異業種交流研修に参加させたく / したくなる おすすめの書籍

現在、私たちの会社では、来年度に向けて、異業種交流研修をお勧めする機会が増えています。今回は、異業種交流研修への参加を検討している方、あるいは社員を送り出す立場の人事・管理職の方に向けて、越境学習をテーマにした3冊の書籍を紹介します。研修前に読んでおくことで、現場での気づきがより深く、鮮明になるはずですので、送り出し側、参加側、両方とも参考になると思います。

① 『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』
著:石山恒貴・伊達洋駆(日本能率協会マネジメントセンター

日本の人事部「HRアワード2022」書籍部門最優秀賞を受賞した、越境学習分野の教科書的な一冊です。著者の石山恒貴氏はNECやGEを経て法政大学大学院教授に転じた越境学習研究の第一人者で、共著の伊達洋駆氏はビジネスリサーチラボ代表として組織・人事コンサルティングに携わる研究者です。学術的な裏付けを持ちながらも読みやすく、「理屈で納得してから動きたい」タイプの方に特に向いています。

越境学習とは、個人にとって居心地のよい慣れた場所であるホームと、居心地が悪く慣れない場所だがその分刺激に満ちているアウェイとを往還することによる学びのことです。越境学習者は、アウェイで違和感を抱き、葛藤や無力感、もどかしさを味わいますが、それを乗り越えた結果、前提を疑い、不確実な状態に耐えられるようになります。研修の場で感じる「居心地の悪さ」が実は学びのサインだと理解できると、異業種の方との交流に対する向き合い方が変わってきます。「研修に意味があるの?」と半信半疑な方にまず読んでほしい一冊です。

② 『越境人材――個人の葛藤、組織の揺らぎを変革の力に変える』
著:原田未来(英治出版)

サッカーの「レンタル移籍」に着想を得て企業間越境プラットフォームを事業化し、NTTやトヨタ自動車といった大企業グループ、官公庁など延べ150社・1200人以上に越境機会を提供してきた第一人者である原田未来氏による、2025年9月刊行の実践書です。越境のメリットや効果だけでなく、戻ってきた人材をどう活かすかまで網羅しており、参加者・受け入れ側・人事の三者それぞれに刺さる内容になっています。

本書の特徴は、越境した「その後」に正面から向き合っている点です。復帰後に希望とは異なる配属だったり、学んだことを発揮する機会がなかったりといった越境者の不満がある一方、「どう評価すればいいかわからない」という組織からの相談も寄せられるといいます。研修前にこうした現実を知っておくことで、「帰ってきたら何をしよう」という具体的なイメージを持って参加できます。研修で何かを掴んで帰りたい方、越境人材を迎える管理職・人事の方に特にオススメです。

③ 『「越境企業」のはじめ方』
著:瀬戸口航(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

大手企業を中心に若手・次世代リーダーの人材育成に十数年携わってきた瀬戸口航氏による一冊です。基本的には経営者や人事担当者に向けて書かれた本ですが、同時に若手社員に向けた「越境学習のすすめ」としても読むことができ、幅広いビジネスパーソンに有用な気づきが数多く含まれています。3冊の中で最も読みやすく、「越境ってそもそも何?」という入り口に立っている方に最適です。

越境による一番の効果は、自分の前提を見直すことです。いつもと違う場所、違う人たちと違う課題に取り組む中で、それまで自分が当たり前だと思っていた前提や価値観が通じない。そこで恥ずかしさや苦い思いをすることで「混乱するジレンマ」を味わい、内省することで、それまでの課題認識の見直しや、自分のやりたかったこと・得意なことが再認識できるという効果があります。異業種交流研修の場で感じる「自分の常識が通じない感覚」を、成長の起点として前向きに受け取るための視点を与えてくれます。

3冊に共通するのは、外の世界に出て「違和感」を抱くことそのものに意味がある、というメッセージです。どの書籍もわかりやすい内容ですが、理論的に越境を理解したいなら①、組織での実践事例を知りたいなら②、まず読みやすく入りたいなら③、という使い分けが一つの目安です。研修前の予習として1冊手に取るだけで、研修当日に感じる「違和感」や「戸惑い」の受け取り方が変わってくるはずですので参考にしてみてください。

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株式会社アイディアポイント
管理本部
高橋佑季

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