AI活用の現在地(備忘録)

アイディアポイント岩田です。本年もどうぞ、よろしくお願いします。さて、年末年始にAIの活用!ということで、実務に関わるあれこれを取り組んだので、現時点の感想を記載しておきます。1年後には笑い話になっているかもしれませんが、2025年1月のリアルということで…できるだけリアルに記載しておこうと思います。


目次

相談相手、簡単な文章を書く分野では、やはり、AIは破壊的!

もともと、ChatGPTを使って、議論したりはしていたのですが、12月から有料サービスを利用して、本格的に業務に活用しています(正確には、業務に活用することを実験している…くらいでしょうか)。そして、やはり、『ざっくりした指示で、文章を作ってくれる』その能力は、大したものだなと実感しました。具体的には以下のようなタスクで使っています。

  • 本格的な調査や企画前の雑談相手。『〇〇は一般的にはどう言われていますか』、『〇〇を議論するときに論点になるのは何ですか』、『〇〇を企画するときに必要な項目を挙げてください』など
  • ブレストの相手(アイディアを出してもらうことがほとんど)。『〇〇のアイディアを100個挙げてください』など
  • 簡単なメール文章のドラフト作成。『簡単なお礼のメールを作ってください』

気軽に気にすることなくコミュニケーションする相手とてしてのAIは既に十分な機能があると思います。


やや複雑な文章や厳密に書きたい文書に関してはもう三歩?将来に期待したいところ

今回、トライしたのはここです。実際に私たちが日々、クライアントに提出する文書、文章の作成にどのように活用できるのかを試しました。実際に、私たちとしては、ここに活用できないと成果がでないので、ここがAI活用の本丸です。世の中で言うところの、「顧客への提供価値」部分です。

実際に、いくつかの業務について試してみたところ、AIの活用には、まだまだコツやノウハウがあるなと感じました。実際に、現在の私の実力(サービスの選び方やプロンプトの書き方など)では、ここまでが限界だと感じました。きっと詳しい人ならばもっとうまくやれると思いますので、今回は、「普通の人ならこんなものか」と思って読んでもらえばうれしいです。


明確に手順化できるところは、人間より優秀。十分、任せられる

社内で手順化、ルール化しているものは、AIを活用しない手はないでしょう。多少の判断が入るようなものでも国語の問題であれば、相当、正確に対応してくれます。

  • 誤字、脱字のチェック
  • 表現のユレ、微妙な表現 など、社内ルール上問題のある部分のチェック

もうここはAIチェック→人間確認 で十分だと判断しました。


『まとめる』、『抽出する』作業は、十分、信頼できる

私たちの仕事の中で、『大量にある文章をまとめる』、『その中からキーワードを抽出する』、『傾向をまとめる』、『全体の中から興味、関心のあるものをまとめる』等、情報を『まとめる』、『抽出する』作業は意外とあります。これに関しても、AIの精度はなかなかよいと思います。

  • アンケートの集計、まとめ。研修の実施前後で、アンケートをとる機会は意外と多いものです
  • 事前課題、事後課題をまとめる、傾向を抽出する
  • △ : 会議メモ、セミナーの記事作成用のまとめ

アンケートの集計は十分、使えると感じました。△にした会議メモ、セミナーの記事作成用のまとめは現在、研究中です。まるで話にならないわけではないものの、やはり、まだまだだなと感じました。おそらく、もう少し詳しい人なら上手に指示して、もっと楽にスムーズにスマートにできると思うのですが… もう少し精進したいところです。


『評価する』、『判断する』は、まだまだ、私が使いこなすのは難しいところ

今回、一番、時間を使ったものの、どうしても上手にできなかったのが、ある文章を読んで、『評価する』、『判断する』作業です。入力の情報、出力、判断基準の情報もいろいろと工夫はしたものの、イマイチ、上手に作れなかったというのが今回の結果でした。

『判断基準』はルーブリック評価という各点の基準を設けて、その基準に沿って評点をつけるという方法でやっています。ちなみに、ルーブリック評価もAIさんにお願いすると作ってくれます。ChatGPTで作るとこんな感じです↓

私 : 管理職に求められるリーダーシップについて、ルーブリック形式で5段階で評価基準を作成してください

ChatGPT
管理職に求められるリーダーシップ評価基準(ルーブリック)

評価項目1(未達成)2(一部達成)3(標準)4(優秀)5(卓越)
ビジョンの提示組織の方向性を示さず、目標が不明確ビジョンを示すが、一貫性がなく伝達不足組織の目標を明確にし、適切に伝えている魅力的なビジョンを示し、部下の共感を得ている組織の未来を見据え、周囲を巻き込んで実現に導いている
意思決定判断が遅く、不明確な決断を下す一部の決定が不適切または曖昧データと経験を基に適切な判断を行う戦略的な視点で迅速かつ的確に判断する高い洞察力で革新的かつ影響力のある決断を下す
コミュニケーション部下や関係者との意思疎通が不足情報共有が不十分で誤解を招くことがある明確かつ適切なコミュニケーションを行う双方向の対話を促進し、チームの理解を深める高度な対話力で信頼関係を構築し、組織の結束を強める
チームマネジメントチームの統率が取れず、士気が低い部分的なマネジメントはできるが、課題が多い適切な管理でチームのパフォーマンスを維持部下の強みを活かし、チームの生産性を向上させる変革を促し、メンバーの成長を最大限に引き出す
問題解決力課題を放置し、対応が遅れる問題に対処するが、解決策が不十分論理的に分析し、適切な解決策を講じる創造的な手法で効果的に課題を解決する先を見越した戦略で根本的な課題を解決し、組織を成長させる

このルーブリックを活用することで、管理職のリーダーシップを定量的に評価し、具体的な改善点を明確にできます。必要に応じて、組織の特性に合わせてカスタマイズしてください。

と言いながら、様々なデータを見せて出力してもイマイチ上手に評価できていないように感じる…ここはまだまだ、工夫しなくてはいけないところです。本当は、受講者の評価や講師の評価、研修の評価に使いたいのですが… ここはこれからの課題です。今回は時間オーバーでした。


現時点で感じる課題は①手前の問題、②AIの限界、③自分のスキルの問題
(これは誰か解決してくれないかな)

今回、まとめた時間で作業した今後の課題をまとめておきます。おそらく、急速な勢いで解決されていくと思いますが、現時点で感じることをメモしておきます。

手前の問題 – 人間がちゃんとデータを用意しておかないとダメだろ

今回、一番、苦しんだところです。人間は意外とダメです。アンケート書かない人いるし、氏名のところに部署書く人いるし、文章が意味わからない人もいる… きれいなデータを用意するのが大変すぎる!データサイエンティストのみなさん、毎日、お疲れさまです(多分、大変なんじゃないかと)。こういう人間が原因のエラーもこれからカイゼンされていくのでしょうが、ここは本当に大変でした。私も今度からデータは丁寧にいれることにします。いつも、すみませんでした

②AIの限界 – AIが抱える構造的な問題。便利な反面、それが裏目にでることも

今回、AIを使いまくって感じた不便な点は以下の3点です。

  • 再現性のなさ。プログラムではないので、毎回、違った回答が返ってきてしまう。何らかの理由で戻って作業をやり直すと、また、違うアウトプットがでてきてしまうので、他のデータと整合性が微妙に…ということが起こってしまう
  • 「なぜ、そうなるのか」が説明できない。これも企業向けビジネスとしては結構、つらいところで、文章は出てくるものの「それが妥当なのか」の説明ができないところは構造上仕方ないものの「こんなのでました。信じるか信じないかはあなた次第です」というのは、うーん、まだ、抵抗があります。将来は、AI様が言うことは絶対!といえるのだろうか…
  • よくわからないものでも「勝手に適当なことを言う / 平気で嘘をつく」。情報が少なくても力づくで文章を作ってしまうので(それもある程度、できのよいものを)、きちんと見ていないとトンデモナイ嘘を書いてある可能性があります。この辺は怖いですね

自分のスキルの問題

今回、いろいろな作業をしてみて、「ここは詳しい人ならもっとうまくやるのだろうな」と思う場面がありました。ここも誰でもできるようにこれから進化していくのでしょうが、自分としてはとても苦労したところなので、書いておきます。

  • プロンプト(指示の出し方)の問題。ここが詳しかったら、こんな問題はもう少し解決したのではないかと思います
    • 思った内容でデータが出てこない
    • 思った形式でデータが出てこない
    • 出力するたびに内容や形式が違う
    • 実験しながら追加で指示しているうちに、わけがわからなくなる。まとめた指示が作れない

  • データの形式、ファイル間のデータのやり取り。ある程度まとまったデータを扱おうとするとWord、Excel、AIサービスを行ったり来たりしなくてはいけなくて、そこで結構、ミスしたり、わけわからなくなって頭抱えたりしました。ファイルを作って名前変えて等、おそらく、GASやVBA使えばサラサラできるのだろうなと思いつつ…こういうのをスマートに設計できるようになりたいところです。実はプログラミングが先でその中にAI使うように考えないといけないのではないかと思ったりもしました。さて、自分の能力でどこまでできるのか。知識がなくてもできる世の中に早くならないかな…

今回は、年末年始に研修に関連した業務のAI活用にして検討した結果をメモしました。来年になれば驚くほどの進化をしていることでしょう。多分。それ以外の業務に関しても、現在、DX検討中です。サービスが驚くほど進化しているので、来年以降が楽しみです。最後までお読みいただきありがとうございました。

最後になりましたが、株式会社アイディアポイントと日本イノベーション協会、本年もどうぞよろしくお願いいいたします。 <(_ _)>

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株式会社アイディアポイント
代表取締役社長
岩田 徹

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