実際の研修で目にした、管理職の中で「変化する人」と「変化しない人」の決定的な違い

初めまして、アイディアポイント尾﨑です。営業として入社して早1年、様々な企業さまの管理職研修に立ち会いました。

研修会場の後ろの席で観察していると、現場で劇的に変わる管理職と、残念ながら変われない管理職の間には、その姿勢や行動に決定的な違いがあると感じました。

本記事は、私が実際に現場で耳にした管理職のリアルな発言 / 目にした様子を交えながら、劇的に変わる受講者に見られる3つの特徴をまとめています。

日々、「研修での学びを、いかに現場の具体的な行動や変化に結びつけるか」と試行錯誤されている人事・人材開発担当の皆さまに向けて、研修現場の実態を紐解くとともに、研修の設計や運用で仕掛けられる具体的なヒントをお届けできれば幸いです。


目次

特徴1 : 研修が始まる前に「目的とゴール」を確認して準備している

現場で劇的に変化する受講者と、残念ながら変われない受講者。その最初の分岐点は、特別な能力やスキルの違いではありません。「研修が始まる前に、会社がなぜこの場を用意したのかという目的を確認し、準備が出来ているか」という、シンプルな姿勢の差から始まっています。

当然のことながら、人事や人材開発の担当者さまは、何かしらの想い(=目的とゴール)を掲げて研修を企画・実施されています。「この研修をきっかけに現場のマネジメントを変えたい」、「今の組織のここが課題だから、みんなに集まってもらった」という、会社からの切実なメッセージがそこには込められているはずです。

その反面、担当者さまが真剣に考えて作られる研修に対して、現場から「研修なんてやる意味ないだろう」という声を聞いたことはないでしょうか。あるいは、ご自身が現場で業務をされていた時代に「なんで今さら研修なんて受けるんだ」と口にした経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

現場で変化しない管理職の方は、あからさまに口に出さずとも、「行かされている感」が透けて見えることが多々あります。講師の話そっちのけでスマートフォンを操作されている方、グループワーク中にも険しい顔のままメールを書かれている方もいらっしゃいました。研修前後の課題に関しても、提出期限を大幅に過ぎてしまったり、当たり障りのない簡素な内容で済まされてしまったりと、後ろ向きな姿勢はどうしても表れてしまいます。

一方で、現場で変化する管理職の方にそういった姿勢は見られません。もちろん、忙しい中、時間を取ってきていることは彼らも同じですが、「会社がわざわざ貴重な時間と予算を割いてこの場を用意したということは、組織として解決したい課題があって、自分たちにそれを期待しているんだな」という目的を事前に確認し、必要な準備を整えて参加されています。だからこそ、「それなら、まずはこの時間に真面目に向き合ってみよう」という姿勢が自然と生まれ、その後の研修の内容を受け止める準備が整うのです。

受講者にこの姿勢を持ってもらうためには、研修が始まる前からの関わりが鍵を握ります。

人事担当者さまにぜひやっていただきたいのは、研修案内の段階で「なぜこの研修を行うのか」、「何を期待しているのか」という目的とゴールを、受講者本人や、上司や周囲のメンバーにもしっかりと伝えておくことです。

周囲の理解を得ておくことは、新たな取り組みに向かう受講者さまをサポートする意味でも重要です。


特徴2 : 他人事にせず「自分の姿」を省みている

研修の中でも受講者の変化を分ける大きなポイントがあります。それは、素直に自分の足元を振り返られているかという内省の差です。

デイビッド・A・コルブ氏が提唱する「経験学習モデル」でも示されているように、人は「自分の現在地」を客観的に認識(内省)して初めて、経験を本当の成長へと昇華させることができます。(経験学習サイクルに関してはこちら

実は、「真面目に研修に向き合っている」ように見える受講者の中にも、この内省のフェーズで成長の足踏みをしてしまう方がいます。

以前、ある研修で非常に印象的な方がいました。ベテラン管理職のAさんは、研修の振り返りで、このように共有をされていました。

「自分は日頃から部下との『対話』や『傾聴』を意識してやっている。だから最初はこの研修なんて必要ないと思っていたが、他のメンバーのマネジメントの現状を聞いて、組織としてやはり必要なんだと納得した」

一見、全体を俯瞰し、研修の目的にも「納得」した素晴らしい受講者に見えます。しかし、その日の研修中に様子を見ていた私は異なる印象を持ちました。

Aさんはワーク中、真っ先に「自分は部下の話もよく聞くし、自分の職場ではメンバーが話しやすい雰囲気なので、この研修をやる意味が分からない」と持論を展開されていたものの、周りの管理職の方々が現場でのリアルな課題感を話されている際に、話を遮り「そんなことはうちの現場では見たことがない」と一蹴していて、周りの方々は、苦笑いを浮かべ、どんどん話しづらそうな表情になっていくばかり。もしかすると、他の方々は心の中で「あなたのその威圧的な態度が、現場の部下を萎縮させている、課題そのものなのでは…?」と思っていたかもしれません。

最終的にAさんは、「まぁ、他の人にとっては、この研修は必要なのかもしれない」と考えたようでしたが、肝心の自分自身の現状、つまり、自分や自分の職場、自分の態度が周囲に与えている影響に関して、内省することは最後までなかったようです。

研修に真面目に向き合っているように見える方であっても、学んだヒントを「一般論」として他人事に捉え、「変わるべきは周りだ」と内省を止めてしまう人は、それ以上の変化は望めません。

一方で、劇的に変化する管理職の方は違います。Aさんと同じ研修に参加されていたBさんは、グループワークの中で、ハッとしたように、「先週の面談、良かれと思ってあれこれアドバイスしたつもりになって話を遮っていた。本当の意味での傾聴は出来ていなかったのかもしれない。」と、講義の内容と自分自身の行動を比べていらっしゃいました。

完璧にできていない自分を認め、研修の内容を自分事として受け止める内省があるからこそ、研修の場が本当の気づきの場に変わるのです。

受講者に「自分の現状」と素直に向き合ってもらうためには、客観的に自分を振り返る「仕掛け」が必要です。

グループごとにワークを行う場合は、率直に意見を言い合える関係性のメンバーを揃えたり、異なる部署の視点を交ぜたりと、社内事情をよく知る人事の皆さまだからこそできる配置をしていただくことで、対話の質が大きく変わります。

研修の設計上の工夫としては、研修中のワークに限らず、事前・事後の課題や、サーベイの活用などにより、随所に客観的なフィードバックを得る機会を意図的に設けることや、素直な疑問や意見を言いやすい空気づくりのできる講師をアサインすることもポイントです。受講者が安全な環境で「自分の現状」と向き合える場を設計することが、変化への一歩をつくると考えています。


特徴3 : 頭で悩むより、まず動いて「現場のリアクション」を得ている

最後に、変化を決定づける最も大きな特徴があります。それは、研修で学んだことを現場で試す際、「意識だけで終わらせず、実際に行動して『現場のリアルな反応』から学んでいる」ということです。

現場で実践する際の「難しい」の正体は、スキルの高さではありません。「こんなことをして本当に効果があるのか?」、「わざわざやるのは面倒だし、部下から急に変なことを言い始めたと思われたくない」という懐疑心や面倒くささといった違和感です。

変わらない受講者は、「忙しい」、「うちの現場には合わない」と理由をつけて納得しないまま行動を避け、いつもの慣れ親しんだ行動に留まってしまいます。

一方、現場で劇的に変化する管理職の方は、 「本当に効果があるのだろうか」と半信半疑の葛藤や面倒くささを抱えながらも、「まあ、試しに一度やってみるか」と一歩を踏み出します。

実際に、私が担当した研修でも、このような素晴らしい変化がありました。その研修では次回まで課題として「部下とのビジョン対話(部下と5年後の組織のありたい姿を語り合ってくる)」を提示したのですが、研修当日の時点では「ビジョンなんてよくわからないし、きっと部下だって困惑するだけだろう」、「そんなことをやっても何も変わらないのでは」と、やや冷めた様子で硬い顔をされている管理職の方が少なくありませんでした。

しかし、この「とにかくやってみる」タイプの受講者たちは、半信半疑ながらも研修後の実践期間中に、部下とのビジョン対話を現場で実行に移したのです。

すると、実践期間を経て行われた次回の研修日。彼らの表情は、前回とは打って変わっていきいきとしたものになっていました。

「じっくり対話をしてみたら、部下が想像以上に会社の未来や自分のキャリアを深く考えていることに気づけた」、「こんなにちゃんと話をしたのは初めてで、相手もすごく嬉しそうだった」

研修で必須としていた1名との対話にとどまらず、職場のすべての部下と対話を実施し、ひとりひとりのキャリアや価値観について知ることが出来た、とお話されていた方もいらっしゃいました。

彼らが変わった最大の理由は、単に行動したからではありません。半信半疑でも動いたからこそ得られた『部下のポジティブなリアクション』という手ごたえによって、自分の固定観念が覆される強烈な学びを得たからです。

どれほど頭で悩んでも、リアルな手応えは手に入りません。「まずやってみて、その結果から学ぶ」というサイクルを回せた人だけが、本当の自信を得て次の主体的な変化へと向かっていくのです。

そのためには、受講者が「半信半疑」の壁を越えて試行錯誤のサイクルを回すには、周囲の巻き込みと関わり方が不可欠です。

マネジメント研修の多くは「対・部下」の実践だからこそ、「周囲(部下や上司)への働きかけ」と「小さな変化への承認」が重要です。部下側にも「今、上司が研修で新しい関わり方を試している」という趣旨をオープンにしておくことで、部下側も前向きに受け止めやすくなります。さらに、受講者の行動に少しでも変化が見られたら、周囲や人事の方から「最近〇〇さん、変わりましたね」と声をかけてあげること。この小さな変化の承認が、次の行動への大きなモチベーションになります。

設計上の工夫としては、一回の研修で劇的な変化を起こすのは難しいという前提に立ち、「実践と振り返りを挟む、ある程度の期間をかけたプログラム設計」をすることが重要です。もし予算やスケジュールの都合で長期プログラムが難しい場合でも、研修後にアンケートや課題シートを活用し、受講者が現場で挫折せず「やってみて学ぶ」サイクルを回し続けられるフォロー体制の構築が必要です。


まとめ – 目的を理解し、内省し、とにかくやってみる

研修を後ろで見ている中で感じた、現場で劇的に変化する受講者に共通する3つの特徴。それは、特別な才能ではなく、「目的を理解し、内省し、とにかくやってみる」という、学びに向き合う姿勢と行動の差でした。

もう一つ強く感じたことがあります。それは、受講者の皆さまがこの「変化するための姿勢」を持って研修に臨めるかどうかは、研修当日だけの問題ではなく、「研修の設計段階から、この3つの特徴をいかに仕組みとして組み込んでおくか」がとても大切だということです。

当社では、日頃からこの3つのポイントを意識して研修を設計し、お届けしています。「自社の研修、受講者の行動変容につながっているだろうか」、「現場の管理職に『とにかくやってみる』スイッチをどう入れればいいか悩んでいる」という人事担当者さまがいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。目的のすり合わせから、現場での実践を後押しする仕組みづくりまで、一緒に考えさせていただけますと幸いです。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
営業部
尾﨑 七海

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