見落とされがち(?)な入社2年目社員向けプログラム

みなさんこんにちは!このブログを書いているのは2021年の6月中旬です。本年もありがたいことに新入社員研修をご発注いただきまして、今は講師としての登壇のピークが過ぎ、ひと段落着いたところです(私、講師としても活動しています)。新入社員のみなさまは、正式に配属され本格的に社会人としてのスタートを切っているか、または今後正式配属を控えている場合は、内示を待ってドキドキしている頃かと思います。


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今年の新人社員は受け入れ準備も万端、新入社員研修もスムーズにスタートすることができた

講師を務めた印象は、総じてとにかく優秀で素直であり、「デジタルネイティブなZ世代」などと称されつつも、感情も表現も豊かだったな、というものです。

また、学生時代からコロナを経験しているためか、オンライン講習に慣れており、加えて「オンラインでのコミュニケーション」にも慣れていることがうかがえました。昨年度は教材に必ず「オンライン講習における注意事項」といったスライドを挟み、冒頭に諸々説明していました。今年度も同様にしましたが、ほぼ不要だったかなというほど、オンライン慣れしているように感じました。オンラインでのグループワークも非常に上手で、ファシリテーションもスムーズ。オンラインプレゼンもハイレベルでした。

新入社員に関しては、基本能力も高く、オンライン環境にも耐性があり(というかもう普通のこととしてとらえており)、それでいて情緒面もしっかりしていそうなので、今後職場での1on1、振り返り研修等を含めてどのようにフォローして1人前にしていくかがカギになっていくことでしょう。

実は、同様の傾向は、研修の窓口となっている人事部門の皆様にもうかがえました。人事の皆様ご自身もオンラインに慣れており、準備などにおいても、ヌケ・モレなく、スムーズに進行した印象です。昨年度必ず発生していた「集合形式で企画しているのだけど、急にまた〇〇宣言が出たらどうしよう・・・」などという迷いはなく、「最初からオンライン形式をベースとして企画する」「集合形式と比較すること自体にあまり意味はなく、一長一短があることは当たり前」と、ある意味割り切って準備されていたようです。

とは言え、学生時代からオンライン慣れしている新入社員を相手にするわけですから、まず大学とのオンライン体制を比較されたことでしょう。また、彼ら彼女らの世代の「ヨコのつながり・ネットワーク」はそれなりに強力で、他社と比較され、さらにすぐに拡散する、といったこともあったと思われます。実は人事部門の皆様には、かなりプレッシャーがあったのではないでしょうか


6月以降は職場でのフォローとOFF-JTの設計が重要

それでは現在の人事部門の皆様の動きはどのような様子でしょうか?新入社員を配属先に送り出して、ホッと一息・・・つく間もなく、今度は内定者対応に追われているかもしれません。

そもそも昨今では、DX人材育成、DI対策、グローバル人材育成、シニア対策、エンゲージメント対策・・・といった課題が山積している状態だと思われます。お取引先の皆様とお話しすると、これらに加えてとりわけマネージメント層によるコミュニケーションに関する課題意識が大きいようです。この課題は、コロナ禍によってハッキリと浮き彫りになったように思われます(つまり、そもそもコロナ「前」からマネージメントやコミュニケーションに問題があったのだけど、「会って指導できない」「ICTツールを使いこなせないとお話にならない」といった環境に置かれたことで、まさに文字通り「課題が浮き彫りになった」のではないかと考えています。この話は今回ここまでとします)。

ということで、人事部門の皆様は、またまた大忙しというところでしょう。こうなると、人事部自体が「『すっかりDX』した時代」に合わせて、データの収集・活用、オンラインとオフラインのベストミックスを行って進化していくことになるかもしれません。(こうした進化の過程にある時期は、またまた忙しい・・・)


そこでふと思った。入社2年目社員は今どのような状態なのだろうか?

私、昨年度も新入社員研修に登壇していました。あらゆる事象が今と比較しても圧倒的に不安定な環境下で、当時の新入社員の皆様は懸命に研修を受講していました。おそらく全体的なプログラムも不安定だったと思いますし、ツールをはじめとした環境も整っていなかったかもしれません。そもそも「ワクチン」という具体的に希望につながりそうなワードもなく、周囲の企業や店舗が続々休業。友人たちが就職した企業、親族の勤務する企業のことなどについても不安だったでしょう。そもそも新社会人になること自体が不安な上、生きていけるのか?生活していけるか?といったことまでとても不安だったことと思います。たった数日講師をしただけですが、それでも今でも当時の受講者、つまり今の2年目社員のことが大変気になっています。

配属後は、元から職場に所属している先輩社員たちも同じく不安定な環境にいるため、一緒にバタバタしながら、人生初の本格的な「仕事」に臨んだことでしょう。

しかし、職場で「コロナ前」を知らないのは自分たちのみ。それどころか「社会人」としての経験もない。何かの折に他の職場のメンバーが「コロナ前」をイメージして行動する際に、その輪に入れなかったのではないでしょうか?何気なく交わされる「コロナ前」に関する会話に、ついていけない。

そうこうしているとあっという間に月日が流れ、「弟や妹」たちが配属となり、自分たちはもはや「末っ子」ではない状態です。「ギリギリリアルな研修と職場を経験ができて、リアルな人間関係を作り、体で仕事覚えられた3年目社員の先輩」と「きちんとオンラインを準備した状態で受け入れられた状態の新入社員」の間に挟まれて、下手すると『被害者』だと思っているかもしれません。そう、「若手」とひとくくりにされそうなこの3世代は、たった1年違いであるものの、実は全く違う状態にあり、特に2年目社員の心理面を思うに、とても心配になるわけです。


2年目社員が抱える不安と彼ら / 彼女らに必要なこと

以下のStepで考えてみました。 

  • とにかく気にかける。そして、「気にかけている」ということをメッセージとして発信する
  • 「話す機会」「交流する機会」を設定する
  • その機会を通じて2年目社員から発せられた「不安」や「課題意識」、「彼ら / 彼女らが知りたいこと」に、丁寧に対応する

ちょっとした座談会やイベントでも構いません。「後輩のために一肌脱ごう」という心強い先輩社員は、かならず社内にいるはずです。

そして2年目社員が不安に思っていること、気にしていることは、先輩社員からみると案外些細なことかもしれません。その「些細なこと」を聞いてもらえること自体が、2年目社員にとってとても重要なのでしょう。また、身近な存在として、3年目社員をとても頼りにしているというお話を聞いたこともあります。しかしこれは、単に自分から話しかけられる年次の社員が、とても限られてしまっているだけかもしれず、2年目社員の苦戦を象徴しているのかもしれません。

ちなみに某テレビ局は、2年目社員向けに、わざわざ今年入社式を行ったそうで、その局のアナウンサーが嬉しそうにSNSに投稿していました(昨年度実施できなかった模様)。そこまで大がかりじゃなくても、とにかく「気にかけている」という想いが2年目社員に伝わることが重要だと思います。

実際、ある企業では具体的に2年目社員と先輩社員の交流機会に関する企画を考えており、ご相談をいただいております。この企画を担当されている方の想いはとても熱く、画面越しに熱気が伝わってくるほどです。


2年目を「コロナ入社」世代、「特殊な」世代、「かわいそうな」世代にしない

ここまで2年目社員はさぞかし不安だろうということを書いてきました。今後メディアなどで「〇〇な世代」のようなネーミングをされてしまうかもしれません。さしずめ「失われた~」とか「谷間の~」とかのように、特殊でかわいそうなネーミングをされてしまうかもしれません。しかし、決して彼ら / 彼女らは「かわいそうな存在」ではありません。また「かわいそうな存在」にしてはならないと思います。

しかし!何も手を打たないと、そのような世代になってしまうかもしれません。講師を務めた者として、そんな状態になってほしくないです。前述のように、人事部門の皆様には課題が山積していることは重々承知しておりますが、何らかの手を打ちましょう。当社では、最近、急にご相談いただくケースが増えており、検討中の施策がたくさんございます。ご要望があれば情報提供させていただきますのでお問い合わせください。

最後に。歴史上唯一の「コロナ禍が発生した年度の入社・配属世代」である2年目社員は、トラブルに強く、人の心が分かる世代になってくれると、個人的に期待してやみません。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイント
企画開発部

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