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BtoBビジネスでは「顧客」をどうとらえたらよいか?


 
 

「BtoBビジネスでは『顧客』をイメージしにくい」のでしょうか

 
新規事業開発のための「デザイン思考研修」や「ビジネスプランニング研修」の講義を行っている際、受講者のみなさんから「私は(当社は)BtoBビジネスを展開しておりまして、どうしても『顧客』をイメージしにくいのです。どうしたらよいですか?」というご質問をいただくことがあります。「~ことがあります」というより、ほぼ必ず数名からご質問をいただきます。研修以前の段階で、当社営業担当者がクライアント企業の窓口担当者様と研修について論議する場面においても同様のご質問を頂戴することもあるようです。

中には、「『法人』という、ヒトの集合体で顧客をイメージすればよいのですよね?」とか、「私たちの顧客はあくまで『企業』であり、そこでビジネスが完結するので、その先のエンドユーザーはイメージしなくてもよいですよね?」といったコメントが出ることもあります。

これからBtoBビジネスにおける顧客について書いていきますが、まず「ヒトの集合体」なんていうお化けみたいな存在はいないので、イメージしない方がよいです。法人であっても『意思決定者』がいるわけですし、また意思決定者とは別に『使用者』が存在する場合もあります。意思決定者も使用者もどれも「顧客」とみなすことができますし、そのうち誰を設定するかによって対応も様々です。問いに立ち返りますと、「BtoBでももちろん、頑張って明確に顧客を設定してください」が答えとなります。

また、BtoBビジネスでも、顧客となる企業の先のエンドユーザー(個人)をイメージすることが有効な場合もありますので、こちらもイメージしてみるとよいとです。

なお本テーマでは、様々なタイプの「顧客」が登場しますので、以下のような名称で呼びます。
 
 

  • BtoB」の前方の「B」:当社のクライアント企業様
  • BtoB」の後方の「B」:(クライアント企業様の)顧客企業
  • クライアント企業様の顧客企業の顧客:エンドユーザー

 
 


 

BtoBビジネスに従事している受講者の困りごと

 
BtoB企業に在籍していると、顧客をイメージする機会が少ないようです。日常のビジネスでは、顧客企業の窓口担当者やその組織(窓口担当者の上司などを含め)とのビジネスが大半を占めるのでしょう。よって、どうしでもあたかもその窓口担当者を「顧客」ととらえ、窓口担当者の思考 / 言動の傾向を大いに意識するのだと思われます。

また、法人営業の心得として、顧客企業の全体像や戦略・方針などに関して勉強するとしても、例えば自社の製品やサービスが、顧客企業の研究所、工場、マーケティング部門、販売現場(販売会社)・・・などの実際の場でどのように使用されているか、どのように加工されてエンドユーザーに届いているか、に至るまで緻密な情報を持ち合わせていないこともあるようです。ひょっとすると当該顧客企業の窓口担当者自身も、自社の現場での様子や、エンドユーザーに届いた段階の状況について詳しく知らないのかもしれません。

また、窓口担当者やその上司が当該顧客企業の商品・サービス購入の意思決定を行っているとしても、その基準が、実際の使用現場の求める基準と必ずしも一致していないかもしれません(例:窓口担当者は主に安全性と価格で判断し、現場では便利さや使い勝手で判断する、など)。

こうなると、一体何が顧客のニーズなのかが分からなくなり、これかがまさにBtoBビジネスに従事している受講者の困りごととなるようです。そしてその結果、ひとまず分かりやすい相手、つまり「目の前の窓口担当者を顧客に見立てる」ということに落ち着くようです。

BtoBビジネス自体が経済合理性のもとに成り立っているため、「窓口担当者を顧客と見立てる」ことは間違いではありません。しかしながら、そもそも「競合にまさる商品・サービスを考えること」や「競合が考えつかないような新規事業を考えること」を目指すのであれば、「顧客の観察」が重要となりますので、しっかりと顧客を設定する必要があるのです。
 
 


 

当社プログラムにおける「顧客」の設定

 
当社で実施するビジネスプランニング研修では、「『顧客』とはなんぞや」という点を徹底的に明らかにしていきます。ビジネスプランニング、つまり「ビジネス」を「プランニング」する場合に重要なことは、諸説あれどもまずは「顧客は誰か?(存在するのか?)」と「儲かるか?」ということだと考えますので、最初の段階で既に「顧客」は重要なのです。

具体的には、まず「DMUDecision Making Unit)」について学び、受講者のアイディアの中で仮置きします。ちなみにDMUとは「ユーザー、インフルエンサー、購買者、(意思)決定者、ゲートキーパー」のことです。イメージしやすいので、ここではBtoCビジネスを例にします。

【「紙おむつ」でDMUを仮に設定してみますと、以下のイメージです】
 
 

  • ユーザー:赤ちゃん
  • インフルエンサー:某有名なママタレント等(ステマとかは置いておきます)
  • 購買者:お父さん(お金を払う)
  • (意思)決定者:お母さん
  • ゲートキーパー:ドラッグストア(の商品陳列担当者)

 
 
紙おむつの場合は「ユーザー」は言葉を話せませんので、「意思決定者」や「購買者」を顧客と置くと考えやすいです。

続いて、「ペルソナ」といって、「自社の商品・サービスをこういう人に使ってほしい(選んでほしい)」と思われる顧客像を描いて、年齢や職業、趣味や性格などを詳細に仮置きしていきます。また「共感マップ」を作成し、顧客が何を見て、何を聴いて、何を考えて・・・といったことを書き出します(詳しくは当社研修にて)。
 
 


 

ではBtoBではどのように考えるか?

 
おむつの事例はBtoCビジネスですが、BtoBビジネスにおいても頑張ってユーザーをDMUに置いてみるとよいです。「購買者=クライアント企業様の窓口部門」であり、「意思決定者=その部門の決裁者」となることはほぼ間違いないと思われます。その購買者や意思決定者と一緒になって「ユーザー」のニーズについて考えると、新商品・サービス、新規事業のアイディアが生み出されると考えます。購買者や意思決定者と一緒にユーザーについて調べること、これが価値となるでしょう。

当社で実施するデザインシンキング研修では、「観察」というプロセスを設定しており、ワークの中で受講者は徹底的に対象の一挙手一投足を観察してもらいます。顧客が無意識のうちに行動してしまうことを重視し、その理由を突き詰め、そこからInsight(示唆)を得ることを重視しているためなのです。購買者や意思決定者は、ユーザーの無意識なニーズまで把握していないかもしれないので(おそらく把握できない)ので、BtoBビジネスでもユーザーまで含めて「顧客」についてしっかり考えることが重要なのだと考えます。
 
 


 

「BtoBだから」で思考を止めてはいけません

 
ということで、「BtoBビジネスだから」といって顧客について考えないということはあってはなりません。

むしろ、「顧客」についてDMUなどを用いながら色々と定義し、様々な角度から観察してアイディアを練りましょう。そこからビジネスのタネが見つかる可能性が高まるのではないでしょうか。

この段階を経ていないと、顧客企業から見える自社は「ただの商品・サービスの供給者」になってしまいます。「イノベーションのジレンマ」によれは、顧客満足はまず商品・サービスの「機能」によってもたらされ、続いて「信頼」、「利便性」、「カスタマイズ化」の順にもたらされるようですが、その先は「価格」と書いてあります。機能~カスタマイズまでの流れは、昨今差がつきにくいので残念ながらあっさり「価格」で比較されがちなのでしょう。そして値引き合戦とチキンレース。または、窓口担当者への接待合戦・・・。結果、窓口担当者の相対的立場がどんどん上がり、気がついたら日常的になんだか卑屈な態度をとっている・・・なんてことも。なんだか楽しくないですよね。

顧客を様々な角度から設定して深く考え、洞察し、購買者や意思決定者を巻き込みながら活動する。これがBtoBビジネスの醍醐味でしょう。BtoBビジネスにおける顧客の設定に困ったら、顧客企業の窓口担当者と一緒に、研究部門、製造部門、マーケティング部門、販売部門等の様々な現場を観察してみると思い白いかもしれませんね。

参考:クレイトン・クリステンセン著、『イノベーションのジレンマ』、2001年、翔泳社
 
 
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株式会社アイディアポイント
企画開発部
川村 明之

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