おもしろいアイディアを出したければ「普通」からはじめよう

アイディアポイント岩田です。先日、久しぶりにアイディアの発想方法に関する講演を行いました(最近は、ビジネスプランを作成したり、具体的な技術の事業化について議論したりという内容が多かったので)。

そこで、「そんなに新しいアイディアは出ない」、「イノベーションなんて思いつかない」、「おもしろいアイディアなんて出ない」という悩みを聞いたので、今回は、おもしろい?新しい?アイディアの出し方について解説します。


目次

ところで、「おもしろい」、「新しい」アイディアって何だろう?

なんとなく「おもしろい」、「新しい」と感じるアイディアがあると思いますが、その「おもしろい」、「新しい」とは何でしょうか?自分が今まで聞いたことがなければ、「おもしろい」、「新しい」のでしょうか?だとすると、「(悪い意味で)突拍子もない」、「バカげている」、「非現実的、妄想」アイディアと「おもしろい」、「新しい」アイディアの違いは何でしょうか?

「おもしろい」、「新しい」アイディアとは、正確に表現すると

普通とは『ちょっと違う』アイディア

のことです。もう少し正確に表現すると「普通」のありきたりのアイディアではないものの、よく考えてみると現実的で十分理解できてユニークなものということになります。

なので、「おもしろい」アイディアを考えようとするときに、「斬新な」、「誰も考えたこともない」、「ぶっとんだ」ものを考える必要はありません(そのようなアイディアがどんどん出てくる人はそれで構いませんが)。まずは、普通と『ちょっと違う』ところを狙ってみることがスタートです。


普通とは『ちょっと違う』アイディアは、『普通のアイディア』から出す

それでは、その普通とは『ちょっと違う』アイディアはどうやって出せばよいのでしょうか?これには方法があります。最初に『普通の』アイディアを出して、それを意図的に変形させれば(ちょっと変えれば)、『普通でない』アイディアができあがります。これで完成です。

とても単純に見えますが、非常に効果があります。発想技法に詳しい方であれば、様々な発想技法はこの構造になっていることに気がつくと思います。発想技法を単純化すると… 

  1. テーマや問題、アイディアを設定する
  2. をなんらかの方法で強制的に制約をかける(例えば、反対にしてみるなど)
  3. それを元にアイディアを出す

これだけで『普通とは違う』アイディア、すなわち、「おもしろい」、「新しい」かもしれないアイディアが作れます。

当社の研修で実施しているワークを紹介します。下記のようなスライドを使用して『普通』を書き出してから、それを反対にして、そこから発想するという手順を踏みます。

例えば、『普通の新人研修』はプログラムが用意されている、朝始まって夕方終わる、講師が新人に教える、終わったら日報を書く、社会人の心構えを教えるなどこれらを反対にすると、プログラムを新人が毎日選ぶ、夜始まって朝終わる、新人が講師に教える、始まる前に日報を書く、社会人の心構えを考えるなどひとまず、思いつくままに反対にして表現していきます。

このように何かおもしろいアイディアが浮かびませんか?というワークに取り組みます。このワークを実施すると、これまで全くアイディアが出てこなかった方でも、嘘のようにどんどんアイディアが出るようになります。簡単なことですが、効果は非常に高いので、時間を見つけて試してください。


バカにしてはいけない『普通』がわかる力 – 何が『普通』なのかを見極めよう

実は、あるアイディアが「おもしろい」のかそうでないか判断するためには、何が「普通」なのかを理解している必要があります(そうでないと、そもそも変わっているのかそうでないのか判断できません)。

「普通」とは、実は、「世の中の多くの人がそう思うもの」のことです。なので、明確にわかるものではないため、「多くの人がどう感じるかわかる」、「大体そうだろうなというところを外さない」ことがわかるかどうかが重要です。

たまに、「自分が思うこと」=「普通のこと」になっている人がいますが、これは、ほぼ間違いです。自分が世の中の多くの人からずれている可能性も視野に入れておいてください。

世の中の「普通(多くの人が思うこと)」の方が調べたり、感じたりすることは容易です。普段から、「自分はこう感じるけど、一般的にはどうなんだろう」、「自分はこう考えるけど、一般的にはどう考えるんだろう」、「自分はこうしたらよいと思うんだけど、みんなはどうするんだろう」という観点で世の中を見ていれば、情報としても感覚として比較的身につけやすいと思います。


今回は、アイディア発想の際に「おもしろい」、「新しい」アイディアを考えるためには、まず、「普通の」アイディアを把握することからスタートしましょう。そのために、普段から「何が普通なんだろう?」と考えてみるとよいのではないかということをお話ししました。いきなり「おもしろい」、「新しい」アイディアを考えるよりも心理的なハードルも下がるのではないでしょうか。プレッシャーに感じたときには、まず、「普通」からはじめてみてください。

余談ですが、当社も運営面では必ず「普通(世の中の平均的な内容)」から議論をスタートしています。コロナ禍における研修の運営方法、パートナーへのお願い、リモートワークの実施、リアルの研修、コンサルティングサービスの実施上のルールなど、新たに対応を決めたり、意思決定したりすることは多くありますが、すべてをゼロから発想しているわけでも、常に、アクロバティックな施策を考えているわけではありません。また、世の中の相場(普通)なしで、いろいろなことを決めていくとわけがわからなくなるので、必ず『普通』を押さえた上で、意思決定するようにしています。『普通』は『世の中のコンセンサス』でもあるので、今より少し重視してみるとよいのではないでしょうか。

 本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームより連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

株式会社アイディアポイン
代表取締役社長
岩田 徹

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