのを止めてあることをするのですが、それは何かな?」 「卵を口ばしで突っつく?」
「そう。コツコツと突っつきます。すると何が起こりますか?」 「内側からひよこも突っつく」 「そのとおり。母鳥の呼びかけに応えて、幼鳥が中から突っつき返します。」
「そうしているうちに、何が起こる?」 「殻が内側から割れて、ひよこが出てくる」 「はい。これが、孵化のメカニズムです。自然は実によくできていますね」
「ところで、場合によっては、18日目か19日目に母鳥が突っついても、 中から何の返答も返ってこないこともある。そんな時、母鳥はある『行為 (action)』に出ます。さあ、それはどんな行為でしょうか?」
「足で蹴ってひっくり返す?」「ノー」 「もっと強く突っつく?」「ノー」 「答えは、『待つのみ』です。私が行為と言ったので、何か大きな動きを想像したに違いありませんが、 『待つ』ことほど、積極的で困難な行為はないのです。
逆に、外から強く突き過ぎると、内側に向かって殻が割れるので、雛は出にくくなる。だから、待つしかない。雛には自分で殻を破って出てくるカがあることを『信じて待つ』のです」
「信じて待つ」は、ファシリテーターの最も重要な心得であり、私の座右の銘でもあります。ファシリテーターは、まず、卵を抱いて、温めます。時期が来たら、突きます。タイミングを間違えると、いくら突いても何の変化もありません。強すぎず、弱すぎず、適度に突きます。強すぎると、未熟な卵が割れてしまうし、弱すぎると聞こえません。あとは、「信じて待つ」のみです。
引用元:中田豊一著『対話型ファシリテーションの手ほどき』(2015年)ムラのミライ(P47-49)
自分はきちんと抱いて十分に温めていられているか、適切な時期に突けているか、強すぎず、弱すぎず、適度に突けているか(弱いと聞こえないし、強いと割れてします)。最後まで、「信じて待つ」ことができているのか、いろいろなプロジェクトやご一緒した方たちを思い出しながら、ちょっと落ち込んでみたり(もう少し待つべきだったのではないか、逆に、突くのが早かったと思うことがあったり…)、あのときはうまくいったなと思ったりしました。うーん、難しい。自分は、「すぐに提案したくなる」傾向があるなぁと思いました。気づきは時間がかかるのは頭ではわかっているのですが、やはり、なかなか実践するのは難しいようです。
もう一か所、紹介しておきます。↓の〇〇はなんでしょうという内容なのですが…どう思われますか?
① 聞いたことは、忘れる。 If I hear it, I will forget it.
② 見たことは、覚えている。 If I see it, I will remember it.
③ やったことは、わかる。 If I do it, I will know /learn it.
④ 〇〇ことは、使う。 If I 〇〇, I will use it.
引用元:中田豊一著『対話型ファシリテーションの手ほどき』(2015年)ムラのミライ(P43、44)
正解?は、発見する(find/discover)です。これも本当だなと思います。実際のプロジェクトや研修の現場では、どうしても、「教えたい」、「教えてもらいたい」という気持ちになりますが、実際に行動に移す(移せる)ものは、やはり、「自分自身で発見した(発見したと感じられる)」ものなのだと思います。自分自身『が』考えたことこそが、やはり、実行に結びつくのだと思います。これも、本当にそうだなぁと実感したところでした。
私自身 or 当社では、コンサルティング、メンタリング、講師、ファシリテーター、事務局、営業等、それぞれのスタッフやパートナーが、『クライアントとどのように関わる』のがよいのか、「本当にこれでよいのか」、「もっとよい方法があるのではないか」と試行錯誤しています。多くの人からフィードバックをもらいながら、常に自分たち自身に問いかけながらよりよいコミュニケーションを実現していきたいと思います。
『ファシリテーターは卵をしっかりと抱いて温めて、時期が来たら殻を外からコツコツ』する、そして、『信じて待つ…』うーん、難しい…。
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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹